円山川とは? わかりやすく解説

円山川

四季あざやか自然豊かな但馬母なる川 円山川
円山川は、水源朝来郡生野町円山とし、途中大屋川八木川稲葉川出石川及び奈佐川等の95支川合わせて但馬中央部北流して日本海に注ぐ一級河川です。その流域面積は約1,300km2幹川流路延長は約68kmです。東西支川の上流端には氷ノ山等の標高1,000~1,500m山地連なっており、平野部豊岡盆地中心とした穀倉地帯となってます。86%を山地部占め、残る約14%が平地部となっている流域内には、約15万人人々暮らしており、直轄管理区間となる下流域にはその半分の約8万人集中してます。

「円山川」武田良雄氏 提供 (円山川写真集~フレームで見る円山川~より)
「円山川」武田良雄氏 提供
(円山川写真集フレームで見る円山川~より)

河川概要
水系円山川水系
河川名円山川
幹川流路延長68km
流域面積1,300km2
流域内人150,557
流域関係都県兵庫県

円山川流域図
○拡大図
2.地域の中の円山川
"「柳行李」は円山川が生み出した地場産業繰り返す氾濫形成した湿地帯には、その原料であるコリヤナギ生息しました。また、今では絶滅したコウノトリ最後まで生息していた豊岡盆地。現在、人工繁殖させたコウノトリ野生に戻す取り組み地域をあげて実施してます。"

円山川と地域社会とのつながり

●「柳行李(やなぎごうり )」と円山川
柳行李
柳行李
円山川の繰り返す洪水を防ぐために、河口域にあった閉塞部を切り開き豊岡盆地泥流日本海流し込んだアメノヒボコ伝説」が実在するのは、この地域に住む人々が遙か昔から洪水被害を受け、いかに治水事業苦心していたのかを表してます。
一方被害を受けるということはそもそも人々が川に沿って生活していたことの裏返しいえます。川に沿った平地集落を築かなければこのような伝説もなかったことでしょう豊岡盆地という限られた平地の中では、日常使用農業用水物資輸送などの舟運に「母なる円山川」が欠かせなかったのです。
そのような円山川下流形成され湿地帯には、地場産業である柳行李原料となるコリヤナギ多く自生していました洪水のたびに川が運んできた肥沃な土がコリヤナギ生育適していたことに加え多雨多雪気候もたらす多湿空気も、乾燥する折れやくすなるコリヤナギ加工には都合のよい条件であったようです。さらに、長い冬場屋内作業できることがその発展つながったいえますその後豊岡市地場産業となるカバン産業の礎を築きました

コウノトリ野生復帰
円山川が中央流れ豊岡盆地は、かつて日本中に生息していた野生コウノトリが、1971(昭和46)年以降姿を消してしまうま生息していた場所です。当時豊岡盆地水田は、浅い水域湿地域を形成する湿田でした。コウノトリは、そのような湿地河川浅瀬舞い降りカエルバッタなど多く小動物を餌としていました。人が生んだ自然環境適応して、この地域一帯生息していたことが分かります
地域では、「コウノトリ救いたい」との思いから1965(昭和40)年、「コウノトリ保護増殖センター」で人工繁殖試み始まりました。それから25年目1988平成元)年にようやく実を結び、初のヒナ2羽の孵化成育成功その後順調に増えてます。そして1992平成4)年からは、国、兵庫県豊岡市中心となり、「兵庫県立コウノトリの郷公園」で増殖事業最終目的である野生復帰への取り組み進められています。
コウノトリ
コウノトリ
驚いたことに、2002平成14)年8月まさしく野生コウノトリ一羽が舞い降り大騒ぎなりました。この野生コウノトリ2000平成12)年宮崎飛来してから西日本各地転々とした後、この豊岡盆地とどまり一年以上が経過してます。コウノトリ野生復帰控えた今、心強い味方となってます。
3.円山川の自然環境
"円山川の四つ特徴汽水域」「原野」「河畔林」「丸石河原」。これらには、植物809種、魚介類84種、底生動物336種、鳥類163種、陸生昆虫1,537種、哺乳類15種、両生類7種、爬虫類8種(平成3~14年度「河川水辺の国勢調査」)など数多く生物確認されています。"

 
●円山川の四つ特徴汽水域」「原野」「河畔林」「丸石河原
河床勾配が緩やかで低地流れ貴重な生物生息生育する円山川の自然環境は、大きく四つ特徴分けられます。
河口から順にその特徴をあげると、まず第一に河口から約16kmまで侵入してきた海水川の水混ざりあってできる特殊な水域汽水域」があげられます。ここでは海の生物と川の生物同居する様な生息環境広がっており、河川敷中州広がるヨシ原には、希少な昆虫類生息しシオクグなど汽水域特有の植物見られます。また、魚類では、ヒラメスズキなど海の魚生息してます。
第二特徴として、中・下流域の人の生活の場でもあり、川の氾濫繰り返す独特な環境として「原野」があげられます。ここでは低湿地特徴的な植物多く見られます。そのなかにはホソバイヌタデ、ヤナギヌカボ、タコノアシミゾコウジュオオマルバノホロシミクリサデクサフジバカマなどといった絶滅心配されている植物生育してます。
第三特徴は、平地流れる川の特徴ともいえ、長さ1km100m広がる河畔林」が形成されていることです。ここにはケヤキムクノキエノキといったニレ科高木育っていますが、それらの林床コンロンソウなどの多数山地性の植物見られます。それは、円山川の「河畔林」が冬に落として林床明るくなることや水はけ良いことなど、山地環境類似しているためといわれています。
最後第四特徴は、流れがだんだん速くなり河原石ころ転がっている場所で「丸石河原」が形成されていることです。ここではをためる機能がほとんどなく、つかったときには過飽和になるため、いったんがひくと完全に乾いてしまいます。そんな過酷な環境適応できる植物はそう多くありませんが、円山川には”カワラ”という名が付く植物多く生育しており、その代表でカワラハハコ安定して生育してます。
これらの四つ特徴汽水域」「原野」「河畔林」「丸石河原」をもつ多様な円山川には植物809種、魚介類84種、底生動物336種、鳥類163種、陸生昆虫1537種、哺乳類15種、両生類7種、爬虫類8種など(平成3~14年度「河川水辺の国勢調査」)数多く生物確認されています。
4.円山川の主な災害

円山川で起きた主な洪水被害

主な災害
発生発生原因被災市町村被害状況
昭和34年9月26日伊勢湾台風豊岡市城崎町日高町出石町死者7名
負傷者164
浸水面積16,926ha
床上浸水床下浸水 (計16,833戸)
昭和51年9月10日台風17号豊岡市城崎町日高町出石町浸水面積2,115ha
床上浸水1,212
床下浸水1,643
直轄管理区間内被害
平成2年9月19日台風19号豊岡市城崎町日高町出石町浸水面積1,923ha
床上浸水896
床下浸水1,316
直轄管理区間内被害

(注:この情報2008年2月現在のものです)




固有名詞の分類

このページでは「日本の川」から円山川を検索した結果を表示しています。
Weblioに収録されているすべての辞書から円山川を検索する場合は、下記のリンクをクリックしてください。
 全ての辞書から円山川を検索

英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「円山川」の関連用語

円山川のお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



円山川のページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
国土交通省河川局国土交通省河川局
Copyright© 2024 MLIT Japan. All Rights Reserved.

©2024 GRAS Group, Inc.RSS