男性不妊症とは? わかりやすく解説

だんせい‐ふにんしょう〔‐フニンシヤウ〕【男性不妊症】

読み方:だんせいふにんしょう

男性の側に主な原因がある不妊症精巣における造精機能障害精管通過障害勃起不全など。


男性不妊症

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/06/26 10:07 UTC 版)

男性不妊症(だんせいふにんしょう、英語: Male infertility)とは、不妊症のうち、主たる原因が男性側に認められるもの、男子不妊症とも呼ばれる[1]。かつてはあまり注目されない概念であったが、近年は研究と認知が進んできており、その罹患率も女性に比べて極端に低いとも言えず、不妊症は決して女性だけの問題ではないと認識されつつある。


注釈

  1. ^ 例えば『不妊・不育』では0.9% - 37.3%の各ケースが紹介されている。なお、1回の排卵周期で妊娠する可能性は15%とされており、計算上、12か月経っても妊娠しない確率は15%程度、24か月であればさらにその15%程度である(男性不妊症外来 p.10)。
  2. ^ 繰り返すが、現在の基準から言えばこれは厳密には男性不妊症ではない。
  3. ^ この記事において挙げられている参考文献で、その比率が具体的に数字として挙げられている例では、男性側にその原因が求められるものは最大のものでも48%である。また、世界保健機関による調査では女性由来が41%、男性由来が24%、男女共に原因ありが24%、原因不明が11%である(『カップルで治す男性不妊』p.14、ただしどの時期に行われた調査であるかは不明)。『不妊治療最前線』では男性側の原因40%、女性側の原因40%、原因不明20%との概算を挙げている。
  4. ^ ちなみにオギノ式は元来は(現在でいうところの)不妊治療として提唱されたものが、避妊用として流用されたものである。
  5. ^ 分泌#作用様式による分類を参照
  6. ^ 精巣上部にある静脈の束が鬱血して太くなる症状。重症化すると陰嚢表面を目で見ただけで確認できる。
  7. ^ 温度上昇説が有力視されている。健常者に比べ陰嚢内温度が0.6 - 0.8度高い(吉田修 (1999) )。ただし異論も見られるほか、その他鬱滞による酸素欠乏、各種神経伝達物質の逆流などの説も考えられている。
  8. ^ 精巣#精子も参照。
  9. ^ 精索静脈瘤があるからといって必ずしも不妊症状が出る訳ではなく、これ自体は一般男性の5.1 - 16.2%にも見られる(『不妊・不育』p.32、吉田修 (1999) )。
  10. ^ 精巣が腹腔内などにあるため温度が高く、正常に精子を造れない状態。ただし、本来あるべき場所である陰嚢に移動させる手術を施しても、造精機能が発揮されるとも限らない。また、左右ともにこの症状を発している場合、その80%に不妊の症状が見られる。
  11. ^ 染色体異常。通常ヒトの染色体は合計46、性染色体はXX/XYであるが、性染色体がXXY、合計47となっている場合。47,XXYとも言われる。通常、男性の場合は46XYと表現される。クラインフェルター症候群#症状も参照。資料によるが造精機能障害全体の1.6%程度がこの疾患が原因である。
  12. ^ 染色体異常全体では無精子症の場合、13.0%がそれに該当するが、精子の量が増えるにつれ割合も低下していき、精子数が正常な群では1.9%である。
  13. ^ 0.2Gyから影響が見られ、0.5Gyを越えると一時的な無精子症となり、6.0Gy以上で非可逆的な無精子症になるとされている。それ以下でも複数回の被曝により完全に造精機能が破壊される。(吉田修の文献では女性の卵子に対して避妊目的での照射し、目的を達成したと報告している。男性の精巣に対する避妊目的での照射例は、現版ではウィキペディア編集者は発見していない)。また、低量の被曝の場合には一時的に造精機能が低下するが、長期的な視点で見れば、かなりの程度まで回復する。
  14. ^ 無精子症などは透明感が強い。その他出血や膿などの確認。
  15. ^ ピペットから重力で滴下した時に2cm以上の糸を引くようであれば異常とされる。
  16. ^ 文献によって多少異なるが、いずれにしても一週間以内の数日間。『男性不妊症外来』によれば、それ以上の期間の禁欲は精子奇形率の増加や運動率の低下がみられる場合がある。
  17. ^ 『不妊治療を治す』によれば、自宅または宿泊施設で採取したものを持ち込む場合、2時間以内が望ましいとされる。『男性不妊症外来』では1時間とされている。
  18. ^ 精索静脈瘤は触診によってある程度の診断が可能である。
  19. ^ 日本人の場合、精液1ml中の精子の数が、1954年には平均約1億5千万匹であったものが、1991年には平均約1億匹に低下したとの報告もある。『女性がよむ男性不妊の本』p.33
  20. ^ すなわち、精子が造られてはいるものの、何らかの原因で外尿道口に到達せず、精液内に精子が含まれない場合。
  21. ^ ただし1999年のwho基準では正常値が15%とされている。この点に関しては新しい文献の入手を待っての調査を要する。
  22. ^ 2010年現在、資料によって70日、74日、76日と少々のばらつきがある。
  23. ^ もちろん不可能な場合も多い。また、夫婦の年齢などを考慮し、手術ではなく人工授精を選択することもできる。
  24. ^ 改善率は58% - 71%、妊娠率は24% - 55%、再発率は数% - 10%程度。精液所見による改善率の報告としては、最大で90%とされるものもある。カテーテルによる塞栓術の場合、静脈瘤の消失は95%、妊娠率は15% - 50%と報告されている。
  25. ^ 補中益気湯八味地黄丸桂枝茯苓丸など。
  26. ^ 男性不妊症のうち、3% - 5%にこの抗体が見られる。外傷や炎症などによる精子の血液中への流入をきっかけとして、免疫反応によりこの抗体が造られると見られる。

出典

  1. ^ 川村健二、【原著】精索静脈瘤による男子不妊症の発生機序 千葉医学雑誌 62(1), 33-39, 1986, NAID 110006180144
  2. ^ “増える不妊治療「子供を持つのは当たり前」なのか”. 毎日新聞. (2016年1月15日). https://mainichi.jp/premier/business/articles/20160114/biz/00m/010/024000c 2016年1月17日閲覧。 
  3. ^ 『不妊・不育』p.27
  4. ^ a b c d e E.婦人科疾患の診断・治療・管理 4.不妊症 2)男性不妊症 日本産科婦人科学会 日産婦誌61巻6号研修コーナー
  5. ^ a b 男性不妊症・機能障害 兵庫医科大学 泌尿器科学教室
  6. ^ 『不妊・不育』p.28、『不妊と男性』p.21 -、p.34 -、p.154 -、『不妊治療最前線』p.20
  7. ^ 『不妊治療最前線』p.80
  8. ^ 『不妊・不育』p.28、『不妊治療最前線』
  9. ^ 『男性不妊を治す』p.55
  10. ^ 『男性不妊症外来』p.13
  11. ^ 『不妊治療ワークブック』p.92
  12. ^ 『男性不妊を治す』p.58
  13. ^ 『女性がよむ男性不妊の本』p.77、『不妊・不育』p.33、『男性不妊を治す』p.63
  14. ^ 『男性不妊を治す』 p.63
  15. ^ 『男性不妊症外来』 p.13
  16. ^ 『カップルで治す男性不妊』p.48
  17. ^ 吉田修 (1999) p.251 外国文献に紹介された精機能障害の原因薬物、p.252 精機能障害をきたす可能性のある薬物。
  18. ^ 『不妊治療最前線』p.24、『男性と不妊』p.154 - 、『不妊・不育』p.27 -、『男性不妊症外来』p.14、吉田修 (1999)
  19. ^ 『EDと不妊治療の最前線』p.118
  20. ^ 『不妊治療最前線』p.82 -、『カップルで治す男性不妊』第2章「男性不妊の一般検査」、第3章「男性不妊の特種検査」、『男性不妊症外来』 II章 「一般精液検査」、『男性不妊を治す』Part3「男性不妊を治す - 診察」
  21. ^ 『不妊・不育』に示された表より。
  22. ^ a b c d 1992年、WHOによる基準。
  23. ^ 『不妊治療最前線』p.48
  24. ^ 『男性と不妊』p.71
  25. ^ 吉田修 (1999)
  26. ^ 『男性不妊症外来』p.116
  27. ^ 『カップルで治す不妊治療』p.97
  28. ^ 『男性不妊症外来』 p.7
  29. ^ 『Dr.ギルバーの泌尿器ガイド』p.54
  30. ^ 『不妊治療最前線』p.43、『Dr.ギルバーの泌尿器ガイド』p.54、吉田修(1999)p.203、『性機能障害と未完成婚』
  31. ^ 『男性不妊症外来』p.15
  32. ^ Q7.不妊症の検査はどこで、どんなことをするのですか? 日本生殖医学会
  33. ^ 精液検査、WHOの基準値とは? 帝京大学医学部泌尿器科アンドロロジー診療
  34. ^ a b 3)精液検査 日産婦誌59巻4号 (PDF)
  35. ^ Yanagimachi R, Yanagimachi H, Rogers BJ. "The Use of Zona-Free Animal Ova as a Test-System for the Assessment of the Fertilizing Capacity of Human Spermatozoa." Biol Reprod 1976 ; 15 : 471―476, doi:10.1095/biolreprod15.4.471
  36. ^ 毎日新聞2017年5月7日 東京朝刊
  37. ^ 『不妊と男性』p.39
  38. ^ 『男性不妊を治す』p.110、『男性不妊症外来』p.144 -
  39. ^ 『不妊治療ワークブック』p.93
  40. ^ 『男性不妊を治す』p.112 - 、吉田修 (1999) などにおいて、各症状においての術式の解説がなされている。
  41. ^ 『不妊と男性』p.92(2004年)。ただしやはり体内から採取した精子は状態が良いとは言えず、通常の人工授精ではなく、顕微受精が相当である場合も多い(『不妊・不育』p.265)。また、生命倫理学上の観点からの問題も提起されている。
  42. ^ 『不妊・不育』p.35、『男性不妊を治す』p.65、吉田修 (1999) 、『男性不妊症外来』「抗精子抗体の治療」p.121 -


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