寡婦控除とは? わかりやすく解説

Weblio 辞書 > ビジネス > 新語時事用語辞典 > 寡婦控除の意味・解説 

寡婦控除

読み方:かふこうじょ

夫との死別離別後、再婚していない女性寡婦)に対する税の控除のこと。所得税法第81条および第85条で定められている。2014年現在法律では、27万円所得税から控除されるまた、寡婦控除は住民税にも適用されており、26万円控除されるほか、納税者合計所得金額125万円以下の場合には非課税となる。

所得税法によると、寡婦該当するかは、原則としてその年の12月31日判定される要件としては、「夫と死別し若しくは離婚した婚姻をしていない人、又は夫の生死明らかでない一定の人」という共通要件のほか、「扶養親族または生計一にする子がおり、その子総所得金額38万円以下」、あるいは「合計所得金額500万円以下」のいずれか満たすことが求められている。

寡婦要件として、過去に夫がいたことが挙げられているが、ここでいう夫とは戸籍上の夫であることから、内縁の妻や未婚の母などは寡婦控除の対象外となっている。

寡婦控除の要件は、各自治体における保育料公営住宅家賃減免などの公的支援制度にも適用されることがある一部自治体では、寡婦控除対象外の人の困窮鑑みて、寡婦控除があったと見なし保育料家賃減免行っている(寡婦控除のみなし適用)。

関連サイト
寡婦控除 - 国税庁
所得税法 - 総務省e-gov

寡婦

(寡婦控除 から転送)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/04/10 06:42 UTC 版)

寡婦 かふ英語:widow(ウィドウ))とは、夫と死別又は離別し(離婚)、再婚していない女性、夫のない独身の女性を意味する[1]

別名では、 寡、嬼 やもめ[2] 女寡 おんなやもめ 後家 ごけ[注 1] 未亡人 みぼうじん[注 2]などがある。 やもめという言葉は本来、男女双方を指し、男性の場合は 寡夫 かふ 鰥・鰥夫・寡男 やもお 男鰥・男寡 おとこやもめなどともいう。戦中、戦没者未亡人を指して、靖国の妻という言葉があったとされる[5]

各国の制度

日本

寡婦(寡夫)控除・ひとり親控除

通称マルフ、寡婦控除・ひとり親控除を申告できる。

所得税法第2条において、寡婦はア又はイに掲げる者でひとり親に該当しないものをいう(原則2020年4月以後)。

ア 夫と離婚した後婚姻をしていない者で、扶養親族を有し、本人の合計所得金額が500万円以下であるもの(一定の事実婚関係にある人がいるものを除く)
イ 夫と死別した後婚姻をしていない者、又は夫が生死不明などの者で、本人の合計所得金額が500万円以下であるもの(一定の事実婚関係にある人がいるものを除く)

同様に、ひとり親は次に掲げる者をいう。

現に婚姻をしていない者又は配偶者が生死不明などの者で、合計所得金額が58万円[6](2024年分以前は48万円)以下の生計を一にする子(他の者の同一生計配偶者、扶養親族となっていない者に限る)を有し、かつ本人の合計所得金額が500万円以下であるもの(一定の事実婚関係にある人がいるものを除く)

所得税法第80条で、その年12月31日の現況で寡婦である者については、寡婦控除として、27万円(住民税;26万円)の所得控除が認められる。

同法第81条で、その年12月31日の現況でひとり親である者については、ひとり親控除として、35万円(住民税;30万円)の所得控除が認められる(原則2020年4月以後)。

なお、従前の寡夫控除(27万円、住民税;26万円)と特別(旧;特定)の寡婦控除(35万円、住民税;30万円)は、ひとり親控除の創設に伴い、2020年3月末で原則的に廃止された。

寡婦年金

国民年金における制度。所定の要件を満たす夫が死亡した場合に、夫によって生計を維持され、夫との婚姻期間が10年以上継続した妻に寡婦年金を支給する。支給期間は60歳から65歳までの5年間。詳細は遺族年金#寡婦年金を参照。

寡婦福祉

自治体によって、寡婦福祉資金貸付制度や公営住宅の優遇などの援助を行っているところがある。

岡山市では、所得税法上では寡婦とみなされないシングルマザーを対象に、所得控除を「適用されたとみなし」て課税額を算定し、保育料を減額する母子家庭の支援策を行っている。千葉市も同様に、2010年度より保育料と子どもルーム利用料を減額する方針を固めた[7]

イギリス

イギリスの国民保険の主な給付制度として寡婦手当 (Widowed Parent’s Allowance) が定められている[8]

フランス

API

フランスには片親支援給付としてAPI (Aallocation de parent isolé) と呼ばれる家族給付制度があり、独身者、寡婦(夫)、離婚者、別居中あるいは頼る者のない身で一人あるいは複数の子供を育てている親、妊娠中の単身の女性のいずれかで、実質的な夫婦関係のある同居人がなく所得条件を満たしている場合に受給資格を認めている[9]

ARAF

APIなどの寡婦(夫)手当あるいは片親手当を受けている者に対しては、ARAF (Aide à la reprise d'activité des femmes) と呼ばれる職業復帰に向けた支援のための給付の制度が設けられてる[9]

アフガニスタン

アフガニスタンにおける国連の活動「カンダハール、マザリシャリフ、ジャララバードの非正規居住区の整備」(UN-HABITAT) では2004年から2005年にかけて紛争により疲弊した非公式居住区に居住する避難民や寡婦家庭などを対象にコミュニティ活動計画が実施された[10]

サティー

ヒンドゥー教社会には、夫を亡くした寡婦が焼身自殺をする慣習がある。

派生的表現

ゴルフに現を抜かす夫にほったらかされた妻を未亡人に見立てて、「ゴルフウィドウ(golf widow)」と呼ばれることがある[11]

クロゴケグモ(黒後家蜘蛛、英名:ブラックウィドウ、学名: Latrodectus mactans)は、メスが交尾し終わった後のオスを捕まえて食べる場合があることでこの名前が付けられた。

脚注

注釈

  1. ^ 本来は主人を亡くした後の遺族一般のことを指すものであったが、10世紀以降官物未進のまま死去した国司受領)の責任を追及する際にその遺産を持つ遺族に対する呼称として頻出するようになる。また、同時期に家父長権が成立する反面、家父長の死後は寡婦となった妻が家父長を代行もしくは継承して亡き夫の財産を管理下に置いて将来的には次代へと引き継いでいく慣行が成立する。そのため、11世紀に入ると、主人の亡き後に遺産を管理する家父長的な妻(寡婦)が「後家」と呼ばれるようになり、それが遺族全体を指す呼称から夫を亡くした寡婦に対する一般名称に転換したのだという[3]
  2. ^ 古代中国において夫が死んだら妻も共に死すという価値観があったが、その価値観に従わない者が自らを自称する「謙称」であった[4]。時代が下ってからは、自称の用法が薄くなり、一般的な他称としても用いられるようになった。

出典

  1. ^ 寡婦”. デジタル大辞泉. 2021年9月20日閲覧。[リンク切れ]
  2. ^ 大漢和辞典大修館書店、卷三 771頁。 
  3. ^ 野村育世「中世における後家相続」『家族史としての女院論』校倉書房、2006年、P39-40.
  4. ^ 朝日新聞』1988年1月28日 東京朝刊4面
  5. ^ 天声人語 1. 朝日新聞. (1981-01-20). p. 101-102 
  6. ^ 原則2025年12月以後適用。
  7. ^ 小川直人 (2009年11月13日). “寡婦控除 未婚シングルマザーにも 千葉市:千葉”. 東京新聞 (TOKYO Web). 2009年11月14日時点のオリジナルよりアーカイブ。2009年11月18日閲覧。
  8. ^ 諸外国における副業・兼業の実態調査” (PDF). 労働政策研究・研修機構. 2019年4月20日閲覧。
  9. ^ a b V.家族給付” (PDF). 労働政策研究・研修機構. 2019年4月20日閲覧。
  10. ^ 人間の安全保障” (PDF). 外務省. 2017年12月25日閲覧。
  11. ^ "ゴルフ用語: ゴルフウィドウ (golf widow)". Golf Digest TV. 2010年5月28日. 2019年4月6日時点のオリジナルよりアーカイブ。2019年4月6日閲覧

関連項目

外部リンク

タックスアンサー国税庁

北海道大学



英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「寡婦控除」の関連用語

寡婦控除のお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



寡婦控除のページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
新語時事用語辞典新語時事用語辞典
Copyright © 2025 新語時事用語辞典 All Rights Reserved.
株式会社シクミカ株式会社シクミカ
Copyright (C) 2025 株式会社シクミカ. All Rights Reserved.
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアの寡婦 (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。

©2025 GRAS Group, Inc.RSS