紫州組
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「彩雲国物語の登場人物」の記事における「紫州組」の解説
李 絳攸(り こうゆう) 声:檜山修之 / 幼少:金田晶代 吏部侍郎で劉輝の側近。上治1年で21歳。黎深の養い子にして部下。秀麗、劉輝、静蘭の義理の従兄弟。 『はじまり』の12年前、人身御供にされていた(アニメでは路上で籤を売っていた)ところ、黎深に人攫い同然に拾われた。拾われたばかりの頃、黎深と百合の仲をとりもとうとした。 元は「コウ(光)」という名で、黎深より前の養い親が付けた。「李絳攸」は黎深が付けた名で、紅姓でないのは紅家に縛り付けない為。「李」は黎深の好きな植物。「絳」は紅より深い真紅で、元の名の音に紅の意味を持たせた。「攸」は水の流れる様。絳攸が黎深の子である誇りと、自分の望む道を行って欲しいとの願いが込められている。 拾われる前は文盲で、コウの漢字も分からない程だったが、寝食も忘れて勉強を重ね、16歳で国試に状元及第し、朝廷に入った。黎深が兄の二の舞にさせない方針を取り、武術は護身術程度しか教わっていない。 生真面目で頑固。公では感情を見せない凄腕の能吏で、「朝廷随一の才人」「史上最年少の宰相候補」「鉄壁の理性」と有名だが、私人としてはかなりの短気で感情豊か。劉輝の天然ボケに厳しいツッコミ役。劉輝から藍楸瑛と共に紫の花菖蒲を贈られ、王に最も近い臣下となる。花菖蒲の花言葉は「あなたを信頼します」、紫の花菖蒲にはもう一つの「王の花(秀麗)を守れ」という意味がある。 上司が養父の黎深であったことが災いし、「吏部侍郎たる資格なし」として楊修と陸清雅に追い落とされ、さらに瑠花がかけた暗示により昏睡状態に陥る。リオウ、楸瑛、楊修、百合の助けで覚醒し、劉輝と秀麗の権限も使って辛うじて免官は逃れ、長期の謹慎処分となった。謹慎が明けて、東坡郡太守の補佐となる。上治15年には宰相になっており、劉輝が崩御するまでの21年間務めた。 百合に黎深から逃げられないよう方向感覚を狂わされ、30歩歩けば迷うほどの方向音痴。視界に目的の建物が入っていようが逆の方向を向くが、見るだけなら見当外れにならない様子。唯一、府庫だけは何とか自力で辿り着け、中では迷わない。楸瑛曰く「元々狂っている感覚に頼らず、深く道を考えない方が迷わない」。黎深からは近くの人に道を聞けと真っ当な助言を与えられているが、本人が方向音痴を認めたがらない。『青嵐』ではリオウに道案内をさせ、『紫闇』では初めて方向音痴を認めるが、短編「冬の華」でも方向音痴は治っていない。 黎深を一喜一憂させる数少ない存在として邵可を尊敬している。状元及第時の縁談攻勢が原因で女嫌いだが、秀麗とは親しい。秀麗と結婚して次期紅家当主になることを、紅玖琅から望まれている。 藍 楸瑛(らん しゅうえい) 声:森川智之 左羽林軍将軍で劉輝の側近。上治1年で23歳。前藍家頭首と正妻の間に生まれた直系の四男。藍雪那(三つ子)の弟で、藍龍蓮の兄。その他にも異母兄弟・姉妹が多い。涼しげな目元を持つ。 10歳で貴陽へ上り、清苑に仕えようとするが追い返された。16歳の時、藍家の長老達の意向で清苑を探して単独行に出たが不首尾に終わった。18歳で国試に榜眼及第するが数年で文官を辞め武官に転向。絳攸とは国試受験以来の付き合いで、短気や方向音痴をからかっている。絳攸と共に、劉輝から紫の花菖蒲を贈られる。 女性関係が非常に華々しい。後宮から度々朝帰りをし、珠翠からは毛嫌いされている。一方で、何年も本命である玉華への想いを捨てられずにいた。珠翠にちょっかいをかけることがしばしばある。『白虹』にて珠翠への想いを自覚し、玉華への想いを吹っ切る。本編序盤では、軽薄な態度とは裏腹に、他人にも自分にも求める基準が高い軍人らしい性格だが、後半に入ると真面目で優しく楽観的で、何か考えているようで何も考えていないお坊ちゃまになっている。いつも迅に頼りっきり。蒼遙姫曰く、藍家で一番運が強い。滅多に本気を出さない理由も、序盤では妥協を許さないから、後半では司馬家の家訓だからと方向転換している。 藍家に誇りを持っており、藍家の人間としてと将軍としての立場を無意識に使い分けていた。忠誠のありかが定まっていないことを自覚して悩んでいたが、劉輝を死なせたくないと気付く。一旦、劉輝に花と将軍職を返して藍州に帰り、雪那らとの賭けに勝って自ら藍家を勘当される。本気の実力は劉輝以上で、本気を出さなくとも羽林軍の中では大将軍を除いて全員に勝てる。 貴陽に戻った後は静蘭の部下の下っ端武官として再就職する。人使いの荒い静蘭の下で働く自分の行く末に不安を抱いていた。行方をくらました秀麗を探して縹家に迅とともに赴く(龍蓮に宿った藍仙に飛ばされる)。そして、珠翠を救うべく「時の牢」に入り、蒼遙姫の手助けを得て彼女の元に辿り着き、見事に救い出す。再び貴陽に戻り、劉輝に付き添って紅州へ落ち延びた後、東坡軍の指揮官となる。上治15年には羽林軍大将軍となっている。短編「冬の華」によると結婚、3児を授かった後、死去している。墓は藍州にある。 紅 邵可(こう しょうか) 声:池田秀一 紅秀麗の父。『はじまり』では40歳そこそことされていたが、『黄金』ではもうすぐ40と年齢を下げられている。紅家特有の癖のない髪を項で結えている。昔は後頭部で結んでいた。目は細い。髭を生やしていない為、実年齢より若く見える。 おっとりとした性格。非常に不器用で、彼の淹れる「父茶」は娘すらも裸足で逃げ出す苦さで、笑顔で父茶を飲めるのは黎深・劉輝・珠翠だけである。実は漢方薬満載。 『はじまり』の13年前に、自分を差し置いて紅黎深が当主に担ぎ出され、これ幸いと紅州を出る。しかし黎深が紅一族郎党皆殺しをしかねない勢いだった為、説得しに一旦戻る。これが原因で紫戩華からの命令だった茶州での紫清苑の保護が遅れた。紫州に着いて紫劉輝に勉強を教え始める。貴陽の邸は邵可が本家を出る際、一族が建てた広すぎるほどの邸だが、妻の急死後、使用人に全ての金品を持ち逃げされ、貧乏になった。 官位は紅家が用意したが、府庫での地位は自ら戩華と霄瑤璇に願い出た。その後の十余年、黎深の手回しで同じ官位に留め置かれている。好きなだけ本を読めるこの職を気に入っているが、王位争いの時だけは重臣でない身を悔やんだ。 実は、先王に仕えた暗殺集団「風の狼」の首領、黒狼の2代目。弟達の命を守るために紅家を出た。先代黒狼の死亡により、黒狼の名を継ぐ。黎深ら一部の人間からは切れ者と認められている。幼いころから能力の高さをきれいに隠し、玖琅にも気づかせていない。琵琶は大叔母の紅玉環から習い、紅家でも随一の腕だが、玉環暗殺を境に断固として弾かなくなった。 以前、家庭教師をしていた藍家の三つ子当主たちに非常に慕われ、能力の高さを買われている。楸瑛曰く「邵可が政事に参画すれば藍姓官吏の復帰も早まる」。完璧に感情を制御でき、愛娘と国を天秤にかけられるほどの「氷の理性」を持つと評されるが、近年は情に絆されやすくなっている。時折、為政者としての発言をする。非常時のための「切り札」のため、閑職の秘書省・府庫にいた。静蘭曰く「細君よりは弱いが、酒には強い」。秀麗が生まれる前に拾った珠翠をもう1人の娘と思っている。 『白虹』の時点で、紅家当主を継ぎ、劉輝の味方に付く意思はあったが、劉輝の家出に付き合い当主交代は先送りにする。『黒蝶』にて退官、当主を継ぐが、凌晏樹に先手を打たれて、自発的にではなく不祥事の始末を取る形での恭順となった。劉輝に恭順の意を示してはいるが、別に劉輝が王である必要はないとしている。『紫闇』では劉輝を紅州に匿う。短編「冬の華」では死去している。墓は龍山にあると思しい。
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