赤十字社 戦場での効果と実際

赤十字社

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/01/21 04:47 UTC 版)

戦場での効果と実際

ジュネーヴ条約などにより、標章を掲げた施設やスタッフは攻撃を受けないこととなっているが、戦場では必ずしも守られるとは限らない。

  • アメリカ軍により、第二次世界大戦時には、病院船ぶゑのすあいれす丸の撃沈事件や、大山口列車空襲のような機銃掃射事件も発生した。また、橘丸事件のように、違法に軍事輸送に加担し、拿捕された例もある。
  • 1945年8月22日、当時日本領だった南樺太(現在の日本の世界地図では帰属未定地)の豊原駅(現・ユジノサハリンスク駅)は、赤十字旗を掲げていたがソビエト連邦軍の爆撃を受け、その後同軍に占領された。既に、その時点で停戦協定は成立していた。
  • アフガニスタンでは赤十字旗のある救援拠点が米国軍により攻撃され[30]2006年に発生したイスラエル軍のレバノン侵攻におけるレバノン政党ヒズボラとの戦闘の際には、レバノンの赤十字スタッフが執拗な攻撃を受けている。また、2008年から2009年にかけては、ガザ地区で11台以上の救急車がイスラエル軍の攻撃により破壊され多くの医療スタッフが犠牲となっている[31]
  • 2003年10月27日イラクバグダード市内に存在した国際赤十字事務所が「自爆テロ」の犠牲となった。非正規の軍事組織は、捕虜などの扱いでジュネーブ条約の庇護を受けないこともあり、赤十字の組織の有効性に一石が投じられる事件となった。
  • シリア内戦により市街地戦の舞台となったホムス旧市街地では、2012年以降、孤立した住民に対して赤新月社による救援物資の輸送ができないほど治安が悪化した。2年後の2014年2月、政府軍と反政府軍との間で結ばれた限定的な停戦状態の下、赤新月社の救援物資輸送が行われたが、輸送中のトラックの一部が銃撃を受け、スタッフが負傷する事件も発生した[32]
  • 2018年8月14日、アフガニスタンで活動するターリバーンは、赤十字国際委員会への不満を理由に安全保障の取り決めを破棄すると表明。赤十字国際委員会への攻撃も辞さない方針を表明した[33]
  • 2022年3月30日に国際赤十字委員会がウクライナ南部マリウポリで、赤十字の施設がロシア軍による攻撃を受けたと発表した。[34]

注釈

  1. ^ これにより、中華民国紅十字会は中国の赤十字社として承認されていない。
  2. ^ 王制当時のイランにおける「イラン赤獅子太陽社」・イラン革命で王制が倒れて以後の1980年からは使用されていないが、国際条約や関係法令の条文上には現在も残っており、正式に「保護標章」として用いることが可能である。
  3. ^ ただし、中の白地部分に独自のマークを入れて用いるのはあくまでも「表示標章」としての場合に限られ、「保護標章」としては赤水晶を単独で用いる必要がある・詳細は日本赤十字社『赤十字と国際人道法普及のためのハンドブック』p.28-30および井上忠男『第2版 医師・看護師の有事行動マニュアル』第7章を参照
  4. ^ ダビデの赤盾や赤水晶については明文規定がないが、「これらに類似する記章若しくは名称は、みだりにこれを用いてはならない。」とされている。

出典

  1. ^ Annual Report 2019 - International Federation of Red Cross and Red Crescent Societies”. IFRC. 2020年11月4日時点のオリジナルよりアーカイブ。2020年12月18日閲覧。
  2. ^ https://www.jrc.or.jp/about/naritachi/ 「国際赤十字の成り立ち」日本赤十字社 2017年5月13日閲覧
  3. ^ a b https://www.jrc.or.jp/about/principle/ 「赤十字基本7原則」日本赤十字社 2017年5月13日閲覧
  4. ^ 「戦争と救済の文明史 赤十字と国際人道法のなりたち」p135-136 井上忠男 PHP新書 2003年5月2日第1版第1刷
  5. ^ 土井かおる『よくわかるキリスト教』PHP研究所、2004年、117ページ
  6. ^ 「赤十字標章ハンドブック―標章の使用と管理の条約・規則・解説集」p6-7 東信堂 2010年3月
  7. ^ 「赤十字標章ハンドブック―標章の使用と管理の条約・規則・解説集」p8 東信堂 2010年3月
  8. ^ 『知っていますかこのマークの本当の意味』日本赤十字社、2018年4月1日、10頁。 
  9. ^ 赤十字新聞 第794号 2006年7月1日発行
  10. ^ 「赤十字標章ハンドブック―標章の使用と管理の条約・規則・解説集」p14 東信堂 2010年3月
  11. ^ 知っていますか?このマークの本当の意味
  12. ^ 赤十字マーク誤用しないで 「法律違反」と日赤 共同通信(47NEWS)、2008年5月2日
  13. ^ 「知っていますか?このマークの本当の意味」日本赤十字社 2007年1月初版発行
  14. ^ 地図記号一覧国土地理院
  15. ^ 地図記号:病院
  16. ^ 地図記号:保健所
  17. ^ 2009年11月27日ニュースニュージャパンキックボクシング連盟
  18. ^ 商標審査基準 第4条第1項(不登録事由) 第1項第4号(赤十字等の標章又は名称)
  19. ^ 「戦争と救済の文明史 赤十字と国際人道法のなりたち」p48-54 井上忠男 PHP新書 2003年5月2日第1版第1刷
  20. ^ 「戦争と救済の文明史 赤十字と国際人道法のなりたち」p59-62 井上忠男 PHP新書 2003年5月2日第1版第1刷
  21. ^ 「戦争と救済の文明史 赤十字と国際人道法のなりたち」p63 井上忠男 PHP新書 2003年5月2日第1版第1刷
  22. ^ 「戦争と救済の文明史 赤十字と国際人道法のなりたち」p80-81 井上忠男 PHP新書 2003年5月2日第1版第1刷
  23. ^ https://www.jrc.or.jp/about/history/ 「歴史・沿革」日本赤十字社 2017年5月12日閲覧
  24. ^ https://www.jrc.or.jp/about/plaza/display/vol12/ 「赤十字情報プラザ 展示紹介一覧 vol.12 国際舞台にデビュー」日本赤十字社 2017年5月12日閲覧
  25. ^ 「戦争と救済の文明史 赤十字と国際人道法のなりたち」p209 井上忠男 PHP新書 2003年5月2日第1版第1刷
  26. ^ 「戦争と救済の文明史 赤十字と国際人道法のなりたち」p232-233 井上忠男 PHP新書 2003年5月2日第1版第1刷
  27. ^ https://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/k_jindo/naiyo.html 「ジュネーヴ諸条約及び追加議定書の主な内容」日本国外務省 2017年5月13日閲覧
  28. ^ https://www.jrc.or.jp/about/humanity/history/ 「国際人道法のあゆみ」日本赤十字社 2017年5月13日閲覧
  29. ^ 「国際4つの自由賞2014」~赤十字の活動が表彰されました|日本赤十字社” (日本語). www.jrc.or.jp. 2019年2月15日閲覧。
  30. ^ 日本赤十字新聞
  31. ^ “ガザ、救急車も標的。11台破壊、医療関係者44人死傷”. Asahi.com (朝日新聞社). (2009年1月9日). https://www.asahi.com/special/09001/TKY200901090007.html 2012年6月7日閲覧。 
  32. ^ “シリア赤新月社、ホムスに初の支援物資届ける 車両狙った攻撃も”. AFP (フランス通信社). (2014年2月9日). https://www.afpbb.com/articles/-/3008094 2014年2月12日閲覧。 
  33. ^ 赤十字への攻撃辞さず=タリバンが声明-アフガン”. 時事通信社 (2018年8月15日). 2018年8月19日閲覧。
  34. ^ https://www.afpbb.com/articles/-/3397869?cx_amp=all&act=all


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