特色がある運用
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/19 07:27 UTC 版)
広域連携・運用 都道府県の枠にとらわれずにドクターヘリ事業を実施できるよう、複数の都道府県で協議することも可能である(ドクターヘリ法5条2項)。実施地域 福岡県の久留米大学病院の事業では、佐賀県東部と大分県、山口県離島での共同運用が実施されている。 長崎県の長崎医療センターの事業では、佐賀県西部での共同運用が実施されている。 神奈川県の東海大学医学部付属病院の事業では、協定を結び山梨県の一部(富士吉田市、都留市、大月市、上野原市、道志村、西桂町、忍野村、山中湖村、鳴沢村、富士河口湖町、:小菅村、丹波山村、甲府市の一部(旧上九一色村地区))で実施されている。 沖縄県の浦添総合病院の事業では、協定を結び鹿児島県の南部(徳之島・沖永良部島・与論島)まで出動している。 北関東3県(栃木、茨城、群馬)のドクターヘリを相互に乗り入れ、救急医療体制の強化を図ることが模索されている。埼玉県も参加を検討している。2011年4月より開始予定。 埼玉県と群馬県は2015年3月25日から2016年3月31日までのドクターヘリの相互乗り入れの試行運用開始。重複要請と多数の傷病者事案の際に県域を超えて一部地域出動する。 東北地方 北東北3県(青森、岩手、秋田)のドクターヘリが災害などで自県のヘリが出動できない場合、他県に出動要請できる。2016年からは東北6県で隣県との相互乗り入れ体制が整っている。 関西広域連合 2010年12月1日より近畿地方の府県が連携して関西広域連合が発足しているが、その広域行政の対象7事業の1つに「広域医療」という分野があり、今後ドクターヘリの配置・運航や救急医療連携計画の策定されることになっている。徳島県に広域医療局が設置されている。2011年度より、兵庫県・京都府・鳥取県が共同運航していた公立豊岡病院但馬救命救急センターのドクターヘリ事業が関西広域連合に移管されている。これは全国でも初めての試みである。 なお、構成団体である自治体で積極的に広域連携が図られている。 兵庫県では公立豊岡病院但馬救命救急センター「3府県ドクターヘリ」が兵庫県北部・京都府北部・鳥取県をカバーし、県立加古川医療センターの「兵庫県ドクターヘリ」が兵庫県の播磨と丹波南部をカバーしている。 大阪府のドクターヘリ事業は、奈良県と滋賀県(2011年運用開始)で共同運用が実施されている。現在は大阪府ドクターヘリは滋賀県・京都府南部・和歌山県と奈良県の一部をカバーする。 和歌山県のドクターヘリ事業は、三重県と奈良県で共同運用が実施されている。現在は和歌山県ドクターヘリは三重県・大阪府・奈良県・徳島県の一部をカバーする。 大阪府・和歌山県のドクターヘリ事業と徳島県の防災ヘリのドクターヘリ的運航事業が相互乗り入れの共同運用が実施されている。 また徳島県ドクターヘリは兵庫県淡路島と和歌山県と高知県の一部を、滋賀県と京都府が共同運行する「京滋ドクターヘリ」(基地病院は済生会滋賀県病院)は滋賀県全域と京都府南部、福井県嶺南(福井県は2018年9月29日に運用を開始)をカバーしている。 富山県・岐阜県北部 富山県は2015年8月24日に富山県立中央病院を基地としてドクターヘリの運行を開始したが、それに先立ち岐阜県とドクターヘリの富山県と岐阜県飛騨地区北部との共同広域運行について2015年7月10日協定を締結し、同日より連携運行も始まった。岐阜県側の運用地区は高山市、飛騨市、白川村の2市1村となる。 これまで岐阜県では2011年2月9日より岐阜大学医学部附属病院を基地として、岐阜県ドクターヘリ事業を開始しているが、南北の距離がある岐阜県では、飛騨地区北部は運行範囲の目安とされる約70km(15分)圏外で時間が掛かること、山間部が多いこと、要請が重なると出動出来ないことがあったが、隣接する富山県側から上記地区へはほぼ70km圏内となることから協定締結となった。なお岐阜県側の利用経費については利用実績に合わせ岐阜県側が負担することとなっている。 課題として両県境には飛騨山脈があり、冬場や梅雨時には天候不順により出動出来ない場合があるが、専門家に相談し工夫の余地を探りたいとしている。 民間救急ヘリ 1999年4月から浜松救急医学会が日本で初めて民間救急ヘリ運用を行い、それ以前に岡山県川崎医大病院も実験運航を行うが短期間で終了している。浦添総合病院もかつて民間救急ヘリ事業を行っていたが県のドクターヘリが配備されたために県ドクターヘリ事業に移行。 現在運航されている都道府県は、沖縄県と福岡県、鹿児島県の3医療機関および東京都の社団法人である。ホワイトバード 目的:離島やへき地など医療過疎地の救急医療態勢に貢献する 事業主体:医療法人財団池友会(福岡)、福岡和白病院、福岡新水巻病院、新小文字病院、新行橋病院 MESH 支援組織:MESHサポート 県からの補助金が停止されたため資金不足になり無期限運航停止中 北部地区医師会病院(名護市) AMSAD 一般社団法人 防災医療航空支援の会 東京ヘリポートを本拠地として、一般の民間ヘリを使って活動している 医師、看護師などの医療スタッフを災害現場へ搬送、状況に応じて被災者を搬送する活動を行っている レッドウイング 社会医療法人緑泉会 米盛病院(鹿児島市) 民間の米盛病院が運航する医療用ヘリ。鹿児島県と社会医療法人緑泉会が全国初となるドクターヘリの補完協定「鹿児島県ドクターヘリ補完ヘリの救急患者搬送に関する協定」を締結し鹿児島県ドクターヘリが重複要請や多数傷病者事案等の際に米盛病院の民間救急医療ヘリ「レッドウィング」が、消防要請により正式なドクターヘリとして出動し補完している。 U-PITS(廃止済み) 2005年から浦添総合病院(浦添市)が民間救急ヘリのU-PITSを運用していたが2008年から沖縄県ドクターヘリ事業に移行。 特定非営利活動法人オールラウンドヘリコプター ARH(無期限休止中) 気仙沼市を中心に活動する民間医療用多目的ヘリコプター。基本的には同乗するのは救急救命士だが、医師の同乗もある。資金不足により2015年11月18日より期限を定めず無期運休を決定。 消防・防災ヘリのドクターヘリ的運航 自治体によっては、消防防災ヘリコプターをドクターヘリ的運航させている場合もある。救急業務を担う防災ヘリにドクターヘリと同等の救急医療装備(EMS装備)を搭載し、基地より提携病院に飛び、医師をピックアップ後ランデブーポイントに向かう。 現在、ほとんどの都道府県で運用されており、また、札幌市、仙台市、岡山市、広島市、北九州市などの指定都市でも運用が行われている。埼玉県の事例 埼玉県では、秩父地方などの山間地などが第三次救急医療機関から遠く、また道路事情が悪く、昔から救急車が長時間かけて患者を搬送していた。2005年(平成17年)8月1日より埼玉県防災航空隊の防災ヘリで救急医療を実施してきたが、出動要請を受けた埼玉医科大学総合医療センター(川越市)の医療スタッフが、川島町の県防災航空センターに待機する防災ヘリに駆け付け離陸するまでに約25分を要することや、大型のヘリのため着陸できる場所が限られるなどの理由で、これまでの出動件数はわずかに37件であったため、2007年(平成19年)10月26日に、ドクターヘリ導入に踏み切った。 しかしながら、ドクターヘリ専用機は太陽が出ている日中時間しか運航することができず、夜間は旧来通り救急車で搬送することもあった。そこで再び、埼玉県は防災ヘリを活用することを決め、埼玉医科大学国際医療センターと連携し、専用機が出動できない早朝・夜間にドクターヘリ的運航をすることにした。これによって、日中時間しか運航できない専用機と運航基地からピックアップに時間のかかる防災ヘリのドクターヘリ的運航の欠点を相殺することができ、県内全域で24時間ドクターヘリのサービスを提供できるようになった。 しかし、防災ヘリの墜落事故のため、埼玉県は、2010年7月より当分の間は夜間ドクターヘリ体制は中止することを表明した。2011年1月に日中の防災ヘリによるドクターヘリ的運行に関しては再開された。 さらに、2015年度より秩父での山岳救助事案では救命率向上のために原則、ドクターヘリとのランデブーを行うこととなった。これは山岳救助事案の際はドクターヘリと防災ヘリのドッキングを行い、早期に埼玉医科大学総合医療センター(川越市)のドクターとナースが要救助者に接触して救命処置を行いながら搬送を行うものである。
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