影船八番艦
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/09/05 07:08 UTC 版)
ファン・ガンマ・ビゼン 本作の主人公。影船八番艦の艦長。本来は海王直属であるはずの影船を自由に動かし、幻ともいわれる名剣ニホントウを持つ謎の男。 母親はマリシーユ・ビゼン。父親は物語後半で前海王レグルスであることがマリシーユとソルの会話から語られる。物語の中盤で、成り行き上ジーゴ・サナリアのアグナ・メラ・ジーゴと婚約する。 海都へのガイドはシャチの「ナギア」(他の影船艦長はイルカを従えている。)。 この世界では絶滅したと思われている鷹「ルファ」を常に従えている。 「怠け者・稀代のペテン師」を自称し、基本は怠けて何事もふわふわとはぐらかすが、仲間を思う心は篤く、多くの者が惹きつけられる不思議な魅力を持った男。他人を適正に評価する目があり、アル・レオニスやフォレストの才能を的確に評価しているが、自身に対する評価を見誤りがちな面があり、後にジンを失う遠因となる。 八番艦の操船は基本的にナオが行っているが、その操艦技術は歴代海の一族の中でも比肩する者はいないとされている。風や地形を的確に読むことで相手の艦を座礁・減速させ行動を奪うなどして1対多数の海上戦闘でも味方の被害を最小限に抑えている。 副長のハルバートはジトに対してファンを「アヌアビス・プロシオンが300年に1人の船乗りならばファンは1000年に1人の船乗りであり、比肩できるものなどいない」と評している。 自身の戦闘能力も非常に高く、ニホントウを用いた戦闘ではディアブラスに勝利しており、体術もマリシーユから習った体術(イベルグエンの体術に近いもの)を用いてニホントウが手元にない場合でもクラッサ・ライを本気にさせるだけの実力がある。 各国の情勢・海の状況(潮流等)を見聞きし、海王へと報告する事が本来の影船八番艦の艦長の職責ではあったが、ウォルハンの港でカザル・シェイ・ロンやマイア一行と出会ったことを切っ掛けにグリハラへ向かうこととなる。その帰路でフォレスト一行の襲撃を受けた際にカノンの威力を目の当たりにしたことでロナルディアを危険視する。得た情報を海王レグルスに報告するために海都に帰還したが、海王レグルス事故死に際するフェルカド一派の策略により影零番艦(八番艦)の不正占拠及び使用の罪で逮捕されてしまう。その後帰都したソルの手引きで脱獄、海都から脱出し海都近衛艦隊との艦隊戦を制した後(結果としてソルの預かりとなった)、正式な海王を選定するための儀を改めて行うに際して4人目の候補として名乗りを上げる。影の間での投票の結果としてソルとファンに票が入った為、王海走を執り行うこととなる。結果として負ける形(第3戦のレース結果を監視艦は僅差でファンの勝利であると長老部に報告している。)となりソルが海王となるが、”おみやげ”として『大海帥』の称号を得て(ただし、この時はなんの権利もないただの名ばかり官職)行動を開始する。海都攻防編後は海王ソルより全権を委任され、ロナルディアと戦争に踏み切る。 ロナルディアとの戦いが終わった後、ロナ海海戦の際に引退の意思を表明していたソル・カプラ・セイリオスの跡を継いで、海王となる。また、これと同時にジーゴ・サナリアの長(おさ)も兼任し、双方へ発展をもたらした。 海王就任後に、かねてより婚約していたアグナ・メラ・ジーゴと結婚。長女と長男をもうける。海王の地位に50年就いた後、妻の死とともに海王を引退した。後に長男はジーゴ・サナリアの長となり、長女はソル・カプラ・セイリオスの一子と結婚し、その子がファンの跡を継いで海王となった。 妻アグナを亡くした後、その妻自身からの申し入れもあり、亡くなるまでの20数年を、マイア・スアル・オンタネラと共に過ごし、少なくとも一子をもうけた。その子がアグナの孫の跡を継いで海王となった。 その最期は10日間ほど病臥した後、八番艦で出航、デッキで立ったまま笑みを浮かべての大往生を遂げる。統武七十三年没、享年101。おそらく母マリシーユ・ビゼンの使用した古の特別な薬の影響か、実年齢よりも若く見え、長寿であった。亡くなって後、海皇と諡号される。 トゥバン・サノオ 北方の国エンロノイア出身。かつて何人たりとも敵わなかったテラトーの森守を唯一撃退した(実際は森守に設定されていた防衛範囲外にトゥバンが押し出されたために森守が退いただけであるが、その他の挑戦者はそうなる前に全員が殺害されているため、それだけでも常人を超えた実力者であることが証明されている。)人物として、大陸一と評される伝説の兵法者。しかし、内には森守と戦い、倒すために強い渇望が燻っている。ロナルディアによるオンタナへの王都襲撃の際にマイア・宮廷魔導士とともに逃げ延びるが、その際に魔導士からカガクを求めろとの助言を受けてマイアと行動を共にしていた。 劇中ではその異名に違わぬ強さを見せ、その実力はファンからも本来誇張されやすい伝説の方が大人しいと評されるほど。その強さゆえに名剣ですら剣の方が保たずに度々戦闘中に剣が折れてしまい、彼も自身の力に耐えられる剣が無いことを多少なりとも憂いている。劇中で本気を出したのは3回(土武者・ディアブラス・森守)のみ。 ロナルディアとの戦いの中でディアブラスに勝った際、相手より古(いにしえ)の技術により作られたという剣を贈られる。ロナルディアとの戦いが終結した後は、ディアブラスの部下であったカンタァクを伴い、兵法求道・指南の旅へと出た。10年後に、ディアブラスとの約定でもあった、古の剣をカンタァクに譲った。なお、その最期は明らかになっていない。 マイア・スアル カガクを求める少女。ロナルディアによって滅ぼされたオンタナの王女で、本名はマイア・スアル・オンタネラ。旅を続けていく中で、少しずつファンに惹かれていく。当初は誰に対しても気丈に振舞っていたが、海都編後は素直に気持ちを表すようになった。森守によって瀕死の重傷を負った際にマリシーユによってビゼンの里に伝わる古の特別な薬を投与されたため、マリシーユと同じく老化のスピードが常人より遅い。 ファンの妻アグナの死の床に呼ばれ、アグナ本人より、その死後ファンと結ばれるよう説得された。アグナの死後ファンと共に暮らし、少なくとも一子をもうけた。 ニッカ・タンブラ 影船八番艦クルーの一人。主計長。ファンの副官でもあり最も信頼する男である。常に冷静な態度を崩さず、影船の経済、渉外、調達など幅広く活動するが、やや毒舌。また捉え所の無いファンの意図の解説役。 海の一族としては致命的なカナヅチという欠点がある。 ロナルディアとの戦いが終わった後も、八番艦主計長という地位を他に譲らず、その他の役を受けることもなかった。しかしながら、海の一族の発展は、彼の働きなくしては成し得なかったと評価されている。スクラ三姉妹の次女エールラと結婚し、一子をもうけた。統武六十六年没、享年93。 ジン・パベル 影船八番艦クルーの一人。航海士。海都一の弓の名手(ジンの代わりの弓取りとしての実力を見せるために100メード先の標的を的中させることができたエールラをして、ジンならできるが自分にはできないと認めるような難易度の高い標的も射貫ける。)。父親はサナル海将老のオブキン・パベル。八番艦クルーがファンを信頼はしているが尊敬はしていないとしている中、唯一ファンを尊敬している奇特な男とトーマには茶化されている。ドラガン海峡攻略に際しては輸送艦を操船するなど、操船技術もある模様。海都攻防編でマルキュリの凶刃からファンを守り命を落とす。ロナルディア連合艦隊との海戦を行ったホルアフト海峡は後世ファンの要望でジン・パベル海峡と改名された。 ナオ 影船八番艦クルーの一人。操舵手。平時の八番艦を操船している。王海走も1~2戦目・3戦目途中までは操船をしておりファンからの指示(ドラガン海峡攻略に際しても)も的確にこなしている。 ハルバート・セグノ 影船八番艦副長兼航海士。通称ハルじい。八番艦の最年長者であり、ファンが艦長になる以前から八番艦に乗船していた。艦長として十分な経験と技術の持ち主だが、ファン以上の船乗りは見たことないとして副長に留まっている。 トーマ・ソム 影船八番艦クルーの一人。航海士。主に白兵戦を担当。ニッカと違って泳ぎは得意。 後にスクラ三姉妹の末子グリスロウ・スクラと結婚し、2子をもうける。 ギルゴマ・ジフン 影船八番艦クルーの一人。ファン専属の艇長(コクスン)。生まれは海の一族ではなく、ケイムリンの船に乗船中に嵐に合い漂流していたところを救われた。「海都の喧嘩王」の異名を持ち、海都の水門の番人を務めていたが無断で水門を開けようとするファンに敗れ、水門を開けるのに手を貸す。その罪により、一時幽閉されるがファンによりウラニスと共に助け出され、その人柄に惚れてファンのために命を捨てないことを条件にファンから影船クルーになることを認められる。 ファンが海王となって後もその艇長として仕えて統武五十年、海王引退の10日後に、ファンに看取られながら亡くなった。 イゲ 影船八番艦クルーの一人。司厨長。
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