検索表
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/06/16 02:11 UTC 版)
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検索表(けんさくひょう、英:identification key)とは、生物の種などの分類群を同定する際に補助とするためのもので、普通は文章で示される二者択一の選択肢を選んで行けば、分類群を特定できるようになっている。英語では(Identification) Keyというが、未知や神秘を暴いたり説明したりするものに対して鍵と言うことが生物学で流用されたものとされる。
概説
生物の同定は、なかなか難しいものである。形態がよく似ているものがあり、同じ種でも個体変異がある。それぞれの特徴の現れる形質のありかも分類群によってさまざまで、なれない者が見比べても判断がつきかねることも多い。そこで、その中から目当てのものを選ぶ手助けとして考案されたものが検索表である。最も標準的な検索表は二者択一式のものである。生物の分類に利用できる形質の中から、はっきりと区別できるような特徴を取りだし、二者択一の形で並べたもので、選択肢のどちらかを選ぶと次の選択肢に飛ぶようになっており、これを繰り返して行けば候補の種が選択できる。
検索表は、図鑑によくついている。特に、やや専門性の高いものにはつくことが多い。これらの書籍は同定を目的とするため、当然の措置であろう。さらに検索のために特化した検索図鑑と銘打ったものもある。これは図鑑一冊が丸ごと検索表となっており、その間に解説と図版が収まるといった体裁のものである。
むしろ子供向けや近年の写真図鑑には繁雑さを嫌ってか、つかないことが多い。いずれにせよ、これらの図鑑はそもそも網羅性が低いので、付属していても役には立ちづらいであろう。
専門的な書籍では植物誌などにはほとんど掲載される。学術論文では、ある群を網羅的に扱ったモノグラフや新分類群の記載の場合に検索表をつけることが多い。後者に関しては、これを付すような要請は行われていないが、どちらの場合も類縁群との差や区別を明確にすることが必要であることから、それを明確にし、見通しをよくする役割がある。
具体例
以下に、簡単(かついい加減)な検索表の例を示す。水田の魚の検索表を作って見よう。対象となるのはメダカ・フナ・ドジョウ・ナマズである。
- 1:口元に髭がある・・・・・・2へ
- 1:口元に髭がない・・・・・・3へ
- 2:頭部は偏平で幅広い・・・・・・ナマズ
- 2:頭部は偏平でない・・・・・・ドジョウ
- 3:体は左右に偏平、中央付近が幅広い・・・・・・フナ
- 3:体は左右に偏平ではない・・・・・・メダカ
捕まえた魚を見て、口元に髭があれば1の上の方を選び、指示に従って2へ行く。次に顔つきを見て、明らかに偏平で幅広ければナマズがその種名の候補に上がったことになる。
取り上げる形質
上記の例は、あまり必要性のない、非現実的な例であるが、一応の検索表の体は成している。検索表にはいくつかの型があり、例えば各項目に数字を当てる場合、アルファベットなどの記号を当てる場合、対立する項を直下に並べる例、分岐を間に挟む例などがある。いずれにせよ、視認性に配慮してインデントを段階的に落としてあるのが普通である。
ここで問題は、どのような形質を取り上げるかである。使う側からすれば、出来る限り、はっきりと区別できる特徴であることが望ましい。大きさは重要な特徴ではある。メダカとフナなど、親の大きさでは何倍もの差があるから、一目瞭然である。しかし、稚魚の場合、どこまで大きくなるのかは判断するのが難しいので、実用的には問題がある。植物の種子などの場合は、成熟しなければできないので、この問題は少ない。色なども目立つ特徴ではあるが、区別が難しい場合もあり、また群によっては変異が多くて役に立たない場合もある。
作る側からすれば、対象の中のはっきり目立って異質なものはまずはね除ける、というのも一つのあり方である。それ以上は、検索のあり方によっても大きく異なる。
対象とする群の大きさ
検索表は、それぞれに対象とする範囲が決まっている。あるいは決まった対象を仕分けるために作られると言ってもいい。その対象とする分類群の範囲が小さい場合には検索表は非常に有効である。基本的には同じ仕組みの生き物の、群ごとの区別点を取り上げて行くことになる。分類を基本とする図鑑や専門の学術論文などにあるのはこの型である。
それに対して、非常に広い範囲をカバーしなければならない検索表もあり得る。例えば土壌動物や海底の底生生物など、ある採集法で非常に広範囲の生物群が採集されてしまう場合、それらの同定の補助のために検索表が作られることがある。その際、対象とする生物群は非常に多数の門にまたがる可能性があり、とても異なった体制のものを仕分ける検索表が必要になる。
一般的には、群が大きくなるほど検索表は扱いにくくなる。高次の分類群間の差は、その体制などの基本的な部分であるが、外見からは見て取りにくいことも多く、同時に例外が多いからである。
振り分けの方向
検索表における振り分け方には、大きく二つの方向性がある。一つは分類体系に沿ったもの、もう一つは判別の簡便さを狙ったものである。
分類体系に沿って
生物の分類は、上から決まった段階に別れ、上位の群内には複数の下位群が含まれる枝分かれ的構造を持っている。そこで、この枝分かれにしたがって振り分けるようにするのである。目・科・属とそれぞれに直下の下位群の検索をつけるのが普通であるが、例えば目から属までひとまとめに検索できる表をつけるなどの例もある。属以下の場合も亜属や節が設けられている場合、それに沿って分けて行く。
分類の専門書や専門性の高い目の図鑑ではこの形を取るものが多い。この型の利点は、分類体系に沿った分け方であるために、体系についての見通しがよいことである。問題点はどのような体系にも例外が必ずあることで、そのような種では検索表をたどってたどり着けなくなる恐れがある。また、高次分類群の場合、検索表はほとんど非実用的になりがちである。
例えば、種子植物の目や科を探すための検索表は大変である。さらに琉球植物誌では琉球諸島に分布する維管束植物に対する検索表を載せている。その最初の段階は胞子の発芽のあり方から始まり、これでシダ植物と種子植物に分けているが、これなど実物相手に確認することはまず不可能である。
このような検索表は、知識のあるものは使わないし、全く知らないものには使えない。口さがないものからは、そんなふうに言われることもある。
したがって、一般的な図鑑では、あまり上位の分類群には検索表を置かないのが多く、科や属の段階から各個に検索表をつける。そこまでの判断は絵合わせでやってくれ、と言ったところである。たいていはこれでうまく行くのだが、中にはミゾハコベとミズマツバとスズメノハコベのように、科が全然違うのに外見では似ているものがあり、困らされることがある。
判別を狙ったもの
分類体系を無視してでも、とにかく見分けることを目的として組み立てるものである。鑑別分類的と言ってもいいだろう。
たとえば植物の検索図鑑などのよくあるやり方では、まず葉の形で、単葉と複葉に分けてしまう。そこから鋸歯があるかどうかなど、分類体系にはあまり関係ないが、外見的に判別しやすい特徴で仕分けて行く。
この方法では分類体系的な見通しはよくないが、現実的には扱いやすい。樹木の検索図鑑などにこの例がある。樹木はみな形が似ていて、しかも分類学上で重視される花や果実が見当たらない時が多いので、鑑別的な方が実用的である。
土壌動物ではまず殻があるか、足があるかといった区分で大きく分けるやり方がある。例えば節足動物は足がある区分にはいるのだが、昆虫の幼虫には足のないものも多いので、この両方に少しずつ入っていることになる。
図との併用
検索表は文章で表現できるものを対象とするのが普通であるが、図を併用することもある。専門的なものでは図をつけない例が多い。詳細は各論部分にまかせる姿勢である。むしろ初心者向け、一般向けのそれにつける例が多い。例えばイネ科の検索で、まず穂全体の姿をいくつか例示してその中から選ばせる例(イネのようにバラバラのものか、ムギのようにまとまっているか、と言った風)がある。このような方法は取っ付きやすく、ひとまず大まかにいくつかの型に分ける、という段階を作ることでそれ以降の絞り込みが容易になる。しかし、実際には中間的なものやあいまいなものがあり、すっきりと割り切れないものもある。
問題点
検索表は便利なものではあるが、万能ではない。使い方を間違えては仕方がないし、また検索表という形そのものにも問題がある。
うまく行かない場合の例として、対象とする個体が標準から外れていた場合がある。先述の水田の魚の例で、例えば捕まえた魚が髭の切れたナマズだった場合、髭がないので絶対にナマズにたどり着かない。このような例は複数個体を集めて比較することでほぼ避けられる。植物では、多くの花に突然変異として白花が出る可能性がある。これはあらゆる場合に花色による区別判断を無効化する。
そう言った特殊なものでなくても、個体変異の幅がある場合も困る。たとえばアカネ科ルリミノキ属のマルバルリミノキは葉柄がないか又は短いのだが、これを検索に使おうとすると、「葉柄はないか又は短い」と「葉柄はある」を選択肢にしなければならない。これでは目の前のものがどちらなのか分からない。このような問題を避けるために、検索表の方の工夫として複数箇所に同じ種(などの分類群)を置くこともある。つまり、「葉柄はない」ならマルバルリミノキ、「葉柄はある」なら次の選択肢に進み、そこで「葉脚は左右不対称」ならばまたマルバルリミノキにたどりつける(琉球植物誌の例)。
いずれにせよ、検索表のもつ大きな問題点は、区別すべき特徴に順序をつけることにある。どのように工夫しても、最初の方で選択を間違えると大きくはずれたところに飛ばされてしまう。したがって、検索表をたどって得られた結果は、絶対に鵜呑みにしてはならない。必ず行き当たった分類群の詳しい解説や図版と付き合わせて確認すべきであり、おかしい部分があれば見直す必要がある。
もう一つ、注意すべきなのは検索表が候補を絞る過程であることである。もともと候補に上がっていないものには行き当たらない。しかし、実際に生物を捕まえた場合、それが候補外であること、例えば新発見であったり、未記載種であったりする可能性があることも考える必要がある。
微生物の場合
微生物、特に細菌類では形態が単純であることが多く、生理作用が重要な特徴となっており、例えばどの糖を利用できるかとか、どのような成分を発生させるかなどの特徴で分類される。それを調べるために、代表的なものには識別培地が用意されるが、これを検索表に持ち込むと、なかなかやっかいなことになる。
例えば
- ショ糖を利用可能である
- ショ糖を利用可能でない
に並べて
- ショ糖利用は不明
という項が並び、しかもそこにはいるのが多い事があり、とうてい検索表の体をなさないことすらあるらしい。
代替的手法
先に述べたように、検索表は特徴に順位をつけて扱う点に問題がある。これを避ける試みとして、特徴の一覧を作ってしまう方法がある。
たとえばある属の種を全部取り上げ、次に種の区別に使える特徴や形質を網羅的に取り出し、形質ごとにそれに当てはまる種をすべて上げてしまう。使う側では対象の標本に見られる計質を調べ、それぞれの形質ごとに候補種がわかる。複数の形質を調べて、それぞれの形質から選べる候補種のうちの共通するものが候補として絞られる。それが一つになればそれが本当の候補となる。
例えば先の水田の魚の例であれば、aフナ、bメダカ、cナマズ、dドジョウとすると、以下のような風である。
- 口のそばに髭がある:c, d
- 頭部はやや偏平である:b, c
- 体ははっきりと左右から偏平である:a
- 体表の鱗は明瞭:a, b
- ……
この方法は形質に順位がないのでとにかく分かりやすい形質から順に当たって行けるし、その標本から得られない形質は無視できる。問題は、このような操作が人間の能力では手に余ることである。
しかし、これはカード型データベースにおける絞り込みのやり方そのものなので、ヒトの能力では扱いづらいが、コンピュータを利用する場合は有力である。今後はこの方向での活用も試みられるであろう。
参考文献
- S.T.コーワン (駒形和雄・杉山純多訳) 『微生物分類用語辞典』 (1968、1977日本語版) 学会出版センター
- 片倉晴雄・馬渡俊輔編 『動物の多様性』, (2007), シリーズ21世紀の動物科学2(培風館)
検索表
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/15 10:22 UTC 版)
最初に Ridsdale & Bakhuizen van den Brink (1975:543–544) における検索表のうち一部を、次いで Ridsdale (1978:320–323) における検索表の全体を示す。見ての通りいずれもコリン・リズデイルが設定に携わったものであるが、それぞれが対象とする属や地域の範囲に差異があるため、2種類の検索表を個別に示すこととする。 Ridsdale & Bakhuizen van den Brink (1975): アフリカおよびマダガスカルのタニワタリノキ連(他地域の種に関しても考慮に入れられている)。ただしこの時ヤマタマガサ属(Cephalanthus)・ミトラガイナ属(Mitragyna)・カギカズラ属(Uncaria)の3属とそれ以外のもの(リズデイルのいう「狭義のタニワタリノキ連」)とを区別する措置が取られている。またこの時点ではヨヒンベノキ属(Corynanthe; シノニム: Pausinystalia)はタニワタリノキ連には含まれていなかった。 1.1a. 2つの胎座が隔壁に様々な接し方をする; 上部3分の1で接している場合は2本の短い上向きの腕と長い下向きの足でY字形となっているか、あるいは小さく短い倒卵状の突起である; 中間で隔壁に接している場合は中央に結合のある円盤状か、あるいは偏長形からわずかに2裂し枝分かれがない; 胎座の色は淡色である; 胎座ごとの胚珠や種子が下垂する(こちらの方が優勢)か、あるいは全方向にだだ広がり、決して胎座の全長に沿って上向きに重なり合う鱗状とはならない。小果が花托上で結合せずに内果皮が下から上に向かって裂けるか、あるいは緩く結合して非裂開性か、あるいは複数の子房と複数の小果が融合して(疑似的な)集合果となる。花冠裂片が鱗状に重なり合う(アジアやマレー群島区系では重なり合わないものもある)。……3. へ 1b. 2つの胎座は隔壁に沿着するか、あるいは上部3分の1で接し、長く下垂し、厚く、暗褐色から黒色; 胎座ごとの胚珠や種子は胎座全体に沿って上向きの鱗状に重なり合う。小果は花托上で結合せず、果実の内果皮は上から下に向かって裂ける。花冠裂片は互いに重ならずに接し合う敷石状である。……2. へ 2.2a. つる性で、短い花軸が鉤爪となり、種子が翼(よく)つきで長い尾を有し、尾の一つが2つに分かれる。…… カギカズラ属 2b. 高木性で、短い花軸は鉤爪とはならない; 種子に翼(よく)はあるが尾は長くなく、尾の一つには時に浅く刻み目がつく。…… ミトラガイナ属 3.3a. 胚珠が単一で、珠柄(しゅへい)によく発達した仮種皮が見られる。…… Cephalanthus natalensis 3b. 胚珠は単一から多数で、仮種皮は存在しない。……「狭義のタニワタリノキ連」 Ridsdale (1978): 全世界の「狭義のタニワタリノキ連」 (Razafimandimbison & Bremer (2002) からヤマタマガサ属・ミトラガイナ属・カギカズラ属・ヨヒンベノキ属を除いたもの)。一部の属に関しては今日では受容されていないものや、受容されていても構成種の内訳が今日受容されているものとは異なるものがある為、その都度注釈で詳細な説明を行うこととする。 1.1a. 萼筒(英語版)や小果の集合は癒合していない(参照: 右側の果実の図、下段)。…… 8. へ 1b. 萼筒や小果の集合は最初から癒合し集合果となる(参照: 右側の果実の図、上段左2つ)か、花や若い果実の段階で癒合するか、もしくは結合して疑似的な集合果を為す(参照: 右側の果実の図、上段右2つおよび中段)。…… 2. へ 2.2a. 頭状花が必ず頂生する; 柱頭が紡錘形あるいは球形である。大陸アフリカ、大陸アジア、マレー群島区系に分布する。…… 4. へ 2b. 頭状花は必ず側生である; 柱頭は棍棒形から球形である。マダガスカルに分布。…… 3. へ 3.3a. 頂生生長の芽が円錐状である。頭状花が強く結合する托葉で囲まれ、托葉が帽子様で横周裂開性である。…… #Breonia属 3b. 頂生生長の芽は強く扁平である。頭状花は緩く伏した卵形の苞のような托葉で囲まれ、托葉は後に分離する。…… Breonia decaryana 4.4a. 頭状花あるいは若い果実序が擬似的な集合果となり、子房壁と隣接する節ではっきりと認められる。柱頭が紡錘形となる(Ochreinauclea属の場合)か球形となる。種子が翼(よく)つきで、時に長い尾が見られる。…… 7. へ 4b. 頭状花や果実序は真正の融合した集合果となるか、見かけ上そのようになり(Ochreinauclea属の場合)、子房壁と隣接する節でははっきりとは認められない。柱頭は紡錘形である。種子は卵状から楕円状で、翼(よく)はついているものとそうでないものとがあり、長い尾は決して見られない。…… 5. へ 5.5a. 頂生生長の芽が角錐状から幾ばくか扁平である。托葉がデルタ字(Δ)状か短く鈍角で、準宿存性である。胎座は隔壁の中心につき(右図を参照)、幾ばくか円盤状である。アフリカに分布する。…… ナウクレア・ラティフォリア(Nauclea latifolia)およびシボ(Neuclea pobeguinii) 5b. 頂生生長の芽は扁平か、円錐状から角錐状(ただしこの場合アフリカには分布せず)である。托葉は卵形、楕円形、もしくは倒卵形、はたまた幾ばくか細く3角形(アフリカには見られない)、脱落性か準宿存性である。胎座(右図を参照)は隔壁の上部3分の1につき、Y字形か、あるいは隔壁の中心に付き心臓形であるがアフリカには分布しない。大陸アジア、マレー群島区系、アフリカに分布する。…… 6. へ 6.6a. 頂生生長の芽が扁平で、まれに幾分か細く3角形・強く竜骨状となり、見かけは幾ばくか円錐状となり、この場合に托葉は濃く細軟毛が見られる。托葉が芽においては伏しており、(細く)楕円形から倒卵形、まれに幾ばくか細く3角形で、無毛から濃く細軟毛つきで、竜骨状となるものやならないものがあり、ふつう脱落性である。萼片は短く、鈍角かへら形で、宿存性である。種子は卵状から楕円状で、時にわずかに偏平で、翼(よく)はない。大陸アフリカ、大陸アジア、マレー群島区系に分布。…… ナウクレア属 6b. 頂生生長の芽は円錐状から角錐状である。托葉は芽において半跨状で、細く3角形から偏長形、無毛で、竜骨状にはならない。萼片は偏長-3角状で、宿存性である。種子は翼(よく)を持つ。大陸アジア、マレー群島区系に分布。…… #Ochreinauclea属 7.7a. 頂生生長の芽が円錐状から角錐状である。托葉が芽において半跨状で、細3角形から偏長形である。萼片が偏長形-3角状で、宿存性である。柱頭が紡錘形である。胎座が心臓形で、隔壁の中心についている。種子が翼(よく)を持つが長い尾は見られない。…… #Ochreinauclea属 7b. 頂生生長の芽は扁平。托葉は芽において伏しており、楕円形から卵形-偏長形(-披針形)である。萼片には棍棒形から倒円錐形の脱落性の先端部分が認められる。柱頭は球形である。胎座は小さな倒卵状の突起が隔壁の上部3分の1についている。種子は翼(よく)を持ち、腹面の翼(よく)は長い尾つきで、最短でも中央部分の長さの5倍はある。…… #Myrmeconauclea属 8.8a. 柱頭が球形か倒卵状から(倒卵-)棍棒形(まれに幾分3角状)で、時に尾根がある。胎座(右図を参照)は短い倒卵状の突起が隔壁の上部3分の1についている。種子は扁平で、3角の突起があるか翼(よく)があり、時に長い尾が見られる。…… 11. へ 8b. 柱頭は紡錘形である。胎座(右図を参照)は心臓形から線-偏長形からわずかに2裂し、隔壁の中心に接するか沿着する; あるいは胎座は「┤」の形かY字状で隔壁の上部3分の1についている。種子は卵状から楕円状、3角状あるいは扁平で翼(よく)つきである。…… 9. へ 9.9a. 胎座が心臓形であり、細い茎により隔壁の中心についている。萼筒や小果が擬似的な集合果を形成し、小果は落ちた果実では分裂している。種子が扁平で、翼(よく)つきである。大陸アジアおよびマレー群島区系に分布。…… #Ochreinauclea属 9b. 胎座は線形-偏長形からわずかに2裂し隔壁の中心部に沿着するアフリカ産、あるいは胎座は「┤」の形かY字形で隔壁の上部3分の1に接するアジア産もしくはマレー群島区系産である。小果は非裂開性である。種子は卵状から楕円状あるいは3角状で、翼(よく)はない。…… 10. へ 10.10a. 頂生生長の芽が円錐状; 托葉が芽においては半跨状で、細3角形である。子房の上部が4室で洞があり、白く、軟骨質の構造を持つ(右の胎座の図版の上段を参照); あるいは子房は2室で全体にわたって4つの固形のガラス質の構造を持つ。大陸アジアおよびマレー群島区系に分布。…… #クビナガタマバナノキ属 10b. 頂生生長の芽は扁平; 托葉は芽においては伏しており、卵形である。子房は2室で、太くなった構造物は持たない。アフリカに分布。…… Nauclea nyasica 11.11a. 頭状花が絶対に側生であるか、側生が優勢であり、時に短めの若枝上に頂生する。…… 23. へ 11b. 頭状花は絶対に頂生である。…… 12. へ 12.12a. 花同士の間に小苞が存在する。…… 16. へ 12b. 花同士の間に小苞は存在しない。…… 13. へ 13.13a. 頂生生長の芽が強く扁平である; 托葉が楕円形から卵倒形である。…… 15. へ 13b. 頂生生長の芽は円錐状である; 托葉は細3角形から長披針形である。…… 14. へ 14.14a. 頭状花がふつう6個以上; 複数の萼の直径が(3-)5-8、複数の花冠の直径が10-15ミリメートル。柱頭が縦方向の尾根つきで、必ず大量の花粉で覆われる。萼片が楕円-披針形から剣状もしくはへら状となり、先端部分は脱落性あるいは半宿存性で、若い頭状花の際は未熟な花冠よりも短い。ボルネオ、フィリピンに分布。…… #Ludekia属 14b. 頭状花は1-3(-5)個; 複数の萼の直径は8ミリメートルを超え、複数の花冠の直径は15ミリメートルを超える。柱頭は平滑で、さほど大量の花粉に覆われてはいない。萼片ははっきり膨れた倒3角状からへら状もしくは幾ばくか棍棒状で先端部分は脱落性、若い頭状花の際は未熟な花冠よりも長く、花冠を覆い隠す。ニューギニア、モルッカ諸島に分布。…… #マルバハナダマ属 15.15a. 萼筒や小果が絶対に癒合しない。種子の腹面の翼(よく)が中央部分の長さの3倍以下である。低木や高木で、時に流水に生育する。…… #マルバハナダマ属 15b. 萼筒は癒合せず、若い果実の段階で緩く合着しだして疑似的な集合果を形成し、熟した小果は互いを繋ぐ繊維の腐敗により分離していく。種子の腹面の翼(よく)は中央部分の長さの5倍を超える。大半が流水に生育し、時に高木性である。…… Myrmeconauclea属 16.16a. 花同士の間の小苞が糸状から糸-棍棒形からへら形である。…… 18. へ 16b. 花同士の間の小苞は円錐状、光沢があり、無毛である。…… 17. へ 17.17a. 萼片が長い倒3角状からへら状もしくは幾ばくか棍棒形の脱落性の先端部分を持つ。スリランカには分布しない。…… #マルバハナダマ属 17b. 萼片は楕円-偏長形で、脱落性の先端部分は持たない。スリランカに分布。…… #Diyaminauclea属 18.18a. 頂生生長の芽が強く扁平とはならず、角錐状から円錐状となるか、あるいは曖昧な形となり、托葉で緩く囲われる(ヘツカニガキには見られない)。托葉が全縁か浅く刻み目つきから深く2裂となる。花冠裂片が重なり合わない敷石状で、時に先端が(半)鱗状となって重なり合う。…… 20. へ 18b. 頂生生長の芽は強く扁平となる。托葉は全縁。花冠裂片は重なり合う鱗状か重なり合わない敷石状で、先端は部分的に重なり合う半鱗状である。…… 19. へ 19.19a. 萼片が極めて短く、鈍角である。花冠裂片が重なり合う鱗状である。北東インド、ビルマに分布。…… #Khasiaclunea属 19b. 萼片は楕円-偏長形。花冠裂片は重なり合わない敷石状であるが、先端は部分的に重なり合う半鱗状である。モルッカ諸島に分布。…… Adina fagifolia (Teijsm. & Binn. ex Havil.) Valeton ex Merr. 20.20a. 頂生生長の芽が曖昧な形で、緩く托葉に囲われる。托葉が長さ3分の2を超えて深く2裂する。頭状花が単一で、まれに7個以下のものもあり、単密錐花序様となる。胚珠が各室につき4個以下である。…… タニワタリノキ属 20b. 頂生生長の芽は(知られている限りでは)角錐状から円錐状。托葉はデルタ字状から細3角形か偏長形、時に先端に浅い刻み目が見られる。花序は多数の頭状花を持ち、概して7個よりも多い。胚珠は各室につき4-12個。…… 21. へ 21.21a. 萼片が短く、鈍角で、濃く長柔毛が生える。花冠筒にも濃く軟毛が生える。頭状花が(1-)3-9(-13)個で、花の側軸が分枝しない。日本、台湾、中国を横断してビルマ、タイ北東部に分布する。…… ヘツカニガキ 21b. 萼片はデルタ字状から楕円-偏長形、長柔毛はさほど濃くは生えない。花冠筒の軟毛もさほど濃くはなく、まれに粗粉のように軟毛が生えるものもあるが、その場合分布はタイの半島部、モルッカ諸島、ニューギニアである。…… 22. へ 22.22a. 頭状花が多数つき、概して10個以上で、花の側軸は分枝し、数個の頭状花をつける。…… Adina trichotoma (Zoll. & Moritzi) Benth. & Hook.f. ex B.D.Jacks. 22b. 頭状花は1(-3)個である。…… Adina eurhyncha (Miq.) Å.Krüger & Löfstrand、A. metcalfii Merr. ex H.L.Li、A. malaccensis (Ridsdale) Å.Krüger & Löfstrand、A. multifolia Havil. 23.23a. 花同士の間に小苞が存在する。…… 24. へ 23b. 花同士の間に小苞は存在しない。…… 27. へ 24.24a. 葉が、少なくとも複数の主軸にあるものは3あるいは4の輪生となる。大陸アフリカとマダガスカルに分布。…… Breonadia属 24b. 葉は全て対となる。大陸アジアとマレー群島区系に分布。…… 25. へ 25.25a. 頂生生長の芽が扁平。托葉は全縁、軟毛、竜骨状、芽においては伏す。大陸アジアに分布。…… ハルドゥ 25b. 頂生生長の芽は扁平とはならず、円錐状か曖昧な形状であり、緩く托葉に囲われる。托葉は芽においては半跨状で全縁あるいは2裂、多かれ少なかれ芽においては互いに離れている。大陸アジアおよびマレー群島区系に分布。…… 26. へ 26.26a. 頂生生長の芽が緩く托葉で囲われる。托葉が深く2裂し、幾ばくか宿存性で、芽においては多かれ少なかれ互いに離れている。胚珠が各室につき4個以下である。…… タニワタリノキ属 26b. 頂生生長の芽は円錐状。托葉は半跨状で、上部3分の1は時に糸状に2裂するか全縁。胚珠は(2-)4-10個である。…… Adina eurhyncha (Miq.) Å.Krüger & Löfstrand、A. metcalfii Merr. ex H.L.Li、A. malaccensis (Ridsdale) Å.Krüger & Löfstrand、A. multifolia Havil. 27.27a. 頂生生長の芽が円錐状であり、superobvoluteな托葉を伴う…… Gyrostipula属 27b. 頂生生長の芽は強く扁平であり、伏した托葉を伴う…… Janotia属
※この「検索表」の解説は、「タニワタリノキ連」の解説の一部です。
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