漢王室
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「三国志 (横山光輝の漫画)」の記事における「漢王室」の解説
献帝 本名は劉協。後漢最後の皇帝である。幼少の時にその利発さから董卓に強引に皇帝に祭り上げられ、董卓、李傕、曹操といった諸侯に「権威の象徴」として利用される。最後は曹丕に国を譲る形をとらされて帝位を奪われ、都を追われた。孔明と同年に崩御しているが、一切描写はない。 なお、「献帝」という呼称は諡号にあたり、本来は死後に命名されるものだが、作中に登場する漢の皇帝(霊帝、献帝)は在位中ながら諡号で呼ばれている。また、李傕・郭汜の乱の際、曹操が迎えに駆けつける前までは、一人称が「水滸伝」の道君皇帝と同じ「余」か、「私」であったが、それ以後は中国の皇帝の一人称とされる「朕」になっており、これはその後皇帝の位についた本作や、それ以後の横山作品のキャラクターのほとんどに継承される。(3巻〜43巻) 霊帝 本名は劉宏(作中では本名について触れられていない)。後漢第12代皇帝で十常侍を信任して政務を任せ、自身は遊興にふける無能な皇帝であるが、性格はそれほど悪くなく作中では十常侍に利用された被害者として描写されている。廃帝(皇子弁)と献帝(皇子協)の父。死去した際の語りが放送禁止用語の関係で一部改訂されている。(3巻) 十常侍 霊帝に仕える10人の宦官。漢王朝の腐敗の一因であり、政治に疎く幼い霊帝をうまく操り政治の実権を握る。 皇帝の身の回りの世話をする宦官(中常侍)の集団であり、霊帝の時代には特に権勢を振るった(『三国志演義』や本作では10名となっているが、正史『後漢書』では12名である)。作中では張譲と蹇碩の2名の名前が見られる。なお、本来去勢男子である宦官は性ホルモンのバランスが崩れたことによって髭が生えなくなるあるいは薄くなるはずであるが、本作に登場する十常侍は単に「朝廷を牛耳る10人の大臣」とのみ紹介されており、豊かに髭を蓄えた人物も描画されている(のちに登場する蜀の宦官黄皓や、その後の横山作品では宦官の人物は宦官としての正しい描写がなされている。司馬遷のように去勢後に髭が無くなったことが描写された例もある)。最終的に袁紹らによりすべて始末された。 何進 もともとは平民で肉屋をしていた。妹が霊帝の妃となったことで大将軍にまで出世した人物。(3巻) 朝廷内において自分の権勢を強めたいがため、部下である袁紹に指示して政敵である十常侍を排除しようと企む。曹操や袁紹など優れた部下を持っていたが、一度決めたことを何皇后にたしなめられたことで中止するなど、優柔不断な人物である。最期は十常侍の計略にはまって殺されてしまった。 なお、初登場のシーンの描写及び肉屋であったことから蔑まれるセリフが、単行本において途中の版から現代の放送禁止用語の関係で修正されている。 何皇后、劉弁 霊帝の妃と後漢13代皇帝。 何皇后は何進の妹で、十常侍の推挙によって霊帝の妃となり、その美貌から寵愛された。何進が幾度となく十常侍を討伐しようとする度に、彼らに推挙されたことを恩に着て兄を制止していた。劉弁は泣き虫の凡人であり、国を治める器とはいえない人物として描写された。 何進と十常侍の死後は、一時的に袁紹らの保護下に置かれるが、その後董卓によって廃される。さらにその存在が後顧の憂いとなることを危惧した董卓の命を受けた李儒により、親子ともども殺されてしまった。 劉焉 玄徳率いる義勇軍が最初に指揮下に入った幽州の太守。(2巻) 義勇軍として訪れた玄徳達を歓待し、部下の鄒靖と共闘させて黄巾賊を迎え撃つ。なお、史実における劉焉はのちに益州太守として登場する劉璋の父親にあたり、幽州の太守に就いたという事実はないが、本作の原型となっている『三国志演義』では劉焉が幽州太守として登場する。 盧植 玄徳の学問の師匠であり、黄巾賊の乱平定のために官軍を率いる将軍の一人。(2巻) 清廉な人物であり、腐敗した役人から賄賂を要求されても拒絶する。玄徳から師事されており、黄巾賊制圧に攻めあぐねていた際に玄徳率いる義勇軍の支援を受ける。賄賂を拒否したことで濡れ衣を着せられ、囚人として都へ送られた。 朱儁 黄巾賊討伐の官軍を率いる将軍の一人。(2巻) 玄徳率いる義勇軍が応援に駆け付けた際、初対面の時は冷遇していたが、再び出会った時には各地でおける玄徳たちの活躍を知り、うまくおだてて黄巾賊に当たらせようとする。なお義勇軍の戦功を自らの戦功として朝廷に報告するが、十常侍へ賄賂を渡さなかったとして免職された。 貂蝉 声:赤﨑千夏(三国志大戦(第2期)) 漢王室の元老王允の娘で稀代の美女。(7巻〜8巻) 養父王允が国を董卓に牛耳られている状況を憂いているのを見て、自ら董卓と呂布に近づいて2人の仲を引き裂く「離間の計」を実行し、成功を見届けて自害する。本作の呂布は、彼女の自害した理由は分からずじまいであった。本作の原型となった『三国志演義』で創作された人物であるが、離間の計の成功後に自害するのは吉川英治のアレンジである(吉川版では呂布が遺書を発見し、騙されたことに気付いて貂蝉の遺体を井戸に捨てる)。 董承 車騎将軍、献帝に仕える漢の忠臣。(9巻〜17巻) 董卓亡き後、李傕と郭汜の手によって捕われの身同様であった献帝を長安から脱出させる。のち、曹操の庇護の下にいる献帝は、日増しに増長する曹操を見て、何とか排除しようと董承に密書を送り、その計画は劉備を巻き込んで、曹操と劉備との関係を大きく変動させることになる。結局彼の下男・慶童に密告され、玄徳や馬騰を除く同志のほとんどが一族ともども処刑された。 黄奎 後漢の官僚。馬騰が曹操のもとへやってきた時、彼とともに曹操の暗殺を計画する。しかしその計画を妾である李春香に話してしまい、李春香と愛人関係にあった義弟(妻の弟)の苗沢によって密告され、馬騰ら親子とともに処刑される。なお、密告した苗沢も曹操から裏切り者の烙印を押され、その場で斬られた。 耿紀、韋晃、金禕 後漢の官僚。金禕は王必の友人。曹操が魏を建国してからは彼に仕えていたが、日増しに増長する曹操を討つため、献帝を擁立し玄徳らの支援を仰いで曹操を討伐させようと計画し、反乱を起こす。しかし王必の知らせを受けた曹休と、都の外で待機していた夏侯惇の部隊によって鎮圧され、一族もろとも処刑された。なお、彼らの反乱は管輅によって予言されていた。 伏完、伏皇后 献帝の妃とその一族。献帝が都を追われ董卓軍の残党に追われた際も行動を共にした。 伏完は日増しに増長する曹操を討とうと、穆順と共謀して各国へ密書を送ろうとしたが露見してしまい、一族もろとも処刑された。伏皇后はその首謀者とされ、牢にて曹操の配下に刑罰を与えられ殴り殺された。 督郵 督郵とは人名ではなく地方監察官を意味する官職名を指し、本名は不明。(3巻) 黄巾賊討伐の功で県令となった玄徳のもとに登場し、劉備を百姓上がりと侮辱したばかりか、劉備が賄賂を持ってこないのに腹を立て無実の罪を着せようとする。激怒した張飛が督郵を鞭打ちにし、皇帝の顔に泥を塗ることを恐れた玄徳は督郵を救おうとするが関羽の説得もあり、3人は大志を果たすために官職を捨て流浪の身となる。 丁原 荊州の太守。呂布の養父。字は建陽。 少帝を廃し、劉協を皇帝に据えるべきと唱える董卓に真っ向から反発する。そのため董卓の怒りを買い、刺客を差し向けられるが呂布によって撃退され、逆に董卓軍に奇襲攻撃をかける。しかし、李粛に唆された呂布によって殺されてしまった。 龔景 青州の太守。黄巾賊に攻められ落城寸前にまで追い詰められていたが、玄徳軍と幽州の援軍により救われる。作中で名前は呼称されない。
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