ストックオプション
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/10/06 01:38 UTC 版)
日本におけるストックオプション
法制度
1997年、商法改正により日本企業への導入が全面解禁され、外資系企業の子会社日本法人等を中心に、親会社の株式を対象としての導入が相次いだ。1997年の商法改正により導入されたストックオプション制度は、取締役及び従業員を付与対象者とするもので、自己株式方式または新株引受権方式がとられた[1]。
2001年の法改正によりストックオプション制度は新株予約権制度に組み込まれ(新株予約権方式)、会社の取引先や関連会社役員などにも付与可能となり従来の制限はなくなった[1]。
ストックオプションは労働基準法でいう「賃金」には該当しないとするのが厚生労働省の見解である(平成9年6月1日基発412号)。この制度から得られる利益は、それが発生する時期及び額ともに労働者の判断に委ねられているため、労働の対償ではないとしている。もっとも、ストックオプションは労働条件の一部であり、制度として導入するには就業規則に記載すべきともしている。
税務上の取り扱い
国内企業が国内の従業員などに与えているストックオプションは、原則として「給与所得とする」と税法上定められている。
これに対し、外資系企業の日本法人の従業員などに与えたストックオプションの行使で得られた利益にかかる税金については、対象となる外資系企業(親会社)と直接の雇用関係がないことから、1998年分までは、税額の低い「一時所得」として処理するように国税当局により指導されていた。その後、当局が給与所得として申告するよう統一指導を始めたが、地方各局に徹底されるまでに時間がかかり地域によって不公平な課税がなされた。さらに1996年の申告にまで三年遡及して給与所得として追徴課税したケースもあり、課税区分をめぐり約100件の訴訟が係争中であったが、2005年1月25日、最高裁判所は「給与所得に該当する」との初めての判断を下した[6]。
- ^ a b c d e 伊藤邦雄『ゼミナール 現代会計入門 第7版』日本経済新聞出版社、2007年、464頁
- ^ “証券用語解説集 新株予約権付社債”. 野村證券. 2018年1月7日閲覧。
- ^ 伊藤邦雄『ゼミナール 現代会計入門 第7版』日本経済新聞出版社、2007年、466頁
- ^ “「冷凍型」ストックオプション広がる” (日本語). 日本経済新聞 電子版 2018年9月27日閲覧。
- ^ 伊藤邦雄『ゼミナール 現代会計入門 第7版』日本経済新聞出版社、2007年、465頁
- ^ 所得税更正処分等取消請求事件 平成17年1月25日最高裁判所
- 1 ストックオプションとは
- 2 ストックオプションの概要
- 3 制度趣旨
- 4 アメリカにおけるストックオプション
- 5 日本におけるストックオプション
- 6 ストックオプションの評価
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