外国税額控除
【英】: foreign tax credit
同義語: 二重課税防止
ある国の個人または法人が外国においても所得を挙げているとき、同一の課税対象に対し 2 カ国ないしそれ以上の国によって課税権が行使されること(国際二重課税)を排除する制度の一つ。 国際二重課税排除の方式には、(1) 外国で発生した所得そのものについて居住地国が課税権を放棄し、国内所得のみを課税対象とする外国所得免除方式(フランス、スイス、ベルギー、オランダなどが採用)と、(2) 国内および国外所得を課税対象として算出した居住地国の税額から外国で課せられた税額を控除する外国税額控除方式(日本、米国、英国、西独などが採用)とがある。 外国税額控除方式にも、i) 控除される税額を外国所得に国内の実効税率を乗じた額に限る通常の税額控除方式(ordinary credit)と、ii) 外国税額を無条件で全額控除する完全税額控除方式(full credit)とがある。i) の場合、控除限度額は単純化すれば次のように算出される。 居住地国で納付すべき税額×外国源泉所得 全世界所得=控除限度額 居住地国がこの外国税額控除制度を有していれば、国際二重課税は一応排除されているといえる。しかし、上述の控除限度額の計算についてみた場合、外国源泉所得の範囲または計算方法は居住地国の税法の定めるところにより決定される。そのために、外国が例えば居住地国の法律では外国源泉所得とはならない所得に課税を行っているなど、相互には課税所得についての規定が異なる場合には、外国税額控除の国際二重課税排除効果も限定されたものにならざるを得ない。そこで各国間で締結される租税条約(1985 年 6 月現在、わが国は 36 カ国と締結している)では、相手国との間で所得源泉および課税所得計算について統一的な定めを置き、外国税額控除の機能が有効に働くよう図られており、これが租税条約の重要な役割の一つとなっている。また開発途上国との租税条約では、いわゆる見なし外国税額控除制度(tax sparing credit system)と呼ばれる特別措置が講じられる場合が多い。これは開発途上国で外国からの投資を促進するため特別の租税減免措置を講じている場合、このインセンティブを生かすため、租税条約においてこの減免税額を支払ったものと見なして先進国で税額控除する制度である。 |

二重課税防止

外国税額控除制度
(外国税額控除 から転送)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/08/25 00:31 UTC 版)
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課税 |
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財政政策のありさまのひとつ |
外国税額控除制度(がいこくぜいがくこうじょせいど)とは、全世界所得課税制度を採用する国が、国際的な二重課税を排除するために、自国での納税額から、外国で稼得された所得(国外源泉所得)に対して課税された部分の税額を控除する仕組みのことである。
概要
外国税額控除(英: foreign tax credit)は、控除対象により2つに区分される。
- 納税義務者本人が外国で直接納税した税額を控除する直接外国税額控除。
- 居住地国の法人が源泉地国に所在する外国子会社等から配当を受けた場合に、その外国子会社の源泉地国での納税額のうちその配当の額に対応する部分の金額をあたかも居住地国法人自ら納税したものとみなして控除する間接外国税額控除
間接外国税額控除は、法人が海外進出を行う場合に、支店形態(支店そのものには、人格がなく居住地国法人の組織の一部に過ぎない)で行うときと、子会社形態(子会社は、法的には居住地国法人とは別人格である)で行うときとの中立性を保つために置かれている。
租税条約上も、この制度を追認する形で条項が置かれることが一般的である。
みなし外国税控除
日本では一部の途上国に対して、租税条約でみなし外国税額控除(タックス・スペアリング・クレジット)を認めている。この制度は、源泉地国である当該途上国が外国企業誘致を目的として所得に対する課税の減免を行っている場合に、その減免された税額をあたかも課税済みであるかの如く取り扱い日本の税額から控除を行う制度である。
この制度の目的は、全世界所得制度を採用しているために、源泉地国において採られた課税の減免措置が結局は無駄になり、源泉地国の税収を居住地国にシフトするだけになるを防ぐことにある。もっとも、この制度については、もはや途上国とは呼べない国に対しても恩典を与えている場合もあるほか、第三国のトリーティ・ショッピングの温床となっているとの批判もある。
分配時調整外国税相当額控除
公募投資信託等が海外の資産に投資している場合の配当等に対しまず外国で課税され、そして証券会社等が国内の投資家に対し収益の分配金を支払う際国内でも所得税が課税されることで二重課税が生じていたが、外国所得税を納付した者(投資信託等の運用会社)と源泉徴収義務者(証券会社等の販売会社)が異なる場合は従前の外国税額控除の適用ができなかった。 そこで、2020年1月1日より、証券会社等が外国所得税が課税された集団投資信託(合同運用信託、公社債投資信託及び公社債等運用投資信託(特定公社債等運用投資信託以外)を除く)の収益の分配金を支払う際、一般の外国税額控除と区別して二重課税調整計算ができるようになった。
関連項目
外部リンク
外国税額控除と同じ種類の言葉
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