自動車税 自動車税の概要

自動車税

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2013/10/08 10:48 UTC 版)

自動車税は「車検税」ではなく、車検を受ける受けないに関わらず納税義務が生じる。車検を受ける際に納付する義務が生じるのは国税の「自動車重量税」である。また「道路運行税」でもないので、たとえ駐車場に置いたまま走行していない状態であっても納税義務を逃れる事は出来ない。

自動車が、ローンにより売買される場合には、債権担保の目的から所有権が売主に留保されることがあるが、この場合には、買主が所有者とみなされて自動車税を納付することとなる。

税率

標準税率は、次の4つの大区分ごとに、自家用営業用、特殊な用途(8ナンバー)などの用途、さらにはその総排気量、総積載量及び乗車定員等に応じて定められている(地方税法第147条)。

事業用(いわゆる緑ナンバー)や(キャンピングカーを除く)8ナンバー車は低額な税額であるのに対し、自家用(特に白ナンバー乗用車)は高額である。税額の最高は自家用乗用車(6.0リッター超)の11万1,000円/年に、後述のグリーン化税制によって10%重課された場合の12万2,100円/年である。

制限税率(税率の上限)は、標準税率の1.5倍とされる(地方税法第147条第4項)[1]

種別毎の税率

以下に記す税額は標準税額である。

乗用車

乗用車の場合は、総排気量が増えるほど税額が高く設定されており、排気量が1.0リッター超から0.5リッター刻みで6.0リッターまで税額が設定されている(地方税法第147条第1項第1号)。

自家用は極めて高額な税額が設定されていることが特徴である[2]。 また、近年の環境考慮と世界的なレベルでは0.1リッター刻みの排気量車が増えていることに鑑みると、今後税制の見直しが必要であるという意見がある。

自動車税額(乗用車) ※単位は円
排気量 自家用 事業用
1.0リッター以下 29,500 7,500
1.0超~1.5リッター以下 34,500 8,500
1.5超~2.0リッター以下 39,500 9,500
2.0超~2.5リッター以下 45,000 13,800
2.5超~3.0リッター以下 51,000 15,700
3.0超~3.5リッター以下 58,000 17,900
3.5超~4.0リッター以下 66,500 20,500
4.0超~4.5リッター以下 76,500 23,600
4.5超~6.0リッター以下 88,000 27,200
6.0リッター超 111,000 40,700

トラック

トラックは、最大積載量が増えるほど税額が高く設定されている。最大積載量が1トン超から1トン刻みで8トンまで税額が設定されている(地方税法第147条第1項第2号)。

自動車税額(トラック) ※単位は円
積載量 自家用 事業用
1トン以下 8,000 6,500
1トン超~2トン以下 11,500 9,000
2トン超~3トン以下 16,000 12,000
3トン超~4トン以下 20,500 15,000
4トン超~5トン以下 25,500 18,500
5トン超~6トン以下 30,000 22,000
6トン超~7トン以下 35,000 25,500
7トン超~8トン以下 40,500 29,500
8トン超 40,500+1トン毎に6,300 29,500+1トン毎に4,700

バス

バスの場合は乗車定員が増えるほど税額が高く設定されている。事業用では一般乗合用(通学バス含む)かそうでないかで税率が異なる(地方税法第147条第1項第3号)。

自動車税額(バス) ※単位は円
乗車定員 自家用 事業用(乗合) 事業用(その他)
30人以下 33,000 12,000 26,500
30人超~40人以下 41,000 14,500 32,000
40人超~50人以下 49,000 17,500 38,000
50人超~60人以下 57,000 20,000 44,000
60人超~70人以下 65,500 22,500 50,500
70人超~80人以下 74,000 25,500 57,000
80人超 83,000 29,000 64,000

その他

貨物兼用車、三輪の小型自動車、牽引車、被牽引車、特種用途車(キャンピングカー除く)、キャンピングカーなどに個別に自動車税が設定されている。

グリーン化税制

2002年(平成14年)度から、排出ガス及び燃費性能の優れた環境負荷の小さい自動車(低公害車)はその性能に応じ税率を軽減し、新車新規登録から一定年数(ガソリンエンジンで13年、ディーゼルエンジンで11年)を経過した自動車(営業用のバスは除く)の税率を約10%ほど重くする税率の特例措置(いわゆる「自動車税のグリーン化」)が実施されている。

この「グリーン化税制」は、環境保護対策という名目のもと、経済対策(新車販売の内需回復)が織り込まれている[3]。新車の販売を促進することがグリーン化税制の目的でもあるため、新車登録後の自動車の程度や性能の差、使用される状況の違いによる環境負担の度合い(環境保護を意識して走行距離の短縮に努力するユーザーや、メンテナンスを欠かさないことで性能の低下を抑えているユーザー)を完全に無視しており、不公平税制となっている。また長期使用によるライフサイクルコストの面からみた優位性や物を大切にする取り組みなどが考慮されておらず、これらに対しても一律に加算賦課するのは非合理である。

こうしたことから、グリーン化税制には以下のような批判がある。

  • ガソリン車やディーゼル車は、走行距離が多いほどより多くの燃料を消費しその分温室効果ガス大気汚染物質を放出するので、グリーン化税制が環境保護対策であるならば、ガソリンや軽油などの燃料油に課税すべきである。
  • 自動車税は財産税であるにもかかわらず、財産価値が最大である新車新規登録時に税負担が軽減され、長期使用により財産価値が減耗した段階で重課となるのは矛盾である。

賦課期日・納期

自動車税納税通知書(平成22年度)

賦課期日は4月1日で、納期は原則として5月中である(地方税法第148,149条、青森県秋田県においては条例により6月中としている)。4月1日時点の所有者に対して、5月頃に都道府県から送付される納税通知書によって納める。

新規登録

4月1日以後に自動車(新車)を購入し、運輸支局で新規登録を行った場合は、その購入月の翌月から月割で自動車税が課せられる(地方税法第150条第1項)。例えば、9月15日に自動車(新車)を購入すると、10月から3月までの6か月分を新車登録時に納付する必要がある。

抹消登録

年度中に廃車等を行い、運輸支局で抹消登録を行った場合は、抹消登録を行った翌月以降の税額が還付される。(地方税法第150条第2項)

注意事項

4月1日時点で自動車を所有していれば、4月1日以降に名義変更を行っても、4月1日時点の所有者に法律上の納税義務がある。このことから中古車を購入したり、車を下取りに出す場合注意が必要である。4月1日以降に中古車を購入する場合には、法律上は購入した年度の分の自動車税の納税義務はない。逆に、4月1日以降に車を手放しても、その年度の分の自動車税の納税義務はなくならず、抹消登録されない限り年額全てを納付する必要がある。

こうした法的責任とは別に、売買の際の当事者間の取り決めにより、例えば月割の自動車税額に相当する金銭がやり取りされることがあるが、そうした取り決めが曖昧であったり、一方の当事者が誠実に履行しない場合に、税負担を巡るトラブルに発展するケースが見られる。

また譲渡した車について、運輸支局で名義変更や抹消登録の登録手続きがされていない場合、手放した翌年度以降も自動車税が課税されることになるので特に注意が必要である。

県外への転入・転出

平成18年度から、都道府県をまたがる移転についての月割計算が廃止された。即ち4月1日現在の自動車の登録上の定置場所の存する都道府県に年額全額を納付すれば、平成17年度以前のように移転する前の都道府県から月割で還付を受け、新たな定置場所の存する都道府県に同じく月割で納付するといった必要はなくなった。これにより、車検更新等に必要な納税証明書は、4月1日現在の自動車の登録上の定置場所の存する都道府県の発行するものを使用することとなっている。

保留

車検の更新がない場合、自動車税が納付されないケースが多い。このような場合には都道府県によって“扱いが異なる”が一部の都道府県では「自動車税課税保留制度」があり、この制度の下、「保留」という処置が執られる。この制度の適用は、基本的に都道府県が職権で行うものであるが、納税義務者等からの事情届の提出を要件とする都道府県もある。

ただし、自動車の再使用すなわち車検申請に際して保留は解除され納付義務が発生する。対して、一時抹消及び抹消手続きが申請されたときには納付義務がそのまま消滅する。一時抹消後、登録(車検)した場合には、消滅した自動車税の納付義務は回復しない場合が多い。(都道府県により対応は違うようである)ただし、車検が有効な期間に納付されていなかった自動車税に対しては保留ではなく未納分とみなされ、保留期間に入った後も納税義務は保留されず、消滅もしないので注意が必要。

この制度は、法の趣旨(自動車税は本来的に財産税であり、自動車を所有していることそのものに担税力を見出しているものであって、車検有効期間中であるか否か、実際に運行に供されているか否かは課税要件となっていない)を逸脱し、「自動車税は自動車を使用している期間に対して課税される」という考え方の下、車検が切れた期間は「自動車は使用されていない」とみなして納税義務を保留とするものである。都道府県によって扱いが異なり、また課税担当者によっても扱いが異なることがあるのは、このためである。 車検が切れている車であっても、例えば年式の新しい車、高級車、クラシックカーなど財産価値の高い車についてはこの保留制度を適用しないなど、課税担当者の恣意的な運用も見られる。

納税通知書を発付する時点で車検切れになっている自動車について、一律に課税保留する(最初から納税通知書を送付しない)取り扱いをしている都道府県がある一方、納期限までに納税のあった自動車については課税を継続し、滞納になって一定期間を経過した自動車のみ、さかのぼって課税保留する(したがって、滞納したほうが納税義務者にとって得になる)扱いをする県もある。


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  1. ^ 増税への道筋合意…自動車税の制限税率1.5倍に”. response.jp (2005年12月15日). 2012年8月20日閲覧。
  2. ^ a b c 第7回 みんなで考えようクルマの税金”. 自動車税制改革フォーラム (2009年10月31日). 2011年7月27日閲覧。
  3. ^ 経済産業省関係 平成21年度税制改正のポイント”. 経済産業省 (2008年12月12日). 2012年2月8日閲覧。(PDF)
  4. ^ a b c JAMA レポート No.78 自動車関係諸税の国際比較”. 日本自動車工業会. 2012年1月6日閲覧。
  5. ^ スウェーデン「国民負担70%でも医療費、大学、給食費みんなタダ」”. J-CAST (2010年8月11日). 2013年9月29日閲覧。
  6. ^ a b 平成22年度 自転車交通の総合的な安全性向上策に関する調査報告書”. 内閣府 (2011年3月). 2013年9月29日閲覧。
  7. ^ a b c シンガポールの政策(2011年改訂版)陸上交通政策編”. 財団法人自治体国際化協会 (2011年6月16日). 2013年9月29日閲覧。
  8. ^ 一向に減らない交通渋滞|シンガポールのクルマ事情|コラム|AsiaX Column
  9. ^ 知ってる?クルマの税金”. 日本自動車連盟(JAF). 2012年10月29日閲覧。
  10. ^ JAMA レポート No.91 自動車の税金について”. 日本自動車工業会. 2012年10月29日閲覧。
  11. ^ a b 環境自動車税、自工会志賀会長「現在の軽が国際的なレベル」”. response.jp (2010年11月18日). 2011年10月21日閲覧。
  12. ^ フェンダーが、軽自動車の幅を越える。スマートKは、フェンダーを切り詰めて軽自動車規格内におさめた。
  13. ^ JAMA 自家用乗用車ユーザーの税負担額(11年間)”. 日本自動車工業会. 2012年10月30日閲覧。
  14. ^ 日本自動車会議所、自動車取得税・重量税の廃止求める。”. Response (2012年6月26日). 2012年11月9日閲覧。


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