複合ユニットハイブリット窓
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2026/01/05 02:43 UTC 版)
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複合ユニットハイブリット窓 (ふくごうユニットハイブリットまど、英: Insulation Glass & Polycarbonate、IGP) は、ガラスとポリカーボネートを組み合わせて耐衝撃性能を向上させた複層窓の形式である。
概要
ガラスとポリカーボネートを組み合わせた複合ユニット窓である。主に鉄道車両の窓や工作機械ののぞき窓として採用されている。従来の単板ガラスやポリカーボネート板の単板、複層ガラスと比較して、軽量性や耐衝撃性、断熱性に優れ、車両の安全性や快適性の向上に寄与している。開発にあたっては北海道旅客鉄道と東邦シートフレームが共同で行っている。
特徴
ガラスとポリカーボネートを組み合わせた複合構造を持ち、ガラスとガラスを組み合わせた複層ガラスと比較して以下のような特徴を持つ。
- 軽量性
- ポリカーボネートの密度は1.20グラム毎立方センチメートル(g/cm3)とガラスの密度2.4-2.6g/cm3より軽いため、従来の窓に比べて軽量である。鉄道車両では総重量の軽減による走行のエネルギー削減に寄与する。
- 耐衝撃性
- ポリカーボネートの特性により、ガラス製と比較して200倍以上衝撃に強い。窓割れを防止することで安全性が向上する。
- 断熱性
- ガラスより熱伝導率が低い樹脂を使用した複層構造により、断熱性能が向上している。冷暖房費を削減しつつ車内の快適性が向上する。
利用分野
IGP ユニットは、主に以下の分野で利用されている。
鉄道車両
工作機械
- DMG森精機製の工作機械の一部に利用されている。
歴史
JR北海道は1999年12月に発生した「スーパーホワイトアロー」号(785系)の窓割れ事故[1]で怪我人が出たこともあり、窓割れ対策として既存窓ガラスの外からポリカーボネートを被せる工法(ポリカ・ガード)を採用した[1][2]。しかしこの工法では結露の発生や重量の増加、そして施工コストといった課題が残っていた[1]。
一方で近郊車両に対しては上記の工法での対応が難しく、ポリカーボネートの単板に置き換えを行っていたが、結露や断熱性能の低下といった問題が発生していた[1]。
これらの課題を一挙に解決すべくJR北海道は東邦シートフレーム株式会社と共同でポリカーボネートとガラスの複合ユニットハイブリット窓(IGP)を開発した。 既存窓ガラスと置き換えることで追加施工を不要にし、複層構造によって軽量化、断熱性能の向上に成功した。また二社の独自技術により結露の防止にも成功した[2][3]。
開発に当たってはJR北海道の鬼頭知彰と東邦シートフレームの鎌鹿智教が主体となり開発を行った。これにより両名は発明協会会長賞を受賞している[4]。
海外においてはIGPの名称の一般化が進んでおり、マレーシア[5]や韓国では上記と同構造のユニット窓をIGPの名称のまま呼称されて、窓割れ対策などとして採用されている。
関連項目
脚注
- ^ a b c d 「車両窓ガラス破損防止対策ポリカ・ガードの開発について」 鉄道総研創立20周年記念懸賞論文入賞論文集 p.49
- ^ a b JR北海道公式チャンネル, JR北海道の車両の窓【JR北海道】
- ^ 車内誌「The JR Hokkaido」, 「未来へつなぐ」(2021年8月号)『衝撃に強いポリカーボネート窓の開発・実用化に成功』
- ^ 令和元年度北海道地方発明表彰 発明協会会長賞, 割れなし結露なし異材質を組合せた複層窓(特許第5608235号)
- ^ PADU SEDIA SDN. BHD., Insulation Glass & Polycarbonate (IGP) Window Glass
外部リンク
- 北海道旅客鉄道株式会社 - 公式ウェブサイト
- 東邦シートフレーム株式会社 公式サイト
- 複合ユニットハイブリット窓のページへのリンク