巻弦
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/08/30 15:54 UTC 版)
巻弦は、芯線を中心に巻線を巻いた弦である。ピアノ線で出来た芯線に、ニッケルやステンレスなどの巻線を巻く。複数の巻弦を巻く多層巻きの弦もある。稀にナイロンなど伝導体以外の素材を巻線として使う弦もあるが、芯線が透磁率が高い金属であれば電気楽器に対して使用できる。現在は巻線が緩みにくいように(よく締まるように)芯線を六角形にしたものが主流である。クラシック楽器用の弦では、タングステンや銀を巻いた高価な弦も使用される。また、芯線に金属線ではなくガットやナイロンを使用した巻弦も存在する。あるいは、複数の弦を練り合わせた芯線を使用することもある。そのため高価であり、ヴァイオリンに使用するものでは4本セットで3万円を超える価格のものも珍しくない。 ラウンド・ワウンド弦 (Round wound string) 丸い断面の巻線を使用するもので、最も一般的な巻弦。音の立ち上がりが早く、ブライトな音質で、サステインが得られやすい。ギターでは現在最も一般的な弦として4〜6弦に使われるが、一部3〜6弦のセットというものも存在する。 フラット・ワウンド弦 (Flat wound string) 平らな断面の巻線を使用する巻弦。表面が滑らかになっている。ウォームな音質で、フレットノイズが出ない。 ハーフ・ラウンド・ワウンド弦 (Half round wound string) ラウンド・ワウンド弦の表面を削って滑らかにした巻弦。ラウンド・ワウンド弦とフラット・ワウンド弦との中間的な性質を持つ。 ヘックス・ワウンド弦 (Hex wound string) 正六角形の芯線と六角形の形に密接に巻き付けた巻線で構成されている。一般的にはエレクトリックベースに使用される。芯線が六角形なため、指の腹の当たりは快適ではなく、フレットの擦り減りがラウンド・ワウンド弦と比べて早くなってしまう欠点がある。 ナノウェブ弦 (Nanoweb string) エリクサー・ストリングスが発売している比較的新参のタイプの弦。通常エレクトリックギター、エレクトリックベースに使用する。ワウンド弦の表面を樹脂でコーティング加工しているため、音の減衰の要因である錆が生じにくく高音質を長く(従来より3〜5倍ほど)維持できる。コーティング自体は超極薄のためコーティング無しの通常の弦と音質が殆ど変わらず、ブライトで迫力のある音質である。また、巻き弦の出っ張りが抑えられているため、フィンガーレスノイズは発生しにくいのも利点である。また、2005年から2011年までのセットでは、巻き弦だけではなくプレーン弦にもコーティングが施されていた(現在は施されていない)。価格は加工している分割高となっているが、長寿命の利点で考えれば価格バランスは適正ともいえる。 ポリウェブ弦 (Polyweb string) エリクサー・ストリングスが発売している比較的新参のタイプの弦。通常フォークギターで使用される。ナノウェブ弦より厚めの樹脂コーティング加工がされており長寿命が特徴。 コンパウンド弦又はSilk & Steel ナイロン弦 ガット弦 ブラックナイロン弦 エレクトリックに対応するために芯線が金属製で出来ており、その周りを金属ではなく、黒いナイロンでワウンドされている弦。ベース用のものが一般的だが、ギター用も存在する。サステインは短く、ウォームなサウンドが特徴である。ナイロン製なので錆びることがなく、フレットにも優しいが、弦アースを接続出来ないためにノイズが大きくなってしまう欠点がある。
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