現代の自然科学における原子概念の変化
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/01/06 10:14 UTC 版)
「原子論」の記事における「現代の自然科学における原子概念の変化」の解説
自然科学において「何らかの粒子的な単位」の存在が認められて概念的道具としても用いられるようになるのと平行して、「分割不可能」という表現のほうは後退してゆくことになった。 原子の存在自体がまだ広くは認められていなかった20世紀初頭においても、物質がのっぺりとしておらず何かしらの単位がある、と自然科学者によってようやく考えられるようになった。それが「Atom」と呼ばれるようになっても、原子の存在が実証される以前に電子が発見されていた事から、「原子は「負の電荷を持った電子」と「正の電荷を持った何か」でできている」という議論がなされるようになった。つまり下部構造についての議論が始まっており、それが電子と原子核からなることもほぼ確実視されていた。自然科学において「Atom(原子)」という概念が用いられ始めたころには、それは原義の「分割不可能な最小単位」ではなくなっていたのである。さらに「原子核の内部構造として「陽子」と「中性子」が存在する」と考えられるようになり、自然科学の「Atom(原子)」は原子概念の原義からふたたび遠のいた。さらにその陽子や中性子も「内部構造(下部構造)を持つ」とされるようになった(後に「クォーク」と呼ばれる)。 現代の自然科学においては、「原子」という概念は、自然を構成する分割不可能な最小単位を指すのではなく、元素(化学元素)の最小単位を指すのに用いられている。そして、このような中間単位としての「原子」の内部構造は、「subatomic particles」などと呼ばれている。このように、かつて自然科学において「原子論」と呼ばれる分野で行われていた研究は、現在では「素粒子論」と呼ばれる分野において行われている。
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