エレクトリックベース エレクトリックベースの概要

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エレクトリックベース

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/01/12 09:00 UTC 版)

ベース
別称:
エレクトリック・ベース、エレキベース、
ベースギター、
各言語での名称
Electric Bass Guitar
Elektrische Bassgitarre
Guitare basse électrique
Chitarra Basso Elettrico

エレクトリックベースギター
分類

弦楽器撥弦楽器リュート属

関連楽器

エレキギターコントラバス

世界初のフレット付きのエレキベースは、1951年に発売されたフェンダー社プレシジョンベース(現テレキャスターベース)である[4][5]

概要

「エレクトリックベース」とは、「エレクトリックのベースギター (electric bass guitar)」 のことである。本来「エレクトリックベース」は「電気信号を別個の増幅発音機器に送る低音域用の弦楽器」という意味で、「それ自体に音を拾う機能(ピックアップ)がある低音域用の弦楽器」である「アコースティック・ベース」の対義語である。しかし、エレキベースが世に出た当初は、他にこのような電気信号式のベースはなかったことから、ほぼ排他的に「エレクトリックのベースギター」を指す語となった。1970年代以降は従来のパッシブベースに比してノイズが少なく周波数帯域が広いミュージックマンスペクターEMGバルトリーニTCTに代表されるプリアンプ回路やアクティブピックアップを持ったアクティブベースも普及している。

米国での「フェンダーベース」という呼称は初めて量産されたフェンダー社のプレシジョンベース、およびその後継機種であるジャズベース[6]の流通量の豊富さ、ミュージシャンの使用頻度の高さによるものと思われる。

電気楽器の「ベースギター (bass guitar)」の他に電子楽器シンセ・ベースも存在するが、シンセ・ベースは低音域を担当するというだけで弦楽器ではなく鍵盤楽器である。

かつてエレクトリック・ギターや同ベースは混同されて通称「エレキ」とも呼ばれたが、これらは単にギターとかベースと呼ぶことも多い。

ベース奏者のことを「ベーシスト (Bassist)」、「ベースマン」と呼ぶ。

著名な奏者

著名なベーシストとしては、ファンクR&B系ではブーツィー・コリンズ[注 1]、フレッド・トーマス(JBズ)、ラリー・グラハムジェームス・ジェマーソンモータウン)、ドナルドダック・ダンスタックス)、マーク・アダムス(スレイブ)、バーナード・エドワーズシック)、ロバート・クール・ベルトミー・コグビル[注 2]ジェリー・ジェモット、マーシャル・"ロック"・ジョーンズ(オハイオ・プレイヤーズ[7]ルイス・ジョンソンチャック・レイニー、フイル・チェンらがいた。

また、ロック系ではアンディ・フレイザー[8]、メル・サッチャー[9][10]グランド・ファンク・レイルロード)、ロジャー・グローヴァーポール・マッカートニービル・ワイマンジョン・ポール・ジョーンズジョン・エントウィッスル[11]らが、ジャズ・クロスオーバーフュージョンでは、エイブラハム・ラボリエルマーカス・ミラーウィル・リーポール・ジャクソンスタンリー・クラークジャコ・パストリアスらがいる。

エイブラハム・ラボリエルはエイブ・ラボリエル名義で、ハーブ・アルパート「ライズ」でベースをプレイしている。また、フィル・チェンはロッド・スチュワート「アイム・セクシー」でベースを担当した[注 3]。R&B系・ジャズ・クロスオーバー系のベース奏者は録音スタジオでセッション・ミュージシャンとしても働く者が多く、初見に強かった。ジェームス・ジェマーソン(モータウン)は、ポール・マッカートニーら、他のベーシストに大きな影響を与えた。ウィルトン・フェルダー、スティーヴ・ワシントン(元スレイブ)、フィル・アップチャーチらは、ベースだけでなく、他の一部の楽器も同様のレベルで演奏できる、マルチ・プレイヤーだった。フュージョン・バンドでは、スタッフ東海岸を拠点にし、ベースはゴードン・エドワーズが担当していた。ザ・クルセイダーズ西海岸を拠点に活動していたが、ロバート・ポップウェルらが交代でベースを担当し、固定的なベーシストを置かない傾向があった[注 4]

詳細/調弦

通常弦は全て巻弦ラウンドワウンドフラットワウンドがあり演奏するジャンルによって選択される。音高ギターでいう3-6弦の1オクターブ下が1-4弦に相当する[12]音域が低いため、楽譜上はヘ音記号で記譜する。5弦の場合、主にローB(Low-B)がE弦から4度低い音程として設定される(ハイC(High-C)の場合はG弦より4度高い音程となる)。ライブでは4弦ベースの演奏性と音色を損なわず(5弦ベースはネックの質量が増える為に4弦よりも倍音が減る)にローBの音域を得る為、G弦を張らず4弦ベースに下からB、E、A、Dの各弦を用いて調弦したものも見られる。これは男声ボーカルモノを女声用アレンジに変更する場合(逆もある)やポール・チェンバースなどコントラバス奏者とその時代においても(調弦や録音のミス等もあるが)ハード・バップ等のモダンジャズでいわゆるローDに相当する音が使われる事もあったため、それらにも対応する演奏性を考慮した工夫と言える。他にはE弦のペグをワンタッチでD音に落とすベース用Dチューナー(いわゆるヒップショット、変則チューニングとなり慣れが必要)やフィリップ・クビキ・ファクターベースのようにE弦ヘッド部にストリングクラスプ「D」ストリングチューニングメカニズムを用いてテンションや押し弦のポジションを変えることなくローDを得られる仕組みを持った物もあった。ジミ・ヘンドリックスなどロック系で多く見られた半音下げ(4弦の場合、全てを♭E♭A♭D♭Gとする)ものもある。

標準的な4弦ベースのチューニング。もっとも低い4弦(一番下)の最低音はE1

注釈

  1. ^ ジェームス・ブラウンのJBズのあと、Pファンクに移ったファンク・ベーシスト。
  2. ^ アレサ・フランクリンらの録音に参加した南部のベーシスト。
  3. ^ ジミー・ジェイムズ&ヴァガボンズ出身のフィル・チェンは「ホット・レッグズ」でもベースをひいている。また彼はボブ・マーレー、レイ・チャールズ、ピート・タウンゼントなど、多くの音楽家と共演している。
  4. ^ ウィルトン・フェルダー、スティックス・フーパーらがメンバー。

出典

  1. ^ エレキベースとはどういう楽器? - ベースの初心者
  2. ^ <Cap, Ariane (2018). Music Theory for the Bass Player: A Comprehensive and Hands-on Guide to Playing with More Confidence and Freedom. CapCat Music Media. p. 10. ISBN 978-0-9967276-3-1. Retrieved May 12, 2020.
  3. ^ ベース弦はなぜ高い?メーカーさんに直接聞いてみた - RAG MUSIC 楽器入門 楽器をもっと楽しむWebマガジン
  4. ^ フェンダーベースの特徴と種類別おすすめベース5選+弦・アンプ”. ピカップ. 2018年9月21日閲覧。
  5. ^ About | Fender Musical Instruments”. 2018年9月21日閲覧。
  6. ^ エレキベースのメーカー - ベースの初心者
  7. ^ “Ohio Players bassist Marshall Jones dies at 75”. Philadelphia Tribune. (2016年5月27日). https://www.phillytrib.com/ohio-players-bassist-marshall-jones-dies-at/article_c79f340a-8065-5877-88ff-59424940f483.html 2021年9月8日閲覧。 
  8. ^ アンディ・フレイザー ディスコグラフィ 2021年8月7日閲覧
  9. ^ Grand Funk Railroad”. NME. 2021年8月7日閲覧。
  10. ^ Mel Schacher”. Theamericanband.com. 2021年8月7日閲覧。
  11. ^ 世界の有名ベーシスト スタジオラグへおこしやす
  12. ^ 『ビートルズ・ロック・ベース教室』シンコー・ミュージック、初版、1996年8月12日。45頁。ISBN 4-401-12023-X
  13. ^ heymusic (2021年8月22日). “ベースのボディ構造について〜ソリッド・ホロウ・セミホロウ〜写真でチェック♪”. Bass-the-World~ベースザワールド~. 2023年4月27日閲覧。
  14. ^ フレットレスベースの魅力!〜演奏音源を聴いてみよう♪〜”. Bass-the-World~ベースザワールド~ (2020年4月21日). 2023年4月27日閲覧。
  15. ^ 《さあ、スタートラインへ》ベースの種類と選び方【ベース博士】”. bass-hakase.com. 2023年4月27日閲覧。
  16. ^ 《さあ、スタートラインへ》ベースの種類と選び方【ベース博士】”. bass-hakase.com. 2023年4月27日閲覧。


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