自動車税 自動車税の概要

自動車税

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2016/04/01 13:54 UTC 版)

概要

自動車税は「車検税」ではなく、車検を受ける受けないにかかわらず納税義務が生じる。車検を受ける際に納付する義務が生じるものは国税の「自動車重量税」である。また「道路運行税」でもないため、たとえ駐車場に置いたまま走行していない状態であっても納税義務を免れることはできない。

信販会社との契約に基づくローンにより売買された自動車の場合、債権担保の目的から所有権が売主に留保される(自動車検査証上の所有者はローン会社となる)ことが一般的だが、割賦販売の場合には買主が所有者とみなされ自動車税を納付することとなる。[1]

リース契約によって調達された自動車の場合は、自動車検査証上の所有者(リース会社)が納税義務者となり、リース料に自動車税相当額が織り込まれている。

所有者が複数人に及ぶ(複数人で所有されている自動車)場合には、連帯して納税義務を負うこととなる。

税率

標準税率は、次の4つの大区分ごとに、自家用営業用、特殊な用途(8ナンバー)などの用途、さらにはその総排気量、総積載量及び乗車定員等に応じて定められている(地方税法第147条)。

事業用(いわゆる緑ナンバー)や(キャンピングカーを除く)8ナンバー車は低額な税額であるが、自家用(特に白ナンバー乗用車)については特に高額である。税額の最高は自家用乗用車(6.0リッター超)の11万1,000円/年に、後述のグリーン化税制によって10%重課された場合の12万2,100円/年である。

制限税率(税率の上限)は、標準税率の1.5倍とされている(地方税法第147条第4項)[2]

種別毎の税率

以下に記す税額は標準税額。

乗用車

乗用車の場合は、総排気量が増えるほど税額が高く設定されており、排気量が1.0リッター超から0.5リッター刻みで6.0リッターまで税額が設定されている(地方税法第147条第1項第1号)。
ただし、ロータリーエンジンを搭載する車種については、『単室容積 × ローター数 × 1.5』の計算式により得られた値が総排気量とみなされて税率区分が適用される。
自家用乗用車は、他国と比較しても極めて高額な税額が設定されている[3]。近年の環境考慮と世界的なレベルでは0.1リッター刻みの排気量車が増えていることに鑑みると、今後税制の見直しが必要であるという意見がある。

自動車税額(乗用車。単位:円)
排気量 自家用 事業用
1.0リッター以下 29,500 7,500
1.0超〜1.5リッター以下 34,500 8,500
1.5超〜2.0リッター以下 39,500 9,500
2.0超〜2.5リッター以下 45,000 13,800
2.5超〜3.0リッター以下 51,000 15,700
3.0超〜3.5リッター以下 58,000 17,900
3.5超〜4.0リッター以下 66,500 20,500
4.0超〜4.5リッター以下 76,500 23,600
4.5超〜6.0リッター以下 88,000 27,200
6.0リッター超 111,000 40,700

1989年度まで、大型・大排気量である普通乗用(3ナンバー)車は贅沢品とみなされており、排気量3.0リッター以下は81,500円、3.0リッター超6.0リッター以下88,500円、6.0リッター超148,500円と現行以上に高額な税が課されていた。 この為、日本車で高級車と言われる自動車であっても小型乗用(5ナンバー)車仕様が用意される事が一般的であり、この頃入り始めたメルセデス・ベンツBMW等の高級欧州車でも5ナンバー車が用意されていた。 大柄の大排気量車が販売の主力であるビッグスリーの陳情を受けたアメリカ合衆国から非関税障壁と言われた外圧もあり、現行の排気量に比例した税額に改められた。 しかし、この税制改定はアメリカ車の拡販には全くと言ってよいほど寄与せず、国産車は大排気量エンジンと外装部品で3ナンバー仕様とする車両が増え、また輸入車は欧州車が一層増える結果となった。

トラック

トラックは、最大積載量が増えるほど税額が高く設定されている。最大積載量が1トン超から1トン刻みで8トンまで税額が設定されている(地方税法第147条第1項第2号)。

自動車税額(トラック。単位:円)
積載量 自家用 事業用
1トン以下 8,000 6,500
1トン超〜2トン以下 11,500 9,000
2トン超〜3トン以下 16,000 12,000
3トン超〜4トン以下 20,500 15,000
4トン超〜5トン以下 25,500 18,500
5トン超〜6トン以下 30,000 22,000
6トン超〜7トン以下 35,000 25,500
7トン超〜8トン以下 40,500 29,500
8トン超 40,500+1トン毎に6,300 29,500+1トン毎に4,700

バス

バスの場合は乗車定員が増えるほど税額が高く設定されている。事業用では一般乗合用(通学バス含む)かそうでないかで税率が異なる(地方税法第147条第1項第3号)。

自動車税額(バス。単位:円)
乗車定員 自家用 事業用(乗合) 事業用(その他)
30人以下 33,000 12,000 26,500
30人超〜40人以下 41,000 14,500 32,000
40人超〜50人以下 49,000 17,500 38,000
50人超〜60人以下 57,000 20,000 44,000
60人超〜70人以下 65,500 22,500 50,500
70人超〜80人以下 74,000 25,500 57,000
80人超 83,000 29,000 64,000

その他

貨客兼用車、三輪の小型自動車、牽引車、被牽引車、特種用途車、キャンピングカーなど用途に応じた自動車税が設定されている。

グリーン化税制

2002年度から、排出ガス及び燃費性能の優れた環境負荷の小さい自動車(低公害車)はその性能に応じて税が軽減され、新規登録から一定の年数(ガソリンエンジン車13年、ディーゼルエンジン車11年)を経過した乗用自動車[4]の税率を約15%重課[5]、貨物車は約10%重課する特例措置(いわゆる自動車税のグリーン化)が実施されている。
この「グリーン化税制」は、排ガス性能や燃費の向上による環境保護という名目のもと、経済対策(新車販売の内需回復)が織り込まれている[6]が、信頼性の高い日本車は中古車として海外に輸出されるケースも多いため、鉄鋼等の原材料を輸入する為にエネルギーを消費し、新車を生産する為にエネルギーを消費した上で、排ガス性能の低い使用過程車を海外に送り出しているだけで、地球規模での環境保護にはなっていないという意見もある。

賦課期日・納期

自動車税納税通知書(2010年度)

賦課期日は4月1日で、納期は原則として5月中である(地方税法第148,149条、青森県秋田県においては条例により6月中としている)。4月1日時点の所有者に対して、5月頃に都道府県から送付される納税通知書によって納める。

新規登録

4月1日以後に自動車(新車)を購入し、運輸支局で新規登録を行った場合は、その購入月の翌月から月割で自動車税が課せられる(地方税法第150条第1項)。例えば、9月15日に自動車(新車)を購入すると、10月から3月までの6か月分を新車登録時に納付する必要がある。

抹消登録

年度中に廃車等を行い、運輸支局で抹消登録を行った場合は、抹消登録を行った翌月以降の税額が還付される(地方税法第150条第2項)。

注意事項

4月1日時点で自動車を「所有して」いれば(車両にナンバープレートが付いていれば)、所有者に「法律上の納税義務」があり、4月1日に名義変更を行っても納税義務が生じる。このことから、車検の残っている中古車を年度末に購入したり、車を下取りに出す・売却する場合、3月31日迄にそれらの登録を行わないと従前の所有者に納付義務が生じる為、その日付に対する注意が必要である。 新所有者となるべき者が運輸支局等で移転登録や抹消登録の登録手続きを忘却していた場合、旧所有者に対して新年度分の自動車税が課税されることになる(遡って登録する事は職権による物を除いてできない)。

尚、4月1日以降に自動車を新規登録する場合には、年度分全額の自動車税の納税義務は生じない(登録月の翌月から当該年度末までの自動車税を月割で納付する)。また、4月1日以降に抹消登録するなど使用を中止しても、その年度の分の自動車税の納税義務を逃れることはできないが、当該月度分のみの課税義務を負う事となる為、一度自動車税の全額を納付した上で、登録月の翌月から当該年度末までの分が月割で還付される。

こうした法的責任とは別に、売買時に行われる当事者間での取り決めにより、例えば月割の自動車税額に相当する金銭がやり取りされることがある。そうした取り決めの内容が曖昧であったり、一方の当事者が誠実に履行しない場合にトラブルとなるケースもある。

自動車販売の需要、販売会社の決算、課税基準日が重なる為に3月度は運輸支局等が度々混雑し、特に3月31日が閉庁日となる場合は最終週に登録申請が殺到する。

同一都道府県外への転出・転入

2005年度以前は、新たな使用の本拠となる都道府県に月割で納付し、従前の使用の本拠である都道府県から月割で還付を受ける事が必要であったが、2006年度から新たな使用の本拠となる都道府県による月割課税が廃止された。 従前より移転登録等がなされた旨を当該都道府県同士で共有してはいたものの、業務簡略化等の為に、都道府県同士で月割自動車税相当額の送金を行う事で対応することとなった。

当該年度内に都道府県を跨ぐ移転登録が複数回なされ納税証明書の添付がなかった場合に、継続検査等を受ける者の(従前の使用の本拠を調査する為に登録事項等証明書を取得するなど)事務負担が大きかったが、2015年4月以降、運輸支局等の窓口で自動車税の納税状況の把握が可能となった。

保留

車検の更新がない場合、自動車税が納付されないケースが多い。このような場合には都道府県によって「扱いが異なる」が一部の都道府県では「自動車税課税保留制度」があり、この制度の下、「保留」という処置が執られる。この制度の適用は、基本的に都道府県が職権で行うものであるが、納税義務者等からの事情届の提出を要件とする都道府県もある。

ただし、自動車の再使用すなわち車検申請に際して保留は解除され納付義務が発生する。対して、一時抹消及び抹消手続きが申請された際には納付義務がそのまま消滅する。一時抹消後、登録(車検)した場合には、消滅した自動車税の納付義務は回復しない場合が多い(都道府県により対応は違う)。ただし、車検が有効な期間に納付されていなかった自動車税に対しては保留ではなく未納分とみなされ、保留期間に入った後も納税義務は保留されず、消滅もしないので注意が必要。

この制度は、法の趣旨を「逸脱」[7]、「自動車税は自動車を使用している期間に対して課税される」という考え方の下、車検が切れた期間は「自動車は使用されていない」とみなして納税義務を保留とするものである。都道府県によって扱いが異なり、また課税担当者によっても扱いが異なることがある理由が、ここにある。車検が切れている車であっても、例えば年式の新しい車、高級車、クラシックカーなど財産価値の高い車についてはこの保留制度を適用しないなど、課税担当者の恣意的な運用も見られる。

納税通知書を発付する時点で車検切れになっている自動車について、一律に課税保留する(最初から納税通知書を送付しない)取り扱いをしている都道府県がある一方、納期限までに納税のあった自動車については課税を継続し、滞納になって一定期間を経過した自動車のみ、さかのぼって課税保留する(したがって、滞納した方が納税義務者にとって得になる)扱いをする県もある。


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  1. ^ 「所有者」=車検証の「使用者」。
  2. ^ 増税への道筋合意…自動車税の制限税率1.5倍に”. response.jp (2005年12月15日). 2012年8月20日閲覧。
  3. ^ a b c 第7回 みんなで考えようクルマの税金”. 自動車税制改革フォーラム (2009年10月31日). 2011年7月27日閲覧。
  4. ^ 事業用乗合バスを除く
  5. ^ 2014年度までは約10%重課であった
  6. ^ 経済産業省関係 平成21年度税制改正のポイント”. 経済産業省 (2008年12月12日). 2012年2月8日閲覧。(PDF)
  7. ^ 自動車税は本来的に財産税であり、自動車を所有していることそのものに担税力を見出しているものであって、車検有効期間中であるか否か、実際に運行に供されているか否かは課税要件となっていない。
  8. ^ a b c JAMA レポート No.78 自動車関係諸税の国際比較”. 日本自動車工業会. 2012年1月6日閲覧。
  9. ^ スウェーデン「国民負担70%でも医療費、大学、給食費みんなタダ」”. J-CAST (2010年8月11日). 2013年9月29日閲覧。
  10. ^ a b 平成22年度 自転車交通の総合的な安全性向上策に関する調査報告書”. 内閣府 (2011年3月). 2013年9月29日閲覧。
  11. ^ a b c シンガポールの政策(2011年改訂版)陸上交通政策編”. 財団法人自治体国際化協会 (2011年6月16日). 2013年9月29日閲覧。
  12. ^ 一向に減らない交通渋滞|シンガポールのクルマ事情|コラム|AsiaX Column
  13. ^ 知ってる?クルマの税金”. 日本自動車連盟(JAF). 2012年10月29日閲覧。
  14. ^ JAMA レポート No.91 自動車の税金について”. 日本自動車工業会. 2012年10月29日閲覧。
  15. ^ a b 環境自動車税、自工会志賀会長「現在の軽が国際的なレベル」”. response.jp (2010年11月18日). 2011年10月21日閲覧。
  16. ^ フェンダーが、軽自動車の幅を越える。スマートKは、フェンダーを切り詰めて軽自動車規格内におさめた。
  17. ^ JAMA 自家用乗用車ユーザーの税負担額(11年間)”. 日本自動車工業会. 2012年10月30日閲覧。
  18. ^ 日本自動車会議所、自動車取得税・重量税の廃止求める。”. Response (2012年6月26日). 2012年11月9日閲覧。


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