都道府県・地区単位による独自大会の開催
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「第102回全国高等学校野球選手権大会」の記事における「都道府県・地区単位による独自大会の開催」の解説
日本高野連では、2020年5月27日開催の理事会で、独自大会の開催に関して以下の条件を定めた。また、都道府県連に対して、朝日新聞社と共同で総額1億9,000万円の財政支援を実施することも決定。独自大会の開催の有無にかかわらず、一定の金額を各都道府県連へ一律に配布したうえで、代替大会を開催する都道府県連の参加校数に応じて残額を配分する。独自大会の開催に向けて、学生野球憲章に抵触しない範囲で寄付の申し出を都道府県連と共に積極的に受け入れる方針や、都道府県連単位によるクラウドファンディングの立ち上げを容認する方針も打ち出している。 独自大会を開催する場合には、後述する「感染防止対策ガイドライン」に基づいて対策を講じることを条件に、当該都道府県内の高校の部活動に対する制限(休校措置など)の範囲内で、原則として無観客試合として実施する。ただし、無観客試合では都道府県連の主な財源である入場料収入が見込めないため、前述した配付金や寄付金などで財源を賄う。 独自大会を主催する都道府県連には、試合会場で新型コロナウイルスの感染者が出た場合の対応を当該地域の衛生部局とあらかじめ検討することや、試合会場の医療体制を整備することを原則として求める。 新型コロナウイルスの集団感染の要因とされる「密閉・密集・密接」を避けるために、試合会場で以下の対策を講じることを「感染防止対策ガイドライン」として定める。試合会場では、出入りする関係者の数を必要最小限にとどめながら、報道陣を含む入場者全員に検温を実施する。また、運営スタッフにマスクを着用させるとともに、入口と一・三塁側のベンチに消毒液を設置する。さらに、試合に関わる大会役員・審判委員・指導者および、ベンチ入り登録選手(登録部員)に対して、開催日から直近2週間前からの行動歴の記録を求める。 当日試合を控えている高校(参加校)には、ベンチに入る予定の指導者と登録部員全員の検温を起床時に実施したうえで、検温確認表の作成と大会役員への提出を求める。起床時や入場時に37.5℃以上の体温が計測された指導者や部員には、来場や入場の自粛を要請する。 参加校の指導者や登録部員には、ベンチ内での座る位置や円陣で「密集」を避けることを求める。また、回し飲みによる水分の補給を禁じるほか、素手による試合中のハイタッチ・握手の自粛を要請。練習や試合では、ボールを触った手で目・鼻・口を触れさせないようにする。さらに、試合中に登録部員がマウンドの周辺へ集まる場合には、グラブを口元に当てることを求める。 ベンチ入りの登録から外れた参加校の選手(控え部員)や、登録選手・控え選手の保護者によるスタンドへの入場については、主催する都道府県連の判断に委ねる。スタンドでの観戦を認める場合には、「社会的距離」(2m以上の間隔)を確保したうえで、大声ではなく拍手での応援を要請する。 同一会場で1日に複数の試合を開催する場合には、ダックアウト内の清掃と消毒を、試合が終わるたびに実施する。さらに、不特定多数の関係者が接触する場所(球場内やトイレのドアノブなど)の定期的な消毒に努める。 検温によって試合会場への入場を認められた報道陣には、試合後の取材を、基本としてスタンドで実施するよう求める。また、取材の時間を限定するとともに、取材相手に対して「社会的距離」を確保する。 試合規則は、2020年度公認野球規則、アマチュア野球内規および高校野球特別規則に準じる。また、本来は2020年春(第92回選抜高等学校野球大会)以降の公式戦から導入する予定だった投手への投球数制限(1週間の総投球数が500球以内)や、守備側チームの監督から伝令役の選手を介した球審への申告による故意四球(申告敬遠)を当初の予定どおり適用する。 大会の方式(トーナメント、リーグ戦、参加校につき1試合限定での開催など)、試合に関する特別ルール(7イニング制、9回裏以降のイニングで試合の決着が付かなかった場合のタイブレーク方式による延長戦、試合時間の制限など)の導入、試合中にベンチへ入れる選手の対象・人数については都道府県連ごとに対応する。 独自大会を地方大会と同等の「公式戦」として位置付けることや、試合での記録を都道府県連における「公式記録」として扱うことを認める。ただし、出場校における学業の遅れや1・2年生部員による新チーム始動のタイミングなどを踏まえて、原則として8月末までに終了するように日程を調整する。 都道府県連からの要望があれば、以上の条件を全て満たすことを前提に、近隣の都道府県にまたがる「地区大会」の開催も認める。 都道府県連では、上記の施策や「感染防止対策ガイドライン」を背景に、独自大会の開催を相次いで決定。全国で初めて5月25日に開催の断念を発表していた福岡県高等学校野球連盟も、後述する経緯から、6月12日の常任理事会で開催を決定した。結局、最後まで開催の可否を明らかにしていなかった山梨県高等学校野球連盟が26日に独自大会の開催を決めたことによって、全都道府県・地方で独自大会が開催されることになった。この状況を受けて、例年の選手権では地方大会の1回戦から中継動画を無料で配信している「バーチャル甲子園」(朝日新聞社と朝日放送テレビが共同で運営するポータルサイト)では、岩手県で独自大会が開幕した7月1日から、全国の独自大会全試合のライブ中継を開始。NHKの地方局や民放テレビ・ラジオ局の一部でも、放送対象地域の独自大会の試合を中継している。 福岡県では、県内の新型コロナウイルス感染者数の多さが九州7県の中で突出していることなどを背景に、県の高野連が独自大会の開催を断念することを5月25日にいち早く発表。日本高野連の八田会長は、2日後(27日)に開かれた理事会で、県高野連の判断を尊重する意向を示していた。福岡県高等学校体育連盟(県高体連)も全国高等学校総合体育大会の代替大会を県レベルで開催しないことを決めていたが、県教育委員会は同連盟と県高野連に対して、管轄競技における代替大会の開催を依頼する文書を6月1日付で送付。県高野連では、この依頼を受けて、代替大会開催の可否を改めて検討していた。 その一方で、福岡県高野連に福岡地区から加盟している高校の硬式野球部監督有志一同は、7月11日から「福岡地区高校野球交流戦」を以下の条件で開催することを6月5日に発表した。 福岡地区の加盟40校から33校が参加するリーグ戦方式の予選を、7月11日・12日・18日・19日に無観客で実施。予選の上位校による決勝トーナメントを、23日から開催する。8月2日に準決勝と決勝を予定。選手の負担を軽減するなどの目的で、独自のルール(指名打者制度など)を導入する。 決勝トーナメントの試合会場では、参加校の3年生部員の保護者、1・2年生部員、3年生部員の進路に関連するプロ野球・大学関係者に限って、スタンドへの入場を認める。 ベンチ入りが可能な登録部員の上限を、例年の地方大会(20名)より多い25名に設定。参加校に対しては、3年生部員全員のユニフォームに、背番号を付けることを認める。 交流戦の運営経費を、参加各校からの参加費で賄う。審判については、対戦校以外の参加校の監督が交互に担当するほか、地元の社会人野球・大学野球チームも協力。 もっとも、上記の有志一同は、県高野連が独自大会の開催を決めた場合に交流戦を取りやめることも公表していた。結局、県高野連が6月12日に独自大会の開催を決めたことから、交流戦への参加を予定していた高校も独自大会へ出場。県高野連では、独自大会へ出場できない加盟校向けの「がんばれ福岡2020 筑後地区高等学校野球交流大会」を代替大会より前に実施する日程を組んだ末に、全国の独自大会としては最も早く6月21日から交流大会を開催している。
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