ベルカ事変
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/01/05 03:05 UTC 版)
通信情報艦アンドロメダはハーリング大統領がベルカ領のシュティーア城に囚われているという情報を傍受した。12月9日、ケストレル艦隊はこれを受けて、ウォードッグ隊およびスノー大尉によって編成された4機で構成される戦闘機部隊と、海兵隊のシーゴブリン隊によって、ハーリング大統領救出を目的としたキーノート作戦を決行した。 シュティーア城に敷設されていた対空陣地は戦闘機部隊によって排除された。シュティーア城内に突入したシーゴブリン隊は無事にハーリング大統領を救出した。灰色の男たちは戦車や戦闘機を繰り出して妨害したが、ケストレル艦隊の戦闘機部隊によって排除され、シーゴブリン隊は離脱に成功した。ケストレルまで移動したハーリング大統領は、ウォードッグ隊とスノー大尉による混成部隊を「ラーズグリーズ隊」と命名し、大統領直属の戦闘機部隊とした。彼らが駆る戦闘機は黒色で塗装され、以後の戦闘でかつてのウォードッグ隊に似た鋭い機動を見せたことからオーシア軍やユークトバニア軍、灰色の男たちから「ラーズグリーズの亡霊」と呼ばれるようになる。 ユークトバニアでは軍事政権と化した政府に不満を抱き、反政府レジスタンスが結成されていた。レジスタンスには多様な人物が揃っており、知識人や学生に加え一部の軍人も加わっていた。レジスタンスはユークトバニア空軍の航空管制通信に、緯度・経度・日時、およびハーリング大統領の過去の選挙得票数を仕込んでおり、アンドロメダがこれを傍受した。ハーリング大統領はこれを自身に宛てた通信であると理解した。緯度や経度はベルカ領内のシルム山を指しており、日時は12月11日を指していた。また、アンドロメダはベルカの暗号を解読しシルム山の麓に位置するイエリング鉱山が稼働していることを掴んだ。この鉱山はベルカ戦争で使われたV1戦術核兵器が封印された場所であった。 12月11日、ケストレル艦隊はイエリング鉱山の偵察を目的としたシルバーアイ作戦を開始した。偵察には武装をすべてカメラに換装したラーズグリーズ隊の1機が担当し、退避の際に援護できるよう他3機も出撃した。偵察を担当した機はシルム山周辺のレーダー網を回避しつつ飛行し、ベルカ側に気付かれることなくイエリング鉱山に到達した。鉱山施設付近の飛行場ではV1およびC-5輸送機の姿と、オーシアの国籍マークを施した第8492飛行隊と、ユークトバニアの国籍マークを施したオヴニル飛行隊の機体が並んでいる姿が確認され、写真として撮影された。第8492飛行隊とオヴニル飛行隊は迎撃を試みたが、ラーズグリーズ隊の援護機が到着したため追撃を諦めた。 灰色の男たちがV1を掘り起こしていたことを受けて、翌12日にラーズグリーズ隊は鉱山入り口の破壊を目的としたディープシックス作戦を開始し、鉱山の岩盤を攻撃し崩落させた。核兵器のこれ以上の搬出を防ぐことに成功したが、既に少なくとも2発の核兵器が掘り返されており、1発はユークトバニア領内に輸送され、もう1発はマスドライバーを経由してアークバードに輸送された。 レジスタンスはケストレル艦隊に向けて暗号通信し、ユークトバニア領北部のパイヴリェーニヤ渓谷を指す座標と、無線の周波数を送った。12月16日、ラーズグリーズ隊はリバーベッド作戦を開始しその座標に向けて飛行した。ユークトバニアに移送された核兵器はレジスタンスによって強奪され、パイヴリェーニヤ渓谷の洞窟で解体作業が行われていた。ユークトバニア軍は捜索部隊を差し向け、渓谷の各所でレジスタンスを探していた。現地に到着したラーズグリーズ隊は指示された無線の周波数で通信し、レジスタンスと連携が図られた。ラーズグリーズ隊はユークトバニア軍の捜索部隊を撃破し、増援としてやってきたオヴニル飛行隊も全機撃墜した。レジスタンスは核兵器の解体に成功し、ばらばらにした上で潜水艦から海中に投棄した。 アンドロメダは再びベルカの暗号指令を掴み解読した。アークバードが14時にオクチャブルスクへの核攻撃を企図していることを掴み、軌道観測によって事実であることが確認された。アークバードがオクチャブルスクに向かうには一度だけ高度を落とし、大気摩擦によって進路を変更させる必要があり、ケストレル艦隊はその時刻と座標を割り出した。12月19日、ケストレル艦隊はゲームバード作戦を開始し、ラーズグリーズ隊はアークバードが高度を落とすと推測される座標に向かって飛行した。場所はセレス海上空、ホリスターから西、エイカーソンヒルから北の地点であった。 アークバードは灰色の男たちによって占拠されており、オーシア人飛行士のジョン・ハーバードが捕虜になっていた。彼は制御装置に細工をしており、アークバードが大気摩擦を利用する際に進入角度を深くするように設定していた。ハーバードはカプセルで脱出すると共に、アークバードは深い角度で大気圏進入を余儀なくされ、灰色の男たちの想定より高度を落とす結果となった。その状態でラーズグリーズ隊の攻撃を受けたアークバードは無人戦闘機フォーゲルを発進させ、弾道ミサイル迎撃用レーザー砲や隕石除去用装備を用いて抵抗した。ラーズグリーズ隊による攻撃でアークバードのロケットブースターは破壊され、オクチャブルスクへの飛行が困難となった。アークバードは複合サイクルエンジンを使用して、距離が近いオーシア領を目指して南へ転進した。ラーズグリーズ隊は複合サイクルエンジンも破壊したが、アークバードはなお抵抗し補助エンジンを使用して飛行を試みたが、これも破壊され、アークバードはセレス海に墜落した。奇跡的にも落下地点を航行中の船舶はなく、放射線の拡散も見られなかった。脱出したハーバードはカプセルと共に洋上を漂い続け、12月30日には洋上を漂うカプセルとそれに乗る彼の姿が撮影されている。 ハーリング大統領は何度となくオーシア国民に向けて放送していたが、それらはアップルルース副大統領と軍部によって敵による謀略として封殺された。これを受けてハーリング大統領は海兵隊と共に首都オーレッドまで向かった。 ユークトバニアではレジスタンスによってニカノール首相が救出された。レジスタンスはケストレル艦隊と連携を取り、パビエーダ半島のクルーオ飛行場からニカノール首相を脱出させる計画を進めた。12月22日、レジスタンスはバートレット率いるニカノール首相移送部隊と、クルーオ飛行場で輸送機を奪取する別働隊が活動を開始した。ラーズグリーズ隊はクロスロード作戦を開始し現地に向かい、ユークトバニア軍の検問所を破壊しニカノール首相移送部隊を支援した。ニカノール首相移送部隊は無事にクルーオ飛行場に達し、C-1トレーダー輸送機を奪取した。これを妨害するため第8492飛行隊が飛行場上空に侵入したが、ラーズグリーズ隊との交戦により全機が撃墜された。ニカノール首相と共にケストレルと合流したユークトバニア陸軍のオベルタス少佐は、灰色の男たちに関する情報が入っているディスクを入手しておりケストレル艦隊ではディスクの解析が進められた。 12月29日、セレス海でケストレル艦隊とユークトバニア軍の空母アドミラル・ツァネフなどで構成される艦隊が対峙し、セレス海海戦が勃発した。ユークトバニア軍の艦艇は18隻に上り、対して戦闘に参加したケストレル艦隊は5隻であった。ニカノール首相はユークトバニア軍艦隊に向けて自身がケストレル艦上にいることを通信で述べたが、ユークトバニア軍の艦隊司令官はニカノール首相を祖国に対する敵と見なし全艦に攻撃を発令した。フリゲートのピトムニク乗員は戦闘の中止を訴え、艦隊正面に移動し進路を塞ぐ動きを取ったが、艦隊司令官は全艦にピトムニクへの砲撃命令を発し、各艦から砲撃を受けたピトムニクは轟沈した。僚艦の撃沈を命じた艦隊司令官に対してユークトバニア軍艦隊の中でも動揺が走り、ミサイル駆逐艦グムラクはニカノール首相の保護を主張し率先して艦隊から離脱した。続いてミサイル駆逐艦チゥーダ、ドゥープが離脱しケストレル艦隊との合流を目指した。ケストレル艦隊はこれらの艦艇を守るためグローリーホーン作戦を開始し、ラーズグリーズ隊が発艦した。また、ニカノール首相はオーレッドに向かい、ハーリング大統領との合流を目指した。 ユークトバニア軍艦隊はラーズグリーズ隊の攻撃によって、離反した艦を除き全艦が撃沈された。戦闘の最中にオーシア軍の空母バーベットなどで構成される6隻の艦船も接近していたが、オーシア軍艦隊はニカノール首相が発した通信を傍受しており、ケストレル艦隊をユークトバニアと手を組んだ裏切り者と見なし攻撃を加えた。ケストレル艦隊はこれに抵抗し、ラーズグリーズ隊によって全艦が撃沈された。三つ巴の戦闘に勝利したケストレル艦隊はオーシアとユークトバニア両軍の混成艦隊を編成した。
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