聖書学とは? わかりやすく解説

聖書学

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/01/07 07:48 UTC 版)

聖書学(せいしょがく、Bible study)は、聖書を対象に、文献学的方法、また人文科学的な(言語学考古学地理学等)諸方法を用いて本文批評をし、キリスト教の立場からすると、原初期の聖書とキリスト教を明らかにしようとする学である。分野は旧約聖書学・新約聖書学に分かれる。また、リベラル聖書信仰は前提が異なる[1]

批判的聖書学

新約聖書の例で言えば、

  • 伝承の流れ(階層構造)からは、
  1. ナザレ村で生まれたイエス自身の教えの段階(イエスの神理解・信仰内容)
  2. それを口承で伝えた各社会層レベルでの信仰の段階
  3. その伝承を素材として各自の信仰を表現した福音書記者の段階
  4. 多くのキリスト教文書の中から新約の正典として抜き出した古代教会の段階
  • 時代的にも、地理的にも、置かれている環境・宗教的状況も、異なっており、
  1. 西暦50年代のパウロの手紙
  2. 西暦70年代の最初に福音書というジャンルを創造したマルコによる福音書
  3. 西暦80年代のマタイによる福音書ルカによる福音書
  4. 西暦100年前後以降のヨハネによる福音書ヨハネの黙示録、パウロに仮託された手紙など

この各々の段階の信仰内容はどうであったのかを分析研究し、明確にする。

この様に、批判的な聖書学では、新約聖書が示す信仰は多種多様であり、中には矛盾する内容を含んでおり、このため、「新約聖書はこう言っている」という形での総括はできず、乱暴な話であり、「マルコの信仰ではこのように言っている。しかし別の信仰では…」というような議論が必要であるとされる。

J・P・ガーブラー(1753年1826年)により、始まった。

保守系の聖書学

聖書信仰の立場はリベラル派とは前提が異なるので、聖書に誤りがあるとはとらえず、リベラルにおいて聖書の矛盾と呼ばれる個所は聖書の現象と呼ぶ[2][3]

聖書学者

批判的な聖書学者にはユリウス・ヴェルハウゼン田川建三らがおり、保守的な聖書学者にはジョン・グレッサム・メイチェンF.F.ブルース尾山令仁内田和彦らがいる。

脚注

  1. ^ 尾山令仁『クリスチャンの和解と一致』地引網出版
  2. ^ 『聖書の権威』
  3. ^ ロバート・チャールズ・スプロール Explaining Inerrancy: A Commentary

参考文献

関連項目

外部リンク



聖書学

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/11 14:19 UTC 版)

反ユダヤ主義」の記事における「聖書学」の解説

19世紀には聖書学が進展した青年ヘーゲル派ダーフィト・シュトラウス1835年に『イエス生涯』を発表し福音書での奇跡神話として批判的に研究した後年ニーチェから批判された。 エルネスト・ルナン1861年コレージュ・ド・フランスでの開講初日イエスを「神と呼んでもいいほどに偉大な比類なき人間」と呼んで講義停止され、翌1863年、『イエス生涯』を刊行した。なお、ルナンフォイエルバッハ反キリスト教の立場ゲルマン主義には批判的であり、新約旧約分離する反ユダヤ主義者ではなく1882年ハンガリーのティルツラル・エツラルでの儀式殺人事件には抗議しロスチャイルド家から資金調達して反ユダヤ主義標的にもなった。しかし、ルナン初期イエスユダヤ教中にあったが、ユダヤ共同体での論争激しさ犠牲となり、イエスユダヤ教徹底的な破壊者となり、偏狭なユダヤ性を克服していったと論じてユダヤ教拒絶したルナンダーフィト・シュトラウスによって史的イエス研究展開していった。 ダーフィト・シュトラウスから大きな刺激受けたユダヤ教改革派ラビアーブラハム・ガイガーは『ユダヤ教その歴史』(1865-71)で、イエス教えオリジナルなものではなくパリサイ派倫理延長にあり、イエス教では天国崇拝新しいだけであるとして、イエスガリラヤ出身パリサイ派ユダヤ人であるとした。ガイガーは、リベラル・プロテスタントの視線ユダヤ教歴史描きパリサイ派進歩派サドカイ派保守派とみた。ガイガーによるパリサイ派サドカイ派対立の図式は、モムゼンにも影響与えたガイガーは、当時1870年代文化闘争などでカトリック対抗するドイツプロテスタントリベラルな国民主義接近しラビユダヤ教改革することで、ユダヤ社会近代化目指した。 ユリウス・ヴェルハウゼンは『パリサイ派サドカイ派』(1874)『イスラエル史』(1878)などで、モーセ五書律法よりも預言者エレミヤ個人的敬虔重視し、さらに『申命記』などの祭祀法典バビロン捕囚後成立したとみた。ヴェルハウゼンは、6世紀頃からユダヤ教古代イスラエル宗教圧迫し祭祀階層預言者をとどめを刺して律法固定されたとして、このことによってパリサイ派権力把握した一方で精神的イスラエルとしてのキリスト教成長したとみた。ヴェルハウゼンは、ニーチェヴェーバーフロイトにも大きな影響与えた

※この「聖書学」の解説は、「反ユダヤ主義」の解説の一部です。
「聖書学」を含む「反ユダヤ主義」の記事については、「反ユダヤ主義」の概要を参照ください。

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