複合サイクルエンジン
高熱源と低熱源との間に複数の熱機関のサイクルを直列に組み合わせ、高温側と低温側に分けて膨張を行わせる機関である。全体としての膨張比および等容度を高くして熱効率の向上を狙ったもので、高温側でブレイトンサイクル(ガスタービン)、低温側でランキンサイクル(蒸気タービン)、あるいは高温側でサバテサイクル(高速ディーゼル機関)、低温側でブレイトンサイクルをそれぞれ作動させる複合機関が実用化されている。複合機関を使った発電を複合発電と呼び、高温の燃焼ガスでガスタービンを駆動、ガスタービンからの排気を入力として蒸気を発生させ、蒸気タービンを駆動してそれぞれ発電を行う火力発電が増えつつある。
参照 ボトミングサイクル、ランキンボトミング複合サイクルエンジン
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/12/11 06:02 UTC 版)
ナビゲーションに移動 検索に移動複合サイクルエンジン(ふくごうサイクルエンジン)は、複数のエンジンの特性を兼ね備えたエンジンである。
ロケットとジェットエンジンの要素を併せ持つものを統合的な航空・宇宙用英語ではRBCC(Rocket Based Combined Cycle) engineという。
これは宇宙航空研究開発機構 (JAXA) が構想・開発するスペースプレーンに、搭載するための研究が続けられている。
他燃料電池とジェットエンジンを組み合わせたハイブリッドジェットエンジンの構想がある。
こちらは熱機関の限界を突破しうる超高効率・低燃費エンジンとして期待されている。
RBCCの原理と理論
ここではJAXAの構想するスペースプレーンを例に説明する。
スペースプレーンに搭載されるエンジンは、ロケットエンジンをベースとする4種(通常のエジェクタージェットエンジン・ラムジェットエンジン・スクラムジェットエンジン・ロケットエンジン)の4モードで構成される。 具体的な運用例を示すと
- マッハ1までの加速には、エジェクタージェットモードを使用する。
- マッハ1以降からは、ラムジェットエンジンでも十分な加速が得られるため、ラムジェットモードを使用する。
- さらにマッハ5以降からの極超音速域に到達すると、スクラムジェットモードになり、さらに強大な加速を得る。
- 大気圏を離脱すると、もちろんのこと酸素はなくなるため、完全なロケットモードに移行される。
このように、複数のエンジンを組み合わせられて作られたのが複合サイクルエンジンである。
燃料電池搭載型複合サイクルエンジン
燃料電池搭載型複合サイクルエンジンは燃焼室の手前にSOFC燃料電池を搭載したものであり、化学反応から直接電力を取り出しさらにその反応の副産物の熱をジェットエンジンの駆動に利用するため熱機関の理論限界を超えた超高効率を達成できる。
さらに発電した電力を用いたファンの駆動による大流量化、翼の境界層制御等による空気抵抗低減も期待でき、航空機の燃費を大幅に改善できるほか水素燃料を使用してゼロ・エミッションを実現しうるなど温暖化対策の切り札として期待される。
地上における似た発想として高効率火力発電を目指したトリプルコンバインドサイクル発電がある。
課題は主に高出力化と急激な環境変動への対処の2つ。[1]
現状の定置型のSOFCは航空機に使うのには重すぎるし、出力全開まで数時間かかるため離陸時の急激な負荷変動や流速、流量の変化に耐えきれない。
脚注
- ^ “航空機用複合サイクルエンジンの研究”. JAXA. 2020年12月1日閲覧。
外部リンク
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