猫と庄造と二人のをんなとは? わかりやすく解説

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猫と庄造と二人のをんな

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/01/14 03:19 UTC 版)

猫と庄造と二人のをんな
訳題 A Cat, A Man, and Two Women
作者 谷崎潤一郎
日本
言語 日本語
ジャンル 長編小説
発表形態 雑誌掲載
初出情報
初出改造1936年1月号・7月号
刊本情報
出版元 創元社
出版年月日 1937年7月
装幀 安井曾太郎(挿絵と兼務)
id NCID BN15897143
ウィキポータル 文学 ポータル 書物
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猫と庄造と二人のをんな』(ねことしょうぞうとふたりのおんな)は、谷崎潤一郎長編小説のリリーを中心に、2人の女と1人の男の三角関係を描いた物語。

1936年(昭和11年)、雑誌『改造』1月号と7月号に掲載された[1][2]。単行本は1937年(昭和12年)7月に創元社より刊行された[3]

あらすじ

庄造の前妻・品子は現在の妻・福子に対し、雌猫のリリーを譲って欲しいという手紙を出した。福子は夫の庄造に「譲ってあげなさい」と言うが、彼にはそういう意志はない。福子は自分以上にリリーが夫に大事にされている状況に耐えられなかったのだ。夫婦喧嘩の末に、庄造は猫を品子に譲ることに同意する。

リリーは以前にも他人に譲られたことがあったが、その時も自らの意志で庄造のもとに戻って来たので、彼は今回もそうなるだろうと期待していた。リリーが品子の所に移って、庄造は雌猫を思い出しては懐かしんだ。品子のもとに到着したばかりのリリーは品子になつかず、彼女の思った通りに動いてくれない。猫の面倒を診ることがこんなに大変だとは彼女にしてみれば予想外だった。しかし次第に両者ともに打ち解け合い、品子は猫とはこんなにもかわいいものかと思い始める。庄造はリリーが恋しくてたまらず品子の留守中にこっそりと家を訪ねる。虐められていやしないかと心配していたが、意外にもリリーが大切に飼われている痕跡を見つけ、安堵する。リリーと久しぶりに会ったのもつかの間、品子が帰宅し、庄造は見つからないよう慌てて家を後にする。

登場人物

リリー
庄造が溺愛している雌猫。庄造に10年飼われていた。
庄造
荒物屋。仕事に対するやる気が無い。名字は石井。
福子
庄造の妻。2人は、いとこ同士に当たる(福子の父がおりんの兄)。夫を雌猫のリリーに奪われているという理由でリリーに嫉妬している。
品子
庄造の前妻。姑のおりんによって追い出された。離婚後は妹の初子夫妻と一緒に住んでいる。
おりん
庄造の母親。彼を自分の意のままに操っている。品子とは仲が悪かった。
塚本
畳屋。庄造と品子の仲人。

映画化

1956年10月9日猫と庄造と二人のをんな(映画)英語版」公開。製作は東京映画、配給は東宝。第30回キネマ旬報ベスト・テン日本映画第4位。

かつて会員制ビデオ販売機構キネマ倶楽部から「日本映画傑作全集」としてVHSが発売されていた。

スタッフ
キャスト

テレビドラマ化

フジテレビ系列 一千万人の劇場
前番組 番組名 次番組
幸せを三人前
(1964年7月8日)
猫と庄造と二人の女
(1964年版)
(1964年7月15日)
ある母の記録
(1964年7月22日)

脚注

  1. ^ 「古典回帰の時代」(アルバム谷崎 1985, pp. 65–77)
  2. ^ 「谷崎潤一郎年譜」(夢ムック 2015, pp. 262–271)
  3. ^ 「主要著作目録」(アルバム谷崎 1985, p. 111)

参考文献

外部リンク


猫と庄造と二人のをんな

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谷崎潤一郎訳源氏物語」の記事における「猫と庄造と二人のをんな」の解説

前述のように、谷崎『源氏物語』旧訳作成するに際して中央公論社と「印税一部生活費として先払いする代わりに谷崎側は源氏物語翻訳中他の仕事一切入れない。」という約束をしており、実際谷崎この期間に発表したのは後述する一点を除くと、 「翻訳小説二つ三つ」『読売新聞』、1936年昭和11年1月上方舞大会について」『上方上方郷土研究会1936年昭和11年5月 「木影の露の紀」『大阪毎日新聞1936年昭和11年1月8日 という3つの短文他者単行本序文2編、談話筆記1編だけであり、『源氏物語』翻訳専念していたと言える状況にあった中央公論社からの雑誌中央公論』の50周年記念号に掲載する作品執筆依頼に対してすら、1935年昭和10年8月16日付け社長嶋中雄作雨宮庸蔵佐藤観次郎の3人に対す手紙の中ではっきりと強い調子断っている。そのような中で唯一の例外と言えるのが、雑誌改造』の昭和11年1936年1月号および同年7月号の2回にわたって掲載され長編小説『猫と庄造と二人のをんな』である。 『猫と庄造と二人のをんな』が掲載され雑誌改造』を発行していた改造社は、谷崎とは長年わたって密接で良好な関係を持ってきた出版社であり、谷崎多く作品雑誌改造』に掲載される形で発表され改造社から単行本として刊行されただけでなく、最初谷崎潤一郎全集もこの改造社から刊行されている。谷崎は『猫と庄造と二人のをんな』を執筆した理由について、上記新作執筆断った手紙中において「やむをえない理由」とのみ記しているが、実際に金銭的な理由よるものであると考えられている。この時期谷崎原稿料前借りとして改造社から多額金銭借りており、その担保として改造社谷崎全集収録作品出版権押さえられていた。谷崎そのような状況長期間わたって『源氏物語』翻訳専念する(そのために改造社では執筆するとがない)という道を選択したために、この時期谷崎改造社との関係は極めて悪化しており、以後谷崎作品短文一つ除いて改造社刊行物掲載されることは一切なくなり雑誌改造』に掲載され本作『猫と庄造と二人のをんな』も、単行本創元社から刊行されることになるなど改造社からの単行本刊行もなくなるという形で決定的に悪化することになる。 この時期改造社では歌人であり国文学者でもある窪田空穂による『源氏物語』現代語訳(のちに1939年昭和14年)から1943年昭和18年)にかけて『現代語訳源氏物語』として出版されたもの)を計画しており、谷崎『源氏物語』現代語訳競合関係になることが予想されたことも関係しているのではないかとの指摘もある。

※この「猫と庄造と二人のをんな」の解説は、「谷崎潤一郎訳源氏物語」の解説の一部です。
「猫と庄造と二人のをんな」を含む「谷崎潤一郎訳源氏物語」の記事については、「谷崎潤一郎訳源氏物語」の概要を参照ください。

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