たいりくだなとは? わかりやすく解説

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たいりく‐だな【大陸棚】


大陸棚

読み方: たいりくだな
【英】: continental shelf

陸地取り巻く平たんな海底地形17 世紀から知られていたが、大陸棚という用語を確立したのは Mill1888)と有名なチャレンジャー号探検航海後の Murray and Renard(1891)である。
以後大陸棚に与えられ多くの定義のうち、国際測地学・地球物理学連合IUGG主催委員会採択されWiseman and Ovey(1953)によって発表され次の定義が海底地形上しばしば引用されている。すなわち“低潮線始まり深海向かって著し傾斜増大生ず深さまでの大陸取り巻海底地域を大陸棚という。この傾斜増大する場所は大陸棚外縁shelf edge)と呼ばれ慣習的に 100 ファゾム(183m)または 200m の所にとられる。しかし傾斜急増200 ファゾム上の水深でも、65 ファゾム以下の水深でも起こることがある。もし低潮線以深の海底地形甚だしく規則典型的大陸棚よりも水深大き部分包含するとき、この海底地域大陸境界地(continental borderland)と呼ばれるのが適当である。”大陸棚外縁は Dietz and Menard1951)に従いshelf break と言い換えることもある。その世界における平均水深はほぼ 130m であるが、南極海では約 400m達する。また大陸棚の幅員平均 78km とされるが、北極海のごとく 400km を超えるところもある。大陸棚地形最大特徴傾斜の緩い(1:1,000 以下)ことと、起伏少ない(20m 以下)ことである。これは過去100 万年の間に世界的規模海水準上昇低下繰り返したことによる削剥さくはく}(波食)と堆積たいせき}の相乗的累積結果みなされている。特に現在の大陸棚外縁は約 1 万 8,000 年前、すなわち最も氷河の発達した第四紀ビュルム氷期海水準低下により形成されたといわれている。
大陸棚は世界海底面積の約 7.5 %(27×106km2)を占めるが、海底石油資源量の約 65 %を保持する推測され石油探鉱上重要な地位占める。以上自然科学上の大陸棚について説明したが、国際法上の大陸棚について以下に述べる。1958 年大陸棚条約では、大陸棚は領海の外にある海底およびその地下上部水域水深200m までのもの、またはその限度超える場合には上部水域水深天然資源開発可能にする限度までのものと定義した。“または”以下の文言除けば前述自然科学上の定義に近い。しかし、1982 年国連海洋法条約では全く異質の定義が与えられた。すなわち“沿岸国の大陸棚とは、沿岸国の領海越えてその領土の自然の延長をたどり、大陸縁辺部外縁まで延びている海面下の区域海底およびその地下または、大陸縁辺部外縁領海の幅を測定するための基線から 200 海里の距離まで延びてない場合には、当該基線から 200 海里までの海面下の区域海底およびその地下をいう(第 761 項)。大陸縁辺部は、沿岸国の陸塊海面下の延長部分から成るものとし、斜面およびライズ海底およびその地下構成される。ただし、大洋底およびその海洋海嶺かいようかいれい}またはその地下含まない(同 3 項)”と定義された。このように国際法上の大陸棚は自然科学上のそれと全く異なった概念になってしまったので、混乱避けるため前者を“法的大陸棚(石和田, 1984)、legal continental shelfEmery and Uchupi, 1984)”ということがある。
法的大陸棚は地学上の大陸縁辺部にほぼ対応するかに見えるが、大陸棚縁辺部の外縁領海基線から 200 海里未満にあるときは、水深地形地質に全く関係なく海面上の距離である 200 海里までの海底とその地下取り込む二元的性格となっている。これは排他的経済水域海底包摂するためにとられた処置思われるが、このため太平洋大陸縁辺部においては、常に水深 5,000m を超える海溝深海底国際法上沿岸国の大陸棚に含まれるおかしなことになり、多く地質学者反発買ったさて、国連海洋法条約の大陸棚の定義は、本来沿岸国の管轄下にある海底国際海底との境界確定するためのものである。そこで領海基線から 200 海里超える法的大陸棚と深海底Area)との境界人為的に決定するための方法と(制限条件詳しく規定している。境界線すなわち法的大陸棚の外限は、60 海里超えない間隔にある定点を結ぶ直線群で規定されるが、それらの定点は、大陸斜面脚部からの最短距離1 %またはそれ以上堆積岩層厚あるような点として選ばれる堆積岩層厚用いなくても、大陸斜面脚部から 60 海里超えない範囲定点設定して差し支えないこのようにして引かれた外限も、領海基線から 350 海里超えてはならず、または 2,500m水深線から 100 海里超えてはいけない。この 2 種類制限沿岸国の選択任されるが、等水深線を用い方法大陸縁辺部属さない海嶺に対して適用されず、“ 350 海里制限のみが有効である。この意味は、例え大西洋中央海れいやアフリカ西岸のウォービス海れいのような海洋性地殻から成る大洋中の海れいに適用すると、2,500m水深プラス 100 海里制限は非常に大きな面積法的大陸棚を与えることになるので、その防止のためなのである(図参照)。
国連海洋法条約では以上のごとく非常に難解かつ自然科学とは無縁の大陸棚の定義を下したが、その背景にある考えは、石油生成可能性のある堆積岩体は原則としてすべて沿岸国の管轄権の下に置くことである。そのため一般に堆積層の厚いコンチネンタル・ライズ法的大陸棚に取り込んだわけで、大陸棚条約における“開発可能な水深まで”を最大限取り入れたものといえよう。国連海洋法条約VI部(大陸棚)を大陸棚条約比較すると、大陸棚の定義の本質的変ぼう200 海里超える大陸棚の開発対すレベニュー・シェアリング制度新設および大陸棚の境界画定において中間線等距離原則表現消滅したことが顕著である。その他の沿岸国の権利上部水域および上空法的地位海底電線および海底パイプライン敷設に関するすべての国の権利、などについてはほとんど変化はない。(→大陸縁辺部コンチネンタル・ライズ大陸斜面排他的経済水域海の境界画定大陸棚条約

図 国連海洋法条約における大陸棚の定義と地学上の海底地形区分(図解)

たいりくだな

出典:『Wiktionary』 (2021/08/16 02:18 UTC 版)

名詞

大陸  (たいりくだな)

  1. 陸地周辺にある深さ200メートルまでの緩やか海底

発音(?)

東京アクセント
た↗いりく↘だな[1]
た↗いりくだな[1]

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脚注




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