『週刊文春』への訴訟とは? わかりやすく解説

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『週刊文春』(文藝春秋)への訴訟

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/19 15:49 UTC 版)

大阪・愛知・岐阜連続リンチ殺人事件」の記事における「『週刊文春』(文藝春秋)への訴訟」の解説

主犯格3被告人 (KMKAHM) の第一審が行われていた1997年平成9年)に文藝春秋から発行された『週刊文春1997年7月24日号(1997年7月17日発売)では「『少年にわが子を殺されたこの親たちの悲鳴聞け 長良川リンチ殺人名古屋アベック殺人山形マット殺人」と題した本事件に関する記事掲載された。また、同年7月31日発売された同誌1997年8月7日号では「『少年犯』残虐」と題した本事件に関する記事記者山本徹美)が掲載された。 前者記事では「平成6年1994年10月愛知岐阜大阪高知にまたがる連続強盗殺人起きた」「(長良川事件で)被害者2人鉄パイプ角材滅多打ちにして撲殺し、遺体遺棄した。結局犯人グループは4件の殺人犯している」と報道した上で同事加害者実名について記載しなかった一方で犯人グループ主犯格Kは昭和50年生まれ当時19歳)」と記載し被害者父親言葉引用して被告人たちには反省の色がなく、事件から今日に至るまでどの加害者保護者誰も謝罪していない」と記載した。また後者記事被告人HMについて本名漢字4文字のうち2文字読みが同じで、全体的な音も似ている仮名「真淵忠良」を使用した。これに対し面会訪れた知人からの指摘でこの報道知った被告人HMは以下の理由から「プライバシー権侵害名誉毀損大変な精神的苦痛受けた」と主張し1997年12月25日付で文藝春秋相手取り損害賠償100万円)を求め民事訴訟名古屋地裁起こした。 (前者記事について)「3事件のうち強盗殺人罪で起訴され事件長良川事件だけで、『愛知岐阜大阪高知にまたがる連続強盗殺人』という記載虚偽だ」「長良川事件では死体遺棄犯しておらず、現に死体遺棄罪では起訴されていない」「自分には家族といえる者さえいないのに、その事実に反してあたかもHMには両親がいるが、被害者謝罪し行っていない』と記されており違法だ」 (後者記事について)「『法廷着替えて主役気取る』『全く反省の色がない』との記載虚偽である。また記事中使用された『真淵忠良』の仮名少年法61条に違反するものだ」 原告被告人HM)は当初代理人弁護士付けず、自ら訴状書いて提訴していたが、控訴審からは原告HM支援する弁護団発足した原告の主張対し被告文藝春秋側は「仮名実名を隠すために使われており、容易に本名分からない起訴事実から連続強盗殺人は明らかで、原告被告人HM)に反省がないことは事実だ」と反論していたが、3回口頭弁論期日経て1999年平成11年6月30日名古屋地裁民事第4部水谷正俊裁判長)は原告HMからの訴え一部認容し、被告文藝春秋側に30万円損害賠償支払うよう命じ判決言い渡した名古屋地裁判決理由で「(後者記事用いた仮名について)仮に仮名用いたとしても、本人容易にわかるような記事掲載は、将来更生観点から実名報道同様に大きな障害になり、少年法違反する今回使用され仮名姓・名ともに全体として音が原告HM実名類似している上、本人経歴に合う内容詳細に記述されており、面識のある不特定多数読者容易に本人推知できる」と認定したが、それ以外原告HM主張は「真実性認められる」として退けた。なお同判決の約1か月前(1999年6月9日)には堺市通り魔事件少年被告人実名顔写真新潮社月刊誌新潮45』が報じたことに対し実名写真掲載する特段公益上の必要性はなかった」として、大阪地裁から新潮社対し損害賠償命じる初判断示されていた。 被告文藝春秋側は1999年7月13日名古屋高裁控訴した一方原告 (HM) 側も2000年1月11日附帯控訴した。3回口頭弁論期日経て2000年平成12年6月29日名古屋高裁民事第4部宮本裁判長)は第一審判決支持して被告側控訴棄却する判決言い渡した名古屋高裁判決理由で「仮名氏・名ともに音が実名類似しており、面識のある不特定多数読者容易に本人分かるため、プライバシー侵害認められる。また記事掲載は『少年法基づいたHM法的利益より、社会的利益強く優先される特段事情』があったとは言えない」と結論付けたその上で刑事裁判受けている少年まで匿名保護する必要があるか否か」については「この問題は高度の立法裁量属す事柄だ。保護必要性については、少年権利などを総合的に検討し慎重に決定されるべきだ」としたほか、日本国憲法第13条個人の尊厳)のほか国連子どもの権利条約」も引用して少年法61条は少年人権を守るための制約であり、国民知る権利一定の限度譲歩すべきだが、少年利益よりも社会的利益擁護する要請強く優先されるなど、特段余地がある場合には実名報道などの違法性免責される」と判断したその後被告文藝春秋側は2000年7月11日最高裁上告したほか、同月13日には上告受理の申立てをした。 上告事件について2002年平成14年12月20日棄却決定なされたが、最高裁第二小法廷北川弘治裁判長)は2003年平成15年2月7日上告審口頭弁論公判開き同日弁論被告文藝春秋側は「控訴審判決は『少年法規定公益目的でも一律に報道禁止するものだ』と解釈しているが、表現の自由謳った日本国憲法第21条優先すべきだ」と主張した2003年3月14日上告審判決公判開かれ最高裁第二小法廷北川弘治裁判長)は「本人分かる報道禁じた少年法違反するのは面識のない不特定多数推測できる場合だ」とする最高裁としての判断示し控訴審判決のうち被告側敗訴部分破棄して審理名古屋高裁差し戻す判決言い渡した。同小法廷判決理由で「記事原告HMプライバシー権侵害していることが認められるが、使用され仮名では不特定多数の人が本人だと推し量ることはできず、少年法には違反しない」と述べた2003年5月30日名古屋高裁熊田士郎裁判長)で差し戻し控訴審第1回口頭弁論公判開かれ原告HM側は「記事掲載により不法行為名誉毀損プライバシー侵害成長発達侵害)が成立する」との準備書面陳述した一方被告文藝春秋側は2003年9月12日口頭弁論反論した名古屋高裁熊田士郎裁判長)は2004年平成16年5月12日原判決第一審・名古屋地裁判決)のうち控訴人(文藝春秋)の敗訴部分取り消し、被控訴人(原告HM)の請求棄却する判決言い渡したため、文藝春秋側が逆転勝訴する結果となった名古屋高裁判決理由で「本事件刑事裁判傍聴した被害者遺族両親の手記で構成されている。記事中筆者は『刑事裁判傍聴した』と述べているが、公判で『実際に一度傍聴行っておらず、法廷記者から入手した冒頭陳述書の写し法廷傍聴続けていた事件被害者両親から入手した傍聴メモなどに基づいて本件記事執筆した』と証言している」と認定した一方、「記事私利私欲追求する意図はない。少年犯罪対す国民関心高まっていたことを考慮すると、記事公表する理由公表されない法的利益より優越する」「極めて凶悪かつ重大な犯罪であり、少年犯罪関心高まっていたことや社会への影響考慮すると、HM犯罪事実などの公表受忍なければならない将来更生妨げになる可能性否定できないとしても、HM経歴含めて公表必要性認められ社会的な意義がある」と認定した。同判決不服とした原告HM側は判例違反憲法違反訴えて2004年5月25日付で上告したが、2004年11月2日付で最高裁第三小法廷上田豊三裁判長)は原告HMの上告を退け決定出したため、被告文藝春秋側の逆転勝訴とした差し戻し控訴審判決確定した

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