喜翆荘の従業員
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/09 16:41 UTC 版)
湯乃鷺温泉街にある温泉旅館「喜翆荘」で働く人々(「主要な人物」に記載した4名以外)。 四十万 スイ(しじま スイ) 声 - 久保田民絵、本田貴子(若い頃) 喜翆荘の女将で、緒花にとっては母方の祖母。若くして夫に先立たれ、その後は女手ひとつで喜翆荘を切り盛りしてきた68歳。血液型はO型。 半ば白髪の老女。常に背筋を伸ばして凛とした佇まいを崩さない。女将としての衣裳は裏葉柳色の和服。 長女・皐月を勘当し、お互いに音信不通だったが、夜逃げした皐月から連絡を受けて皐月の娘である緒花を引き取ることになった。そうして、緒花を地元の高校に通わせるかたわら、「働かざる者食うべからず」として、高校を卒業するまでの間、喜翆荘で仲居見習いのアルバイトをさせることとした。 旅館の仕事に対して高いプライドと揺ぎ無い信念を持っており、緒花を含めて全ての従業員にも厳しく接し、自分にも厳しい。その一方で、凛とした強さと優しさも醸し出している彼女は従業員から尊敬の念を抱かれてもいる。それは実孫である緒花にしても変わりなく、私生活においてさえ、敬愛を籠めて「女将さん」と呼んでいる。 常に和服を着ている。愛煙者であり、煙管を咥えて煙草を燻らせていることが多く、不手際をした人間に根性焼きをすることもある。 昔は仲居として別の旅館で働いており、その時に同じ旅館に勤めていた堅物であった料理人の夫と一緒になるために5回アタックしたことや、喜翆荘を繁盛させるためにいろいろと模索を重ね、そのたびに夫といろいろあったことなど、現在のスイからは想像できない数々の逸話を、スイ自身や常連客を始めとするスイをよく知る人たちから聞くことができる。 四十万 縁(しじま えにし) 声 - 浜田賢二、日笠陽子(幼少期) 喜翆荘の番頭。スイの長男で、皐月の弟、そして、緒花の叔父にあたる。32歳。血液型はO型。 人柄はとても良いが、至って優柔不断な性格で、出来のいい姉に対して憧れに近いコンプレックスを抱いている。少年時代にはお年玉を強奪されたり宿題を押し付けられたりと皐月によって散々な目に遭わされていて、それらの想い出もコンプレックスを抱く原因になっている。皐月が家業を継がずに家を出てしまったため、「自分が喜翆荘を支える」という思いが人一倍強く、何とか繁盛させようと心血を注いでいるが、思いが強すぎるせいか、客観的・冷静的な判断ができずに行動が裏目に出ることが少なくない。スイにはこれらの面を含めて「あの子は旅館経営には向いてない」と批評されるなど、未熟な点が多い。皐月同様ノリは軽いものの、仕事はきちんとこなしており、不景気な時世にあって大学時代の後輩でもある経営コンサルタント・川尻崇子と共に経営の好転を図って模索し続けている。 大学時代は映画研究会に所属しており、旅館の長男に生まれていなければ今頃は映画監督になっていたと自分では思っている。崇子との恋愛では、公私の試練を共に何とか乗り越えて、皆に祝福される結婚に漕ぎ着ける。結婚後は崇子から「エニシング(say anythingの略。隠し事のない仲という意味)」と呼ばれる。 宮岸 徹(みやぎし とおる) 声 - 間島淳司 喜翆荘の二番板前で、民子の教育係も務めるいい青年。23歳。血液型はA型。 板前の制服は紺色。 仕事には厳しく、ミスをした民子を大声で叱り、当初は緒花からあまり好く思われていなかったが、普段は気さくな青年で、頼れる兄貴的存在でもある。板前見習いとして彼の下に付く民子は徹に恋焦がれているが、場の空気が読めない徹には全く気付かれていない。緒花や菜子も空気が読めないタイプだが、徹のそれは彼女らの比ではなく、民子をそれと気付かないままに傷付けるが、民子はそれも受け容れる一途さを見せて彼のことをかばう。異性として意識していると民子が疑念を抱くほど当の本人は緒花をたびたび気にかけている。 カワサキ・ゼファー (1100cc) で出勤している。 富樫 蓮二(とがし れんじ) 声 - 山口太郎 喜翆荘の板長(花板)。42歳。血液型はA型。 角刈りで左眉毛に刃物傷がある見た目に違わず、基本的に男気を旨とする寡黙な人物だが、実のところコミカルな一面も隠し持っており、話が進むに連れてぼろを出すように露呈されてゆく。料理人としては凄腕だが、プレッシャーにはからっきし弱く、色恋沙汰にも耐性が低い。また、「北陸で一番スカジャンが似合う男」を自負し、15万円もする豪奢な逸品に給料を注ぎ込むほどのマニアだが、菜子の何気ない毒舌でその事を一蹴されるなど、周りとはややズレた感覚を持っている面もある。 出勤にはスバル・サンバー(バン)を使っている。 助川 電六(すけがわ でんろく) 声 - チョー 喜翆荘の営繕。73歳(推定)。血液型はO型。40年前の喜翆荘開業時からずっと働いている唯一の古株で、業務日誌も担当している。「電六= でん六豆」とかけて「豆じい」とあだ名されている。誠司およびスイとは前の旅館で一緒に働いていたときからの知り合いで、喜翆荘を立ち上げるときにも手伝った。 何を考えているのかよく分からない無口な老人で、ボイラー室でずっと炎を眺めているときの自分が好きという。 最終話で孫と余生を暮らしたいとの意向から、喜翆荘を退職した。 次郎丸 太郎(じろうまる たろう) 声 - 諏訪部順一 喜翆荘に長逗留している、売れない小説家。31歳。血液型はB型。 一流作家に付きもののカンヅメ状態に憧れての行為だが、宿泊費をまったく払っていなかった。一流の小説家であるかのように振舞っていたが、実際はまともに執筆できないほど落ち込んでおり、ある日を境に、智を捨ててエロティシズムに流されようと考えを改め、「社会派官能小説」(本人曰く)を書き始める。緒花が原稿を紛失したことにクレームを付けて宿泊費を踏み倒そうとしたが、狂言とバレてしまい、己を恥じつつ将来に絶望し、断崖から海に身を投げて自殺を図るも、泳ぎの得意な菜子によって救助される。緒花やスイの説得で改心した次郎丸は、その後、スイの提案に従い、喜翆荘で働くことで宿泊費を返しながら、賞の獲得を目指して諦めることなく執筆し続けるという、微妙な立場に収まった。 徹や民子も子供の頃に夢中になって読んだという昔懐かしい料理漫画『流れ包丁鉄平』は、彼が美布二郎(みふ じろう)の筆名で原作を書いていた経歴をもつ。売れなかった時代に編集から声をかけられて引き受けた作品ではあったものの彼の中では上出来の部類に入る作品だったらしく、『流れ包丁鉄平』によって料理の道を志した徹や民子にとっては人生の選択を後悔するほどの衝撃を与えた。 このことに民子と徹が衝撃を受ける場面が作中見られた。 四十万 誠司(しじま せいじ) 声 - 近藤孝行 喜翆荘の先代でスイの夫。故人。血液型はO型。 昔は料理人で、スイとは同じ旅館で働いていた。スイとの結婚が決まった40余年前、勤め先の旅館の社長から跡取りがいない知り合いの旅館を引き受けることになり、そこから喜翆荘を立ち上げた。屋号「喜翆荘」の名付け親であり、「スイ(翆)が喜ぶ旅館」という意味が込められている。
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