誤認逮捕
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/10/10 17:36 UTC 版)
Aがパジャマ姿で、争った形跡も見られなかったことから、千葉県警は顔見知りによる犯行として捜査。その後、捜査の過程で外部犯の可能性を示唆する証拠が複数出てきたが、「家族による犯行」との見立てを修正することはなく、誤認逮捕に至った。 被害者Aと同居していた祖母B(当時80歳)が隣室にいながら、Aの遺体を発見するまでに1日半以上を要していたことから、県警はBに嫌疑を掛け、約2週間にわたり任意の事情聴取を繰り返した。一方、現場(Aの部屋)と隣室のクローゼットが開けられ、衣服が散乱するなど、著しい物色の跡があったことから、当時から外部犯による物取り目的説も捜査本部内部にあり、被疑者が3人に絞り込まれた時点でも、物証が噛み合わなかったことから、捜査の仕切り直しを求める声も上がったが、捜査の指揮を執った当時の捜査幹部はワンマンタイプで、現場の状況は、その幹部が見立てた通りのストーリーに合うように解釈されていった。 その結果、Bは犯行を認め、Aの姉夫婦(姉C+夫D)との共謀や、役割分担を自白した。また、現場に残された遺留物の血液型がDと一致していたことから、県警(捜査一課および流山警察署)の捜査本部は同年6月24日、祖母B(当時80歳)・姉C(当時28歳)とCの夫D(当時27歳)の3人を、本事件の被疑者として殺人容疑で逮捕した。当時、銀行の防犯カメラに映っていた男は、Dより身長の高い男だったが、県警は「第三者の関与も考えられる」として、3人の逮捕に踏み切っていた。しかし、C夫婦は一貫して容疑を否認し、Bも弁護士がついてからは否認に転じた。さらに、先述の遺留物(Aの遺体から検出された体液)のDNA型は、Dとは別人のものであることも判明した。 結局、3人の関与を示す客観的証拠はなく、逮捕から21日目の同年7月15日、千葉地検は拘置期限切れに伴い、3人を処分保留のまま、証拠不十分として釈放した。同年12月、ないし翌1998年(平成10年)1月に、3人を不起訴処分にしていた。 真犯人であるXが逮捕された2012年(平成24年)1月18日、千葉県警察捜査一課長の宮内博文と、流山警察署長の横田正夫は逮捕会見の冒頭で、3人を逮捕したことを誤認逮捕と認め、謝罪した。また、警察庁長官の片桐裕も同月19日、国家公安委員会後の記者会見で謝罪している。しかし、事件当時80歳だった祖母Bは、2010年(平成22年)に死去していた(93歳没)。また、千葉地検はXが起訴された2012年2月9日付で、「3人が嫌疑不十分のままでは好ましくない」として、既に死去していた祖母Bは被疑者死亡を理由に、存命のC・D夫婦は嫌疑なしとして、改めて不起訴処分にした。 なお、遺族ら3人(姉夫婦+祖母の法定相続人であるAの母親)は、千葉県警から嫌疑を掛けられて逮捕されるなどしたことによって精神的苦痛を受けたとして、2013年8月21日付で、国と千葉県を相手取り、損害賠償計1,650万円(慰謝料など)の支払いを求める国家賠償請求訴訟を起こした。千葉地裁(鹿子木康裁判長)で審理が行われ、国側が請求棄却を求めていたが、2016年(平成28年)4月27日、被告である県側が責任を認め、原告側に和解金を支払うことで和解が成立した。
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誤認逮捕
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/12 02:44 UTC 版)
「決定的証拠」となる筈の監視カメラの映像が、誤認逮捕・冤罪事件も引き起こしている。背景について、ある現役警察官は「我々が捜査報告書を100枚作るよりも、防犯カメラの映像1つの方が証拠として断然に強い。防犯カメラを押収したから安心、ちょっと慢心しすぎる」「(防犯カメラの映像を)全部見れば言うことは何もないですが、早回しで見たとしても人の力の限界。失敗を犯してしまうということは無きにしもあらずだと思います」と証言している。 以下は、監視カメラの映像が引き起こした誤認逮捕の例。 2012年(平成24年) - 深夜のコンビニエンスストアで現金強盗事件が発生。監視カメラが犯行の様子を捉えており、犯人はマスクを着用していた他、自動ドアに触れていた。警察は、この映像および被害店舗従業員の「目元が似ている」との証言をもとに大阪府泉大津市の男性を逮捕した。また、被害店舗のドアの外側からこの男性の指紋が見つかった。男性は「犯行時刻とほぼ同じ頃、自宅で友人と一緒にいた」と主張し、その時に撮った写真を警察に見せたが取り合ってもらえず、その後起訴された。検察は裁判で専門家に映像の鑑定を依頼し、「(男性と犯人の)類似度が高い」と判定された。しかしその後、弁護士が監視カメラの映像を入手し、事件当日から1週間遡って確認したところ、事件5日前の映像に、男性が指紋が検出された場所を買い物の際に触っている様子が映っており、裁判では「自動ドアの指紋が事件当日についたとは断定できない」という結論が出され、男性は無罪判決を受けた。男性の勾留日数は300日に及んだ。 2012年(平成24年)10月11日 - 元・中国放送アナウンサーの煙石博が、広島市南区内の銀行の監視カメラの映像をもとに、同年9月24日に同銀行記載台に女性会社員が置き忘れた66,600円入りの封筒を盗んだ疑いで広島県警察広島南警察署に逮捕された。煙石はその後起訴され、一審・二審で有罪判決を受けたが、最高裁判所で逆転無罪判決を受けた。詳細は「煙石博#冤罪事件」を参照 2014年(平成26年)3月 - 山口県のパチンコ店で男性客が台の上に置き忘れた財布を盗まれる事件が発生し、翌日、男性のすぐ後に座った女性が窃盗容疑で山口県警察に逮捕された。監視カメラには女性が着席すると台の上の方を触り、1分後に別の台に移る様子が映っており、山口県警察は女性が財布を盗って立ち去ったと判断した。しかしその後、店の隅にあるゴミ箱から盗まれた財布が見つかり、そこにある監視カメラに別の人物が財布を捨てる様子が映っており、誤認逮捕が発覚。女性は逮捕から7日目の朝に釈放された。また、警察が事件現場の監視カメラを改めて確認すると、女性が離席した1時間20分後に、財布を捨てた人物が財布を盗んでいた。 2017年(平成29年)9月 - 埼玉県深谷市のアパートで現金1,000円などが盗まれ、帰宅した30代女性が怪我を負わされるなどの事件が発生。埼玉県警察深谷警察署は監視カメラの映像をもとに30代男性の犯行と断定し、この男性を11月に強盗致傷や強制わいせつなどの容疑で逮捕・20日間勾留したが(男性は容疑を否認し、その後処分保留で釈放)、2018年(平成30年)5月に別の強盗事件で逮捕された20代の男が、この事件への関与を認め、犯人しか知り得ない情報も含まれていたため、深谷署は8月27日に男を再逮捕し、男性に謝罪した。
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