スーパー堤防
超過洪水の未然防止を目的とした堤防。大都市を中心に整備事業が進められている。
首都圏などの、特に川面より低い位置に地面がある地区において、堤防の内側(市街地側)に盛土をし、非常に幅の広い緩やかな斜面をもつ堤防を築く事業計画である。
堤防の高さの約30倍、数百メートル程度の距離に及ぶ緩やかな斜面を作り、堤防の麓の地区を斜面の上に再建する。数百メートルの広範囲に盛土を行うことで、津波や洪水による堤防決壊の危険を回避できるだけでなく、大規模な地震にも強くなる。また、堤防によってさえぎられていた眺望も開ける。
スーパー堤防の整備事業は1987年にスタートしたが、2010年現在、進捗率は6パーセントにも達していない。このまま進めると完成は400年後になるという。
予算は、特別会計の社会資本整備事業特別会計が用いられる。
特別会計を対象に実施される事業仕分け(第3弾)では、社会資本整備事業特別会計が仕分け対象として挙げられている。
高規格堤防 (こうきかくていぼう)
高規格堤防
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/07/13 01:20 UTC 版)
高規格堤防(こうきかくていぼう)は、河川堤防の高さに対して堤体の幅を長くしなだらかに堤防を整備する事業。スーパー堤防とも称される。首都圏では国土交通省事業と東京都事業とに分かれる[注釈 1]。
注釈
- ^ 国と都のスーパー堤防整備事業の違いでのとおり、都の「スーパー堤防」の名の整備事業のほうが1985年(昭和60年)で先に進めている。その後、国の「高規格堤防」の名の整備事業のほうは1986年(昭和61年)河川審議会に「超過洪水対策及びその推進方策について」が諮問され、1987年(昭和62年)3月に審議会答申、これを受けて特定高規格堤防整備事業が創設され、1991年(平成3年)に高規格堤防の円滑な整備の推進を図るために河川法が改正されるに至る(街づくりと高規格堤防 (PDF) )。
- ^ 利根川中下流と江戸川上流は2010年10月の事業仕分けから廃止されたままだが、大抵の重要水防箇所はすでに整備済みであった。後述の実施地区も参照
- ^ 当時は新元号制定前であったため、正しくは「平成40年度」予定。
- ^ 当時は新元号制定前であったため、正しくは「平成35年度」予定。
- ^ 当時は新元号制定前であったため、正しくは「平成40年度」予定。
- ^ 「カミソリ堤とは、コンクリートでつくられた幅がせまく、法面の勾配が急な堤防のことをいう。通常、堤防は材料の調達、修復のしやすさなどの理由から、土でつくるのを原則としておるが、多摩川原橋から下流左岸の堤防はカミソリ堤となっておる。これからは安全上見直していく方針じゃ。」[29]
- ^ 国土交通省利根川上流河川事務所は、渡良瀬遊水地を含む渡良瀬川下流13.5km、思川下流3km、巴波川4.2kmも所管である[30]。
- ^ この2017年の台風21号は、気象庁が名称を定めるほどの顕著な災害を起こした台風ではないが、大雨インパクト指数が大きい台風で、1991年以降で初めて「超大型」の状態で日本に上陸した台風である。
出典
- ^ 治水の手法2 国土交通省
- ^ 隅田川的ビフォーアフター - 入江三宅設計事務所
- ^ http://g.kyoto-art.ac.jp/reports/1856/
- ^ 防災を考える-第八回 東京都におけるスーパー堤防整備
- ^ 隅田川水辺空間等再整備構想 - 墨田区
- ^ "堤防のリノベーション [木津川遊歩空間「トコトコダンダン」"]
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- ^ 33 治水についての二つの理念
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- ^ 兵庫県ホームページ Q5 堤防強化にはどのような対策があるのか?
- ^ 「決壊しない堤防」は可能、インプラント工法の実践を 開発者・北村精男氏に聞く 『産経新聞』 2020年7月27日
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- ^ 格子状地盤改良工法(TOFT工法)の概要 - 浦安市
- ^ 例えば https://www.jisf.or.jp/info/event/dobokushinpo/documents/5_dobokushinpo24.pdf
- ^ 廣木謙三、貫名功二 阿武隈川報の大改修と元囲 土木技術 1999年7月号
- ^ 【現場最前線】100年以上前の堤防補強跡があらわに! 開削幅185mの釈水水門新設工事.建設通信新聞.2017年11月23日]
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- 1 高規格堤防とは
- 2 高規格堤防の概要
- 3 課題
- 4 脚注
高規格堤防
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/06 15:27 UTC 版)
「高規格堤防」も参照 通常の堤防は越水が起こると土砂が削られ、破堤につながり甚大な被害を招く。万一の越水でも急速な崩壊を招かぬよう、裏法面を3%以内の緩やかな勾配としたものを高規格堤防またはスーパー堤防と呼ぶ。高規格堤防においては水が堤防高を越えても堤内に緩やかに流れ落ちるため被害が小さくなるとされる。1987年に建設省(現在は国土交通省)が事業として利根川から工事を始め、ほかに江戸川、荒川、多摩川、淀川、大和川の5水系6河川区間約873kmの整備を対象とした。 高規格堤防の裏法面上は高規格堤防特別区域とされ、大規模な地面の掘削等に許可が必要となるものの、通常の土地とほぼ同様に建築や耕作に利用することができ、堤防上に街並が作られる。たとえば堤防高10mの高規格堤防では裏法面の幅は30倍の約300mを必要とする規格であるが、この部分の用地買収は行わず、一時移転や再建築の費用を国が負担した上で所有者に土地が返還されることとなる。この際に街区整理も併せて行われることがある。 高規格堤防計画の延長が縮小される前は、100年から200年に一度の大洪水を防ぐための総延長すべての建設に約400年の膨大な時間と12兆数千億円の費用が必要とされ、また堤防全体を高規格化するまではその治水効果を十分には発揮できない[要出典]ことから批判があった。 スーパー堤防事業は民主党による事業仕分けで無駄と脚光を浴びたが、2011年東北地方太平洋沖地震を契機に災害への意識が高まり、規模の大幅な修正を経たものの、現在も建設が行われている。
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高規格堤防
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/08 14:23 UTC 版)
公園の江戸川側は江戸川高規格堤防事業の篠崎公園地区として2016年度から事業が始まり、2026年度完成をめどに嵩上げ工事が行われている。約6.4ヘクタール。完成後は大規模救出救助活動拠点となる。
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