現代の翻訳とは? わかりやすく解説

現代の翻訳

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/09/09 06:17 UTC 版)

英語訳聖書」の記事における「現代の翻訳」の解説

欽定訳権威保っていた長い期間に、聖書学進化遂げてかなり精密な正文批判が行われるようになっていた。そこで、19世紀も終わる頃になって大幅な改訂作業イギリス行われ1880年新約聖書が、1884年旧約聖書発行され改訂版聖書Revised Version : RV)と呼ばれている。欽定訳誤訳蓋然性の低い解釈難解な表現翻訳内部矛盾大幅に修正しギリシア語文法の「アオリスト」を過去形統一している。 このRV作業イギリス行われアメリカ聖書学者参加したが、その意見多く本文には採りいれられず、付録記録されただけであった。そこで、こうした学者達がアメリカ標準版聖書American Standard Version : ASV)を1901年発行している。実質的にRVアメリカ版評価されている。 その後根本的な改訂目論んだ改訂標準訳聖書Revised Standard Version : RSV)がアメリカで編纂され、1946年新約聖書が、1951年新旧合わせた聖書アメリカ教協議会National Council of Churches: NCC)によって発行された。評価高くRSVアメリカプロテスタント教会で公式に用いられる聖書となり、欽定訳聖書から切り替えられていったのである。このRSV1989年改訂され新改訂標準訳聖書New Revised Standard Version : NRSV)となったが、このNRSVの編集にはカトリック正教会ユダヤ人学者招かれており、世界的な共同訳の流れ乗った事業でもある。また改定標準聖書改訂版としては標準英語訳聖書English Standard VersionESV)もCrossway Booksにより作られて、ホテルや未信徒向けて聖書無料配布している国際ギデオン協会2013年からNKJVに変えてESV配布している。 RSVイギリスでも読まれるようになったため、イギリスでも新し翻訳作る声が強くなり、1961年新約聖書を、1970年聖書全体発行された。これは新英語聖書New English Bible: NEB)といい、伝統的な欽定訳古めかしい英語を離れて現代イギリス語の用法大胆に持ち込んだ翻訳である。「分りやすい」という評価反面意訳偏りすぎて原意損なっている箇所が多いという批判がある。その批判受けて翻訳方針が修正され上で改訂英語聖書Revised English Bible: REB1989年発行された。このREBにもカトリックから公式のメンバー出ており、共同訳に近いものとなっている。また、REBとNRSVからは女性差別表現について原文から外れない範囲男性向け言葉削除している(any man → any, manhumanなど)。 アメリカRSVやNRSVはできるだけ直訳で訳すという方針のもとに作られているが、イギリスでのNEBのように出来るだけ多く人間できるだけ分りやすい聖書届けようという考え方からは、また別の翻訳方針が生まれることになった世界中聖書安価に配布することを目的としたアメリカ聖書協会発行したグッドニューズバイブル1966年新約1976年旧約聖書Today's English Version = TEVとも呼ぶ)がそれであり、分りやすい表現最優先した翻訳であるが、原文持っていた曖昧な文章無理に分りやすくし、ときに解説的に過ぎる翻訳文になり、ときに重要な概念までも歪めているとも批判されている。神の子の「血」という表現新約聖書からすべて消去したことなどが有名である。このGNBTEV)は、聖書協会世界中で進めている各国語への聖書翻訳事業でもお手本として参照され強い影響力与えた日本語訳聖書言えば(旧)共同訳聖書がそれに該当するまた、聖書協会ユダヤ人差別取り除いたとするContemporary English Bible: CEB発行している(新約1991年新旧合わせて1995年)。また、徹底的な意訳行われたリビングバイブルThe Living Bible: TLB1971年)も知られており、何度も改版されている。 新世界訳聖書New World Translation of the Holy Scriptures: NWT)は(1950年1961年全訳)にエホバの証人構成された「新世界訳聖書翻訳委員会」によって翻訳され、「ものみの塔聖書冊子協会」によって出版され聖書である。エホバの証人側が字義訳であり最も正確な翻訳であるとする一方エホバの証人反対するキリスト教団体からは、エホバの証人教理合わせて翻訳されているという批判や、非英語圏においては、英語からの重訳聖書であり学問的な水準疑問があるという指摘もある。 新アメリカ聖書New American Bible: NAB)は1970年新旧併せ発行されカトリック聖書であり、 それまでカトリック拘ってきたウルガタラテン語標準訳を離れてギリシア語ヘブライ語原典から翻訳された。翻訳方針としては、REBTEVとは異なり原文出来るだけ近く訳そうというものでRSV方針に近い。RSV(あるいは改訂されたNRSV)、REB並んで現代英語翻訳聖書代表する訳だとも言われている。カトリック本格的な英語訳聖書持ったことで、英語圏においてもようやく共同事業可能性現れたとされており、前述のNRSVやREBプロテスタント聖書翻訳参加者を送るようになったアメリカではRSV/NRSVとTEV/GNBを不満足なものとして、聖書誤謬立場から翻訳され新国際版聖書New International Version: NIV)も現れている。これはファンダメンタリズム福音主義の諸教会用いられ近年福音主義勢力増大と共に発行部数伸ばしている。また、福音主義教会世界伝道伴ってNIV手本とする各国語翻訳現れており、影響力与えている。日本語訳聖書言えば新改訳聖書がこれに該当すると言われることもあるが、もし影響があったとすれば1970年出版新改訳聖書が、1978年出版NIV影響与えた考える方が妥当である。最新英語訳としては、コモン英語訳聖書Common English Bible: CEB)がある。 上記英語翻訳聖書などをリストしたものが以下である。(年代順) AbbreviationNameDateDRB ドゥエ・ランス聖書 Douay-Rheims Bible 1582 カトリックによる翻訳文語 AV/KJV 欽定訳/ジェームズ王版聖書 Authorized Version/King James Version 1611 標準訳として長く用いられる RV 改訂版聖書 Revised Version 1884 主としてイギリスでの改訳 ASV アメリカ標準版聖書 American Standard Version 1901 RVアメリカ版 NWT 新世界訳聖書 New World Translation 1950 エホバの証人による翻訳1971年脚注改訂版 RSV 改訂標準訳聖書 Revised Standard Version 1952 ASV本格改版 TJB エルサレム聖書 The Jerusalem Bible 1966 カトリック系フランス語からの重訳 NEB 新英語聖書 New English Bible 1970 英国プロテスタント教会協力して訳したRV改版 NAB 新アメリカ聖書 New American Bible 1970 カトリックによる翻訳 NASB/NASV 新アメリカ標準訳聖書 New American Standard Bible/Version 1971 ロックマン財団による逐語翻訳 TLB リビングバイブル The Living Bible 1971 徹底した意訳 NIV 新国際版聖書 New International Version 1978 ファンダメンタリズム福音主義教会による翻訳 NKJV 新欽定訳/新ジェームス王版聖書 New King James Version 1979 現代語用いたKJV改訂版 NJB 新エルサレム聖書 New Jerusalem Bible 1985 TJBの改訂版 REB 改訂英語聖書 Revised English Bible 1989 NEB改版カトリック参加 NRSV 新改訂標準訳聖書 New Revised Standard Version 1989 RSV改版カトリック正教会参加 GNB/TEV グッドニューズバイブル Good News Bible/ Today's English Version 1989 聖書協会訳、意訳用いCEV Contemporary English Version 1991 子どもなどに配慮し平易な英語CEB Contemporary English Bible 1995 ユダヤ教差別是正意訳用いOSB 正教会スタディバイブル Orthodox Study Bible 1993 東方正教会注解付き聖書 NIVI New International Version Inclusive Language Edition 1996 新国際版の包括用語版 ESV 標準英語訳聖書 English Standard Version 2001 改訂標準訳の改訂版 CEB コモン英語訳聖書 Common English Bible 2011 さらに平易な英語で RNJB Revised New Jerusalem Bible 2019 NJB改訂版

※この「現代の翻訳」の解説は、「英語訳聖書」の解説の一部です。
「現代の翻訳」を含む「英語訳聖書」の記事については、「英語訳聖書」の概要を参照ください。

ウィキペディア小見出し辞書の「現代の翻訳」の項目はプログラムで機械的に意味や本文を生成しているため、不適切な項目が含まれていることもあります。ご了承くださいませ。 お問い合わせ



英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「現代の翻訳」の関連用語

現代の翻訳のお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



現代の翻訳のページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
ウィキペディアウィキペディア
Text is available under GNU Free Documentation License (GFDL).
Weblio辞書に掲載されている「ウィキペディア小見出し辞書」の記事は、Wikipediaの英語訳聖書 (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。

©2025 GRAS Group, Inc.RSS