きんていやくせいしょ【欽定訳聖書】
欽定訳聖書
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/03/12 00:45 UTC 版)
欽定訳聖書 | |
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略称 | KJV、 KJB、AV |
完全版 出版時期 | 1611年 |
オンライン | 欽定訳聖書 - Wikisource |
原文 |
旧約聖書 マソラ本文で、LXXとウルガタの影響。 新約聖書: テクストゥス・レセプトゥスで、これはByzantine text-typeと似た物。いくつかはウルガタから。 第二正典:ギリシャ語七十人訳聖書とラテン語ウルガタ。 |
著作権状態 | パブリック・ドメイン。ただしイギリスでは出版に関しては制限あり(Copyright statusを見よ)。 |
In the beginning God created the heaven and the earth. And the earth was without form, and void; and darkness was upon the face of the deep. And the Spirit of God moved upon the face of the waters. And God said, Let there be light: and there was light.
For God so loved the world, that he gave his only begotten Son, that whosoever believeth in him should not perish, but have everlasting life. |
英語訳聖書 |
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ドゥアイ・リームズ聖書 (DRV, 1582年) |
欽定訳聖書(きんていやくせいしょ)は、国王の命令によって翻訳された聖書である。複数あるが、単に「欽定訳」(Authorized Version)と言った場合は、とくに「ジェイムズ王訳」(King James Version)として名高い、1611年刊行の英訳聖書を指す。
イングランド王ジェームズ1世がイングランド国教会の典礼で用いるための聖書の標準訳を求め、王の命令で翻訳されたためにこの名がある。欽定訳は19世紀末に至るまでイングランド国教会で用いられた唯一の公式英訳聖書である。また、荘厳で格調高い文体から、口語訳の普及した現在も多くの愛読者を保ち続けている。
ヘブライ語およびギリシア語原典から訳したと序文にはあるが、実際にはウィリアム・ティンダルら先行する英語翻訳にかなりの部分で依拠していることが指摘されている。
なお、現在欽定訳聖書として市場に出回っているものの多くは、1769年に綴りなどが修正されたもので、オリジナルではない。
1611年版
上記のように現在普及しているのは後に修正されたものであるが、数多くの学術本や一部の聖書出版を手がけているHendrickson Publishersや、新欽定訳聖書を出版しているThomas Nelson incなどでは過去に1611年版(聖書本文は現代人に読みやすいよう、ブラックレターからローマン書体に置き換えられている)を出版している。
2011年5月2日に欽定訳聖書は初版刊行から400年を迎えたが、それに先立ち多くの聖書出版社から400周年記念版が刊行された。
関連項目
関連書籍
- 橋本功 『聖書の英語:旧約原典からみた』 英潮社、1996年、ISBN 978-4268002549
外部リンク
欽定訳聖書
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欽定訳聖書(The King James Version : KJV, かつては Authorized Version:AVとも)はジェームズ1世の命を受けてイングランド国教会が翻訳した英語聖書であり、1611年に出版され、この後に続く英語翻訳に深い影響を与えたばかりか、英文学にも影響を与えた。 知られているところでは、国王が自ら召集した1604年の教会会議において、清教徒(ピューリタン)の参加者から教会で用いるための新しい聖書翻訳が欲しいと要請が出たことが発端だったと言われている。清教徒はジュネーブ聖書を普段使っていたが、それは認可訳ではないので教会では使えなかったのである。これに応える形でオクスフォード大学とケンブリッジ大学の学者たち(とウェストミンスターの学者)が招集され、50人もの翻訳者グループが組織された。 このときの国王の指示の中には、欄外にいかなる註もつけてはならないというものがある。ジュネーブ聖書につけられていた欄外注釈にジェームズ王が気に入らないものがあったという説もあるが、諸教派が共有できる聖書を目指したためにティンダル聖書以来トラブルの元になってきた欄外注釈を外すのは穏当な処置であった。そして、これは後世の聖書協会系聖書などにもその伝統が引き継がれることになった。また、国王の指示は「司教たちの聖書」を基にして改訳せよというものであったので、欽定訳は事実上「ティンダル聖書」と「ジュネーブ聖書」を基本としていると言われている。 欽定訳聖書はイギリス国内で最も権威ある聖書となり、近代初期の英語翻訳の中でもっとも使用された聖書となった。幾つかの伝統行事の中では今に至るまで用いられている。現代の聖書学はその翻訳にいろいろな問題点を指摘しているが、それでもティンダル聖書に強く頼っているその文体と言葉の使い方については広く賞賛された。この聖書の権威は2世紀半の期間、19世紀末まで続き、20世紀になっても使われ続けた。
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