特色と評価
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/08/23 10:21 UTC 版)
『チワン族通史』は、執筆当時はあまり知られていなかった歴史資料も多く用いて執筆した黄現璠の労作であると同時にこの本の特色と言える。特に黄現璠は、前の『広西チワン族略史』と本著の中で提唱した「奴隷社会跨越論」が、著者の重要な歴史思考を反映した。日本大阪国立民族学博物館の塚田誠之(つかだ・しげゆき)教授は「黄現璠はチワン族社会の発展段階が氏族社会から直接に初期の封建社会に入り、転換の起点が唐宋の時代に始りと思った。それによって、古代チワン族社会性質をめぐる論争を巻き起こした。」と指摘した。つまり黄現璠は、マルクスの発展段階説が全人類史的=全世界史的に見た歴史であって、個々の地域や民族の歴史ではない。従ってヨーロッパ諸国でもそれぞれの国での歴史でも当てはまらず、ましてや中国古代史にも当てはまらない。奴隷社会とか、世界史に通じる用語がない。中国古代史の中に決して奴隷社会が存在しない。特に、マルクスの発展段階説が中国個々の地域史や民族史にそのまま当てはまらない、などと思った。黄現璠のこのような歴史思考は、同じに本著の中でも重要な特色と言える。 本著出版後は各方面より高い評価を受け、当時の広西チワン族自治区人民政府主席であった覃応機も高く評価し序文を寄せている。一方、いくつか学者はその内容を高く評価しつつも、「初めて創造的にチワン族研究を民族史論の高度まで(へ)昇格させた。」「それは構造、規模になってから高めることおよび十分に後の世まで伝わることができる大規模の民族通史の創作の先例を創始した。」「中国の第一部チワン族通史のだ。本著は我が国の少数民族の歴史研究成果を豊かにして、チワン族史研究のために、比較的に新しくて全面的な資料も提供した。」「それは我が国の歴史学界におして、最もに創始性、科学性と学術理論価値の経典の大作を備えることをおされた。」米国オハイオ州大学のマーク・ベンダー教授が語るところによると、「黄現璠の『儂智高』と『チワン族通史』は、史料は豊かに、学術の価値もきわめて高くて、国際民族学界においてもすべて山開きをする著作であった。」広西大学の徐君慧教授は、「黄現璠先生の『広西チワン族略史』、『儂智高』と『チワン族通史』が、チワン族にとって文化の貴重な宝物なだけではなくて、中華民族の魂宝で、それらは光があたり一面に輝きチワン族と中華民族の歴史を照らしていのだ」と同様に評価した。
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