地形と海洋生態系
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/08/13 06:02 UTC 版)
タイドプール(英: tide pool) または 潮溜り(潮だまり、しおだまり) 主に潮間帯で干潮時でも海水が残っているところ。潮間帯特有の小形の魚や、沖に棲む魚の幼魚や稚魚がみられる。 外洋(がいよう、英: open sea) または 外洋域(がいよういき、英: oceanic region, oceanic zone) 水深200m以深の沖合一帯。岸から沖合に向かっての水平区分のうちの一つ。陸からの栄養が届かず、栄養分的に貧しい。複雑な地形が少なく、単純な環境なため魚種が少なく、一つの種が大きな群れを作り遊泳していることが多い。遊泳力の優れた魚がみられる。 沖合(おきあい、英: off-shore) 陸方に対し、外海部のことを言う。 沿岸(えんがん、英: coast) または 沿岸域(えんがんいき、英: littoral zone) 水深200m以浅の岸部。岸から沖合に向かっての水平区分のうちの一つ。海浜域(かいひんいき)と沿岸域に二分されるがどちらも潮汐、塩分濃度、海藻の発達など環境多様性を反映し、魚類相は豊富。熱帯域ではサンゴ礁性魚類が、温帯域ではカレイ類、タラ類などが代表種。サケ・マス類は産卵接岸時に沿岸魚となる。 大陸棚(たいりくだな、英: continental shelf) または 陸棚(りくだな) 水深200m以浅の海底。 サンゴ礁(珊瑚礁、さんごしょう、英: coral reef) 炭酸カルシウムの骨格を大量に生産する造礁サンゴ、有孔虫、石灰藻などの造礁生物(ぞうしょうせいぶつ、英: hermatypic prganism)の骨格が集積してできたサンゴ礁石灰岩が海面近くまで達して防波構造物となる地形。サンゴ礁は造礁サンゴを中心に魚や甲殻類の棲み家となり、海洋生態系の中で最も種多様性の高いサンゴ礁群集(珊瑚礁群集、さんごしょうぐんしゅう、英: coral reef vommunity)が形成される。環礁も参照。礁湖(しょうこ、英: lagoon, coral lake) サンゴ礁に取り囲まれた水域。礁湖が形成されるサンゴ礁は主に、陸地とサンゴ礁の外縁が数km離れる堡礁(ほしょう、英: barrier reef)である。 岩礁(がんしょう、英: rock reef) 根(ね) 平坦な砂泥などの海底から立ち上がった岩。周辺は魚の格好の棲み家となる。回遊魚でも沖の海底にある根にやってきて、そこを餌場とするものもいる。根の周囲に棲む魚を根付きの魚という。 砂底(さてい) 海底の底質の用語。砂の海底。磯と比較すると単純で、生息している生物の種数は少ない。ソウハチ、アオミシマ、クサフグなど砂に身を隠す生物が多く見られる。砂泥底(さでいてい) 砂交じりの泥からなる海底。沿岸から離れた岩礁は平坦な砂泥底となる。ハタハタやキス、コチ、ホウボウ、ヒラメ・カレイ類など多くの底生魚が生息する。 砂礫底(されきてい) 小石交じりの砂からなる海底。 遮蔽海岸(しゃへいかいがん) 湾奥などで外洋水の交流が少ない海岸。 河川(かせん、英: river) または 川(河、かわ) 淡水のうち流水域。河川に棲む生物の群集を河川の群集(かせんのぐんしゅう、英: stream community, lotic community)といい、河川に生息している生物の生活様式、生理的特性、種類組成や環境条件を総合して識別された河川の区分を河川の生態的区分(かせんのせいたいてきくぶん、英: ecological division of the river)という。日本ではアマゴ域、オイカワ域、コイ域の区分がある。同様の区分として、欧米諸国では古くからトラウト域(英: trout region)、グレイリング域(英: grayling region)、バーベル域(英: barbel region)、ブリーム域(英: bream region)に区別されていた。瀬(せ、英: rapid) 河川のうち流水性が卓越し底質が岩石からなる部分。 淵(渕、ふち、英: riverpool, stream pool) 河川のうち止水性が強く砂泥の堆積する部分。 湖沼(こしょう、英: lake) または 湖(みずうみ、英: lake)、池(いけ、英: pond)、沼(ぬま、英: marsh) 湖と沼の区別は厳密でなく、規模により分けることが多い。規模が大きい場合湖流'(こりゅう)が発生し、河川と似た環境となる。夏季には高水温となることが多い。代表的な生息魚種はコイ、ギンブナ、オイカワ、アカヒレタビラ、タナゴ、モツゴ、ナマズ、メダカなどである。 感潮域(かんちょういき) 川の中で、潮の干満の影響を受ける区域。汽水域より広い意味でつかわれる。 汽水域(きすいいき) 河川から流入する淡水と海水が混じっている水域。内湾に流れ込む大きな河川の河口では、広い範囲にわたって汽水域ができ、川が運んできた有機物に富んだ土砂が堆積し干潟が形成される。ここには魚の餌となる底生生物が多く、これを食物として一生汽水域で過ごす魚や、沖に棲む魚の仔稚魚などが多く見られる。 砕波帯(さいはたい) 波打ち際と砕ける波の沖側限界との間を言う。アユなど多くの種の仔稚魚期の生育場として重要である。 藻場(もば、英: seaweed bed) 大型の水生植物や藻類が群落を作っている場所。アマモが生育する藻場をアマモ場、ホンダワラの生育する藻場をガラモ場という。 流れ藻(ながれも、英: drifting seaweed, floating seaweed) 褐藻類やホンダワラなどの大型の海藻が岩場から離れたりや本体からちぎれて海中に出て浮遊したもの。産卵場や幼魚の育成場となる。生息地としての意味を持ち、一つの生態系が構成されている。ツバメウオなどは流れ藻に産卵する。サルガッソ海ではホンダワラが浮漂したまま繁殖を続けており、そこに生活するのに適応した形態の魚類や甲殻類が分化している。 マングローブ(英: mangrove) 海山(かいざん、英: seamount) アルカリ栄養湖(-えいようこ、英: alkalitrophic lake) カルシウム含有量の特に多い湖。アフリカ中央地溝帯など大陸内部の乾燥地域にみられ、アルカリ性は炭酸ナトリウムの解離による。生産力は大きいが非調和的。生物の種類は少なく、アルスロスピラ属(Arthrospira)など藍藻類が水の華(英: water-bloom)を形成し、動物プランクトンはワムシ類が生息する。魚類はティラピアおよびヒレナマズ属(Clarias)が生息している。 人工魚礁(じんこうぎょしょう、英: artificial reef, artificial fishing reef) 集魚の目的で人工的に構築した海中構造物。天然の魚礁を模して海底に沈設することもおおいが、最近は浮体を係留する浮魚礁(うきぎょしょう、パヤオ、英: payaos)も増えてきた。船を沈めるなどして集魚することは江戸時代から行われており、築磯などと呼ばれてきた。1952年から国の補助事業として実施され、1954年から魚類を対象する人工魚礁とそれ以外の築磯に分けられたのがこの用語が公式に使われた最初である。魚礁に魚が集まるのは餌、隠れ場のほかに渦流効果や陰影効果のためといわれている。
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