寡戦とは? わかりやすく解説

Weblio 辞書 > 辞書・百科事典 > 百科事典 > 寡戦の意味・解説 

寡戦

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/01/26 14:33 UTC 版)

寡戦(かせん)とは、小勢にて大勢と戦うことをいう[1]。「寡(か)」は「少ない」の意[2]で、『孫子』にも「衆・寡(多い兵、少ない兵)」の意で用いられる他、『孟子』においても、「寡は衆に敵せず(少ない者は多い者には敵わず)」と記される。これは春秋戦国時代がライバル国多数が前提であり、小軍で一度勝てたとしても、疲れ切ったところを別の敵国軍に襲われて国が滅びれば、結果的には負けであるための思想である[3](ゆえに『孫子』では寡戦は説かない[4]。後述)。


  1. ^ 上泉信綱伝『訓閲集』巻四「戦法」の項より。
  2. ^ 『広辞苑』第六版岩波書店にも「寡兵」として記載が見られる。
  3. ^ 守屋淳 『最高の戦略教科書 孫子』 15刷2016年 p.30.
  4. ^ 一例として、元寇の際、元軍は『孫子』を引用し、寡戦を避け、撤退した記述が『高麗史』にはみられる(詳細は神風も参照)。
  5. ^ 『闘戦経』 2011年 p.119.
  6. ^ 『闘戦経』 2011年 p.157.
  7. ^ 上泉信綱伝『訓閲集』 p.130.
  8. ^ 守屋淳 『最高の戦略教科書 孫子』 p.67.
  9. ^ 守屋淳 『最高の戦略教科書 孫子』 pp.34 - 36.
  10. ^ 甲陽軍鑑』では信玄の発言として、「戦いは40歳以前は勝つように、40歳からは負けないようにすることだ」とあり、「風林火山」の旗をかかげた信玄が孫子兵法を実践していたことがわかる。
  11. ^ 守屋淳 『最高の戦略教科書 孫子』 p.88.
  12. ^ 「虚実篇」の「我は専にして、一となり、敵は分かれて十となれば、これ十を以って、その一を攻むるなり」。
  13. ^ 守屋淳 『最高の戦略教科書 孫子』 p.163.「虚実篇」に「人を形せしめて我に形なければ、則ち我は専にして、敵は分かる(相手にはこちらの情報がないので分散する)」。
  14. ^ 中里介山 『日本武術神妙記』 角川ソフィア文庫 2017年 ISBN 978-4-04-400141-4 p.54.
  15. ^ 伊藤潤 板嶋恒明 『北条氏康 関東に王道楽土を築いた男』 PHP新書 2017年 ISBN 978-4-569-83676-8 p.114.
  16. ^ 佐藤寒山編 『日本の美術 6号 刀剣』 至文堂 1966年 p.63.
  17. ^ 水戸計 『江戸の大誤解』 彩図社 2016年 ISBN 978-4-8013-0194-8 p.124.
  18. ^ 『軍師日本史人物列伝』 日本文芸社 2013年 ISBN 978-4-537-12261-9 p.8.
  19. ^ 本郷和人 『軍事の日本史 鎌倉・南北朝・室町・戦国時代のリアル』 朝日新書 2018年 ISBN 978-4-02-273799-1 p.70.
  20. ^ 磯田道史 『日本史の内幕 戦国女性の素顔から幕末・近代の謎まで』 中公新書 10版2018年(初版2017年) ISBN 978-4-12-102455-8 p.186.
  21. ^ 半藤一利 『歴史に「何を」学ぶのか』 ちくまプリマー新書 2017年 ISBN 978-4-480-68987-0 p.145.
  22. ^ 本郷和人 『軍事の日本史 鎌倉・南北朝・室町・戦国時代のリアル』 朝日新書 2018年 p.198.
  23. ^ 朝日新聞 2018年8月19日 日曜日付け(記事「文化・文芸」 高久潤)。
  24. ^ 鈴木旭 『面白いほどよくわかる 戦国史』 日本文芸社 2004年 p.148.
  25. ^ 『歴史人 8 No.68』 KKベストセラーズ 2016年 p.31.
  26. ^ 鈴木旭 『面白いほどよくわかる 戦国史』 p.208.
  27. ^ 陳舜臣 『中国の歴史 (三)』 講談社文庫 11刷1997年(1刷1990年) ISBN 4-06-184784-8 p.465.
  28. ^ 守屋淳 『孫子 最高の戦略教科書』 pp.204 - 205.
  29. ^ 陳舜臣 『中国の歴史 (三)』 p.465.
  30. ^ クリストファー・ロイド 訳・野中香方子『137億年の物語 宇宙が始まってから今日までの全歴史』文芸春秋、18刷2014年、p.357.
  31. ^ ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「泗川の戦い」
  32. ^ 乃至政彦 『戦国の陣形』 講談社現代新書 2016年 ISBN 978-4-06-288351-1 pp.77 - 78.中世前半は領主別による「軍勢」であって、兵種別による「軍隊」ではなかったため、強い統制権が生じなかった。
  33. ^ 乃至政彦 『戦国の陣形』 p.100.
  34. ^ 松嶋憲昭 『気象で見直す日本史の合戦』 洋泉社 2018年 ISBN 978-4-8003-1439-0 p.155.
  35. ^ 淮南子』には「兵強ければ、則(すなわ)ち滅ぶ」(軍隊が強いと国家が滅ぶ)という考え方が記されている。





英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「寡戦」の関連用語

寡戦のお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



寡戦のページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアの寡戦 (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。

©2024 GRAS Group, Inc.RSS