富裕税とは? わかりやすく解説

Weblio 辞書 > 同じ種類の言葉 > 政治 > 税金 > > 富裕税の意味・解説 

ふゆう‐ぜい【富裕税】

読み方:ふゆうぜい

高額純資産所有者対象とする経常税。日本では昭和25年1950)に創設されたが、同28年廃止


富裕税

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/03/28 20:17 UTC 版)

富裕税(ふゆうぜい、英語: wealth tax)とは、資本課税英語版の1つで、総資産から総負債を差し引いた純資産に対して課税する税金のことである。

概要

富裕層の純資産に対して、毎年課税を行うことにより、富の偏在を是正することを目ざしている。一方で資本の国外逃避や頭脳流出が生じ、最終的に租税収入が減少すること等の反対論がある。

この税を実施している国はスイスオランダノルウェーインド等で、ヨーロッパが中心である。一方、この種の課税を廃止した国もあり、オーストリアデンマークドイツ1997年スウェーデン2007年スペイン2008年フランス2015年に「75%富裕税」(フランソワ・オランド大統領が導入し、100万ユーロ以上の資産が対象)[1])、そして2018年エマニュエル・マクロン大統領により130万ユーロ以上の資産に0.55〜1.8%課される富裕連帯税フランス語版が廃止されて不動産への課税に移行した。

なお、ドイツが廃止[2]したのは、ドイツ連邦憲法裁判所が、その判決[3]で、現状は不動産とそれ以外の資産で評価が公平でないため違憲状況にあり、また税率にも一定の限度があると判断した結果である。

日本の富裕税導入と廃止

戦後、所得税の最高税率が75%と高い水準にあった日本では、インフレーション利得者等へ累進課税するためとして、1947年昭和22年)に最高税率がさらに85%に増税されていた[4]1949年昭和24年)のシャウプ勧告は、このように高い税率は勤労意欲にマイナスがある等として、所得税の最高税率を下げ、それを補うための補完税として富裕税を導入するように勧告した[5]。この結果、1950年昭和25年)に所得税の最高税率が55%に抑えられ[6]、同時に0.5〜3%の累進税率で富裕税が導入された[7]

しかし、富裕税は税収総額が多くなく、資産の包括的把握の税務執行上の問題が浮上したため、1953年昭和28年)に廃止され[8][9]、代わりに所得税の最高税率が65%にされた[10]

備考

『シャウプ勧告』の報告書にあった税目は、原文では「net worth tax」であった。内容からいけば"財産税"であるが、1946年に導入された「財産税」が封鎖預金の騒ぎを起こしたため、対応した池田勇人大蔵大臣がこれを避けて、辞書で代わりになる言葉を調べ、最初「富有税」としたが、柿の名前のようなので"有"にあたる字を調べると"裕"を見つけ「富裕税」と命名した[11]

出典

  1. ^ フランス政府、実施2年で「75%富裕税」を廃止へ」『東亜日報』、2015年1月3日。2020年8月23日閲覧。
  2. ^ 財産税法自体は廃止されていないので、正確には徴税停止状況にある。一部に、復活を求める議論もある。
  3. ^ BVerfG-Beschluß vom 22.6.1995(2 BvL 37/91)
  4. ^ 「所得税法の一部を改正する法律」昭和22年法律第142号
  5. ^ 金子 2019, p. 61.
  6. ^ 「所得税法の一部を改正する法律」昭和25年法律第71号
  7. ^ 「富裕税法」昭和25年法律第174号
  8. ^ 「富裕税法を廃止する法律」昭和28年法律第164号
  9. ^ 金子 2019, p. 65.
  10. ^ 「所得税法の一部を改正する法律」昭和28年法律第173号
  11. ^ 梅田 1982, p. 244.

参考文献

関連項目

外部リンク


「富裕税」の例文・使い方・用例・文例

Weblio日本語例文用例辞書はプログラムで機械的に例文を生成しているため、不適切な項目が含まれていることもあります。ご了承くださいませ。



富裕税と同じ種類の言葉


英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「富裕税」の関連用語

富裕税のお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



富裕税のページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
デジタル大辞泉デジタル大辞泉
(C)Shogakukan Inc.
株式会社 小学館
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアの富裕税 (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。
Tanaka Corpusのコンテンツは、特に明示されている場合を除いて、次のライセンスに従います:
 Creative Commons Attribution (CC-BY) 2.0 France.
この対訳データはCreative Commons Attribution 3.0 Unportedでライセンスされています。
浜島書店 Catch a Wave
Copyright © 1995-2025 Hamajima Shoten, Publishers. All rights reserved.
株式会社ベネッセコーポレーション株式会社ベネッセコーポレーション
Copyright © Benesse Holdings, Inc. All rights reserved.
研究社研究社
Copyright (c) 1995-2025 Kenkyusha Co., Ltd. All rights reserved.
日本語WordNet日本語WordNet
日本語ワードネット1.1版 (C) 情報通信研究機構, 2009-2010 License All rights reserved.
WordNet 3.0 Copyright 2006 by Princeton University. All rights reserved. License
日外アソシエーツ株式会社日外アソシエーツ株式会社
Copyright (C) 1994- Nichigai Associates, Inc., All rights reserved.
「斎藤和英大辞典」斎藤秀三郎著、日外アソシエーツ辞書編集部編
EDRDGEDRDG
This page uses the JMdict dictionary files. These files are the property of the Electronic Dictionary Research and Development Group, and are used in conformance with the Group's licence.

©2025 GRAS Group, Inc.RSS