ヒューマノイド
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ヒューマノイド(英: humanoid)とは、英語のhuman(人)と接尾辞-oid(-のようなもの、-もどき)の組み合わせで、形容詞としては「人間そっくりの」や「人間によく似た」という意味で、名詞としては、人間に似た生物や人型ロボット(英: Humanoid robot(英語版))などを指して用いられる。
概要
名詞としてはアンドロイド (android、ギリシア語のandro-(人、男性)と-oidの組み合わせ)と由来する言語が異なる同じ構造の語であり、語としてはほぼ同義である。しかし、実際の用法には差があり、アンドロイドが概ね人造人間などの造られた存在に用いられるのに対して、ヒューマノイドは造られた存在だけでなく自然発生したもの(人間に似た生物)にも用いられる。どれだけ人間に似ていればヒューマノイドと呼ぶか、といった定義は事実上存在せず、その扱いは作品によってまちまちである。英和辞典や用語辞典では、
- 形容詞:(形態・行動などが類人猿などに比べて)人間そっくりの。名詞:ヒト(人間)類似の生物、(SF 小説などに登場する)人型ロボット[1]
- (SF 小説などで)人間に似た宇宙人。また人型の人造人間[2]
- ヒト類似の生物。人間型ロボット[3]
と記載されている。
ヒューマノイドロボット
人間型のロボットは『ヒューマノイドロボット』(Humanoid Robot)と呼ばれる[4][5][6]。 実用化に向けた研究が大学や研究所などで行われており、関連する論文は多い[4][5][6]。「ASIMO」[4]や「HRP-2」[5]などの二足歩行ロボットの他にも、車輪によって移動を行う「Pepper」[7][8]などもヒューマノイドロボットとして紹介される。バイクの操縦に特化し、単独では移動不可能な人型ロボット「MOTOBOT」(ヤマハ発動機製、ヒト型自律ライディングロボット[9])も、ヒューマノイドとして紹介される事がある[10]。
ホビー用の小型二足歩行ロボットや4mと大型な搭乗型の機体でもヒューマノイドロボットとして紹介される事がある[11][12]。
ピーター・ディアマンスによれば、2040年には100億台のヒューマノイドロボットが誕生するという[13]。
- 人型である必要性
- ヒューマノイドロボットには人間に合わせてデザインされたシステムが使えるという点や、話をすることを受け入れやすい[14]というメリットはあるものの、技術的な困難さや与えられた目的に必ずしも最適な形状ではないとし、イメージ先行の開発を危惧する見方がある[15]。ロボットを人型にするのは、ユーザーに受け入れられるための手段の1つにすぎないという見方もある[16]。香港のハンソン・ロボティクスによる世界史上初めて市民権を与えられたロボット「ソフィア」もヒューマノイドロボットである[17]。
- 競技大会
- ヒューマノイドロボットが出場する競技大会としては、「DARPAロボティクス・チャレンジ」や「ROBO-ONE」、「ロボカップ」などがある。
- ヒューマノイドロボット
適用
日本において労働災害事故件数は年々増加傾向にあり、人的労働をヒューマノイドに置き換えるとした着想がある。
未確認動物
人型をした未確認動物もヒューマノイドと呼ばれる。 「フライング・ヒューマノイド」や「アタカマ・ヒューマノイド」など。
架空
サイエンス・フィクションに登場する人型のロボット「C-3PO」や宇宙人(地球外生命)など。ロボットに関しては、一般的な機械的な外観のロボットに対して、アシモフ『鋼鉄都市』のR・ダニール・オリヴォーの様に[要出典]、特に人間そっくりの外観を持つロボットを指して用いられる場合もある[18]。
ファンタジーに登場する『人間によく似た体構造や知性を持つ異種族』(エルフやドワーフ、ゴブリン、リザードマンやワーウルフなどの獣人など)をまとめる際にこの訳語が当てられる事もある。
類似のものとして映画『ロボコップ』シリーズに登場するロボコップや、映画『ターミネーター』シリーズに登場するT-800などがあるが、ロボコップはサイボーグ、T-800はアンドロイドとして扱われる[19][20]。
脚注
出典
- ^ 『新英和大辞典第六版』研究社、2002年、1197頁。
- ^ 『コンサイスカタカナ語辞典第4版』三省堂、2010年、894頁。
- ^ 『現代用語の基礎知識2006』自由国民社、2005年、1422頁。※他年度版(2013等)にも記載あり。
- ^ a b c “ヒューマノイドロボットASIMOの開発”. 本田技術研究所 (2001年4月1日). 2017年1月5日閲覧。
- ^ a b c “ヒューマノイドロボット・HRP-2の開発” (PDF). 川田工業 (2004年). 2017年1月5日閲覧。
- ^ a b “ヒューマノイドロボットのシステム実現 - ロボットシステム記述言語 EusLisp による実装 -”. 東京大学 (2006年1月24日). 2017年1月5日閲覧。
- ^ “ヒューマノイドロボット”. 株式会社日経BP (2016年1月15日). 2017年1月5日閲覧。
- ^ “Pepperを動かす「アプリ」を作ろう~まずはSDKの基本的な使い方を習得する (1/4)”. MONOist (2015年1月20日). 2017年1月5日閲覧。
- ^ “ヤマハ発動機のヒト型自律ライディングロボット「MOTOBOT」が、ついにバレンティーノ・ロッシと対面”. ヤマハ発動機 (2016年5月19日). 2025年6月23日閲覧。
- ^ “バイクの改造一切なし! ヒト型ロボ、世界王者に挑戦”. 産経ニュース (2015年11月1日). 2017年1月5日閲覧。
- ^ “近藤科学、直営店ROBOSPOTを東京荒川区に移転・リニューアルオープン!”. マイナビニュース (2014年6月23日). 2017年1月6日閲覧。
- ^ “中小企業の技術を集めて取り組む「コックピット内蔵型巨大ヒューマノイドロボットの開発」 (1/3)”. MONOist (2013年7月4日). 2017年1月7日閲覧。
- ^ “未来学者が選出、世界の「人型ロボット」メーカー主要16社の内訳 | Forbes JAPAN 公式サイト(フォーブス ジャパン)”. forbesjapan.com. 2025年2月8日閲覧。
- ^ “ロビの生みの親、高橋智隆:「未来のロボットはスマートフォンに取って代わる」”. WIRED (2013年12月6日). 2017年1月5日閲覧。
- ^ “「ヒト型ロボットは最適ではない」IEEEフェロー広瀬氏が語るロボット開発の方向性”. MONOist (2014年10月14日). 2017年1月5日閲覧。
- ^ “ロボットが人型である必要性とは――人間にとって最適なロボットデザインを考える (2/2)”. MONOist (2013年11月15日). 2017年1月6日閲覧。
- ^ Sophokles (2017年10月27日). “ヒューマノイドロボット「ソフィア」がサウジアラビアで市民権を獲得”. IRORIO. 2018年3月8日時点のオリジナルよりアーカイブ。2018年3月8日閲覧。
- ^ 「怪獣アイテム豆辞典」『東宝編 日本特撮映画図鑑 BEST54』特別監修 川北紘一、成美堂出版〈SEIBIDO MOOK〉、1999年2月20日、151頁。ISBN 4-415-09405-8。
- ^ “デトロイトの未来を予言した?「ロボコップ」の世界”. CNN.co.jp (2013年7月26日). 2017年1月5日閲覧。
- ^ “「ターミネーター」カーネル、襲来”. ITmedia (2016年1月2日). 2017年1月10日閲覧。
関連項目
- 架空のもの
- 未確認生物のもの
人型
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/18 04:48 UTC 版)
詳細は「二足歩行ロボット」を参照 1980年代後半以降、ASIMO(本田技研工業)・HRP-2/HRP-3(川田工業・産業技術総合研究所・川崎重工業)・SDR-4X/QRIO(ソニー)・PALRO(富士ソフト)等の二足歩行可能な人型ロボットが開発・発表されており、ROBO-ONEのような企画向けに個人で製作されるものにも高度なものが現れ、オーケストラの指揮したり、TPR(トヨタ)等の実際に楽器演奏ができる(従来のものは「フリ」をしてカラオケを流していただけであるが、トランペット(実際に「息」で吹く)や、ドラムを操作して音を出す)ものも登場している。2018年10月11日には、ボストン・ダイナミクス社の最新型アトラスが「パルクール」を軽々とやってのける動作を撮影した新映像が公開された。 いずれもこれら人の形をした(もしくは目指した)ロボット開発は、古くからのSF作品で描かれた「人間社会に溶け込み、人間との共同作業や共に生活するロボット」というイメージに沿ったものでもあり、日本においては『鉄腕アトム』の影響が少なからず二足歩行ロボット開発者の発言に示されている一方、若い世代では一連の巨大ロボットもののアニメーション(→ロボットアニメ)が言及される。たとえば、ASIMOでは前述の『鉄腕アトム』を、HRP-2/HRP-3開発者の一部は『機動警察パトレイバー』の影響を受けていることを公言しており、同シリーズは実動機のデザインをアニメのメカデザインで活躍する出渕裕に依頼したことでも知られる。しかし完全な人間に似たロボットは未だ完成しておらず技術的に不可能と思われている。
※この「人型」の解説は、「ロボット」の解説の一部です。
「人型」を含む「ロボット」の記事については、「ロボット」の概要を参照ください。
「人型」の例文・使い方・用例・文例
- 彼は今までに9体の人型ロボットを製造していたが、その全てはデモンストレーションモデルだった。
- 人型を表している形
- 川田工業は,パートナー2社と協力して,新しい人型ロボットHRP-3Pの試作機を開発した。
- 産業技術総合研究所の研究グループが女性の人型ロボットを開発した。
- 技術展で人型ロボットが人気
- 新しい人型ロボットが来場者の間で大きな注目を集めた。
- AIST(産業技術総合研究所)によって開発された人型ロボットは人間のように歌う。
- 日本の企業は人型ロボットを展示することで技術の進歩を強調した。
- 日(ひ)立(たち)製作所の「EMIEW(エミュー) 2」は2007年に開発された高さ80センチの人型ロボットだ。
- 本田技研工業(ホンダ)は先日,同社の有名な人型ロボット「アシモ」の最新型の実験を,「未来館」として知られる東京の日本科学未来館で開始した。
- 宇宙飛行士の若(わか)田(た)光(こう)一(いち)さんが先月,国際宇宙ステーションで人型ロボットとの会話実験を行った。
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