赤十字社
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/01/21 04:47 UTC 版)
![]() 赤十字社と赤新月社の標章。この運動の名称は標章からとられたものである。 | |
設立 |
1863年 (赤十字国際委員会); 1919年 (国際赤十字赤新月社連盟) (構想されたのは1859年) |
---|---|
設立者 |
アンリ・デュナン ギュスターブ・モワニエ |
種類 | 非政府組織、非営利組織 |
目的 | 人道 |
所在地 | |
貢献地域 | 全世界 |
組織的方法 | 援助 |
収入 | 1640万米ドル[1] |
ボランティア数 | 約18万人 |
ウェブサイト | https://www.icrc.org/ |
世界各国に存在し、それらは国際的な協力関係を持っている。国によっては
(せきしんげつしゃ)、 (せきじゅうじかい)を名乗る。概説
赤十字・赤新月運動は、赤十字国際委員会(ICRC)、国際赤十字赤新月社連盟(IFRC)、各国の赤十字(赤新月)社の3組織で構成されている。各組織は財政・政策の面で独立しており、ICRCは紛争、IFRCは自然災害、赤十字・赤新月社は主に国内で活動を展開し、それぞれの基本的な任務は異なっている。いわゆる「国際赤十字(IRC)」はこの国際赤十字・赤新月運動を指す。
赤十字運動の最高決定機関は赤十字・赤新月国際会議と呼ばれ、この国際会議は原則として4年ごとに開催される。国際会議には、ジュネーヴ諸条約締約国政府の代表、ICRCの代表、IFRCの代表、各国赤十字・赤新月社の代表が参加する[2]。
赤十字運動の各組織は独立しているが、活動上は連携しており、ICRCは各国赤十字社と連携して任務にあたっている。例えば日本赤十字社は、紛争地におけるICRCの支援活動に日本人職員(主に医療スタッフ)を派遣している。また追跡事業では、世界を網羅するICRCのネットワークに加え、各国に根を張る赤十字・赤新月社のネットワークも活用されている。
国の内外を問わず、戦争や大規模な事故や災害の際に敵味方区別なく中立な立場で人道的支援を行う。「ジュネーヴ条約」とこれに基づく国内法によって特殊な法人格と権限を与えられている。2011年12月1日現在、152か国に赤十字社、34か国に赤新月社が設立され活動を行っている(十字でも新月でもない“ダビデの赤盾”を用いるイスラエルのマーゲン・ダビド公社を含めると計187か国)
活動に当たっては以下の7原則を掲げこれに基づく行動をしている[3]。
- 人道:赤十字の根本。
- 公平:国籍や人種などに基づく差別はしない。
- 中立:戦地や紛争地では友軍敵軍どちらにも与しない。
- 独立:政府の圧力に屈さず、また活動への干渉を許さない。受けるのは補助のみ。
- 奉仕:報酬を求めない。
- 単一:一国一社。国内に複数の赤十字社・赤新月社があってはならない[注 1]。
- 世界性:全世界で同様に活動する。世界の赤十字・赤新月は互いに支援し合う。
主要任務
- 紛争や災害時における、傷病者への救護活動
- 戦争捕虜に対する人道的救援(捕虜名簿作成、捕虜待遇の監視、中立国経由による慰問品配布や捕虜家族との通信の仲介など)
- 赤十字の基本原則や国際人道法の普及・促進
- 平時における災害対策、医療保健、青少年の育成等の業務
など、非常に多岐にわたる。
注釈
- ^ これにより、中華民国紅十字会は中国の赤十字社として承認されていない。
- ^ 王制当時のイランにおける「イラン赤獅子太陽社」・イラン革命で王制が倒れて以後の1980年からは使用されていないが、国際条約や関係法令の条文上には現在も残っており、正式に「保護標章」として用いることが可能である。
- ^ ただし、中の白地部分に独自のマークを入れて用いるのはあくまでも「表示標章」としての場合に限られ、「保護標章」としては赤水晶を単独で用いる必要がある・詳細は日本赤十字社『赤十字と国際人道法普及のためのハンドブック』p.28-30および井上忠男『第2版 医師・看護師の有事行動マニュアル』第7章を参照
- ^ ダビデの赤盾や赤水晶については明文規定がないが、「これらに類似する記章若しくは名称は、みだりにこれを用いてはならない。」とされている。
出典
- ^ “Annual Report 2019 - International Federation of Red Cross and Red Crescent Societies”. IFRC. 2020年11月4日時点のオリジナルよりアーカイブ。2020年12月18日閲覧。
- ^ https://www.jrc.or.jp/about/naritachi/ 「国際赤十字の成り立ち」日本赤十字社 2017年5月13日閲覧
- ^ a b https://www.jrc.or.jp/about/principle/ 「赤十字基本7原則」日本赤十字社 2017年5月13日閲覧
- ^ 「戦争と救済の文明史 赤十字と国際人道法のなりたち」p135-136 井上忠男 PHP新書 2003年5月2日第1版第1刷
- ^ 土井かおる『よくわかるキリスト教』PHP研究所、2004年、117ページ
- ^ 「赤十字標章ハンドブック―標章の使用と管理の条約・規則・解説集」p6-7 東信堂 2010年3月
- ^ 「赤十字標章ハンドブック―標章の使用と管理の条約・規則・解説集」p8 東信堂 2010年3月
- ^ 『知っていますかこのマークの本当の意味』日本赤十字社、2018年4月1日、10頁。
- ^ 赤十字新聞 第794号 2006年7月1日発行
- ^ 「赤十字標章ハンドブック―標章の使用と管理の条約・規則・解説集」p14 東信堂 2010年3月
- ^ 知っていますか?このマークの本当の意味
- ^ 赤十字マーク誤用しないで 「法律違反」と日赤 共同通信(47NEWS)、2008年5月2日
- ^ 「知っていますか?このマークの本当の意味」日本赤十字社 2007年1月初版発行
- ^ 地図記号一覧(国土地理院)
- ^ 地図記号:病院
- ^ 地図記号:保健所
- ^ 2009年11月27日ニュース(ニュージャパンキックボクシング連盟)
- ^ 商標審査基準 第4条第1項(不登録事由) 第1項第4号(赤十字等の標章又は名称)
- ^ 「戦争と救済の文明史 赤十字と国際人道法のなりたち」p48-54 井上忠男 PHP新書 2003年5月2日第1版第1刷
- ^ 「戦争と救済の文明史 赤十字と国際人道法のなりたち」p59-62 井上忠男 PHP新書 2003年5月2日第1版第1刷
- ^ 「戦争と救済の文明史 赤十字と国際人道法のなりたち」p63 井上忠男 PHP新書 2003年5月2日第1版第1刷
- ^ 「戦争と救済の文明史 赤十字と国際人道法のなりたち」p80-81 井上忠男 PHP新書 2003年5月2日第1版第1刷
- ^ https://www.jrc.or.jp/about/history/ 「歴史・沿革」日本赤十字社 2017年5月12日閲覧
- ^ https://www.jrc.or.jp/about/plaza/display/vol12/ 「赤十字情報プラザ 展示紹介一覧 vol.12 国際舞台にデビュー」日本赤十字社 2017年5月12日閲覧
- ^ 「戦争と救済の文明史 赤十字と国際人道法のなりたち」p209 井上忠男 PHP新書 2003年5月2日第1版第1刷
- ^ 「戦争と救済の文明史 赤十字と国際人道法のなりたち」p232-233 井上忠男 PHP新書 2003年5月2日第1版第1刷
- ^ https://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/k_jindo/naiyo.html 「ジュネーヴ諸条約及び追加議定書の主な内容」日本国外務省 2017年5月13日閲覧
- ^ https://www.jrc.or.jp/about/humanity/history/ 「国際人道法のあゆみ」日本赤十字社 2017年5月13日閲覧
- ^ “「国際4つの自由賞2014」~赤十字の活動が表彰されました|日本赤十字社” (日本語). www.jrc.or.jp. 2019年2月15日閲覧。
- ^ 日本赤十字新聞
- ^ “ガザ、救急車も標的。11台破壊、医療関係者44人死傷”. Asahi.com (朝日新聞社). (2009年1月9日) 2012年6月7日閲覧。
- ^ “シリア赤新月社、ホムスに初の支援物資届ける 車両狙った攻撃も”. AFP (フランス通信社). (2014年2月9日) 2014年2月12日閲覧。
- ^ “赤十字への攻撃辞さず=タリバンが声明-アフガン”. 時事通信社 (2018年8月15日). 2018年8月19日閲覧。
- ^ https://www.afpbb.com/articles/-/3397869?cx_amp=all&act=all
固有名詞の分類
- 赤十字社のページへのリンク