家畜と原種、時期と場所
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/04/08 05:50 UTC 版)
英語版の「家畜の一覧」である「List of domesticated animals」は、内容的に当セクションと近似で、補完し合えるところがある。英語版では、限定的・部分的な家畜化の例も、全面的な家畜化と区別したうえで(セクションを別に設けて)リストに挙げている。 当セクションでは、重要な家畜とその原種を、家畜化の時期と場所とともに列記する。記述は時期の古さ順。 「家畜」欄および「原種」欄の内容は、1. 和名、2. ( )括弧内は、必要なら英語版リンク、あれば漢字表記、必要なら補説、3. 学名(斜体で表記)。 画像家畜時期場所画像原種 イヌ(犬、イエイヌ;家犬)Canis lupus familiaris 一説に約100000年前~約75000年前の中東。一説に約40000年前の東アジア南部。一説に約35000年前の中東(ムスティエ文化圏)。一説に約33000年前の中国南部。一説に約20000年前のウラル山脈東麓。一説に紀元前13000年頃(約15000年前)の東アジア南部。一説に紀元前11000年以前(約13000年前)。ほか、諸説あり。 タイリクオオカミ(大陸狼、ハイイロオオカミ;灰色狼)Canis lupus ヒツジ(羊)Ovis orientalis aries 一説に紀元前11000年頃~紀元前9000年頃のメソポタミア。一説に紀元前7000年頃~紀元前6000年頃のメソポタミア。一説に紀元前7750年頃(約9750年前)の南西アジア。 アジアムフロンOvis orientalis ヤギ(山羊)Capra aegagrus hircus 一説に紀元前10000年頃のイラン。一説に紀元前7000年頃のイラン。一説に紀元前7750年頃(約9750年前)の南西アジア。 ベゾアールCapra aegagrus ブタ(豚)Sus scrofa domestica 一説に紀元前9000年頃の中国南部、あるいはベトナム。その他、紀元前6000年以前のユーラシアの広範な地域を候補地とした多起源説あり。 イノシシ(猪)Sus scrofa ウシ(牛、タウリン系牛)Bos primigenius taurus※「コブウシ」も参照。 一説に紀元前8300年頃のアナトリア半島(アナトリア高原)など。一説に紀元前8000年頃の中東から北アフリカ西部にかけての地域。 オーロックスBos primigenius セイヨウミツバチ(西洋蜜蜂)Apis mellifera 紀元前8000年以前(10000年以前)のイベリア半島(南ヨーロッパ西部)。 野生のセイヨウミツバチ ニワトリ(鶏)Gallus gallus domesticus 紀元前6000年頃の、インドから東南アジアにかけての地域。 セキショクヤケイ(赤色野鶏)Gallus gallus コブウシ(瘤牛)Bos primigenius indicus※「タウリン系牛」も参照。 紀元前6000年頃(インダス文明時代直前)のパンジャーブ。 オーロックスBos primigenius モルモットCavia porcellus 紀元前5000年頃 アンデス文明圏(ペルー) テンジクネズミ(天竺鼠)genus Cavia ロバ(驢馬)Equus africanus asinus 紀元前5000年頃 エジプト原始王朝時代到来前のエジプト アフリカノロバ(アフリカ野驢馬)Equus africanus スイギュウ(水牛)Bubalus bubalis 紀元前4000年頃 インドから中国南部にかけての地域 アジアスイギュウ(en、アジア水牛)Bubalus arnee ヒトコブラクダ(一瘤駱駝)Camelus dromedarius 一説に紀元前4000年頃(約6000年前)の、一説に紀元前1400年頃の、アラビア半島南部。 野生のヒトコブラクダ リャマLama glama 紀元前3500年頃[要出典] アンデス文明圏(ペルー) グアナコLama guanicoe バリウシ(バリ牛)Bos javanicus 紀元前3500年頃(約5500年前) ジャワ島とバリ島 バンテンBos javanicus ガウルBos gaurus frontalis バリウシに準する時期 東南アジア インドヤギュウ(インド野牛)Bos gaurus フタコブラクダ(二瘤駱駝)Camelus bactrianus 一説に紀元前3500年頃(約5500年前)のタジキスタンおよびイラン。一説には紀元前2500年頃の中央アジア。 野生フタコブラクダCamelus bactrianus ferus ネコ(猫、イエネコ;家猫)Felis silvestris catus 最古の飼育例は紀元前7500年前頃のキプロス島。固定化が認められるのは紀元前3000年頃(初期王朝時代初期)の古代エジプト。 リビアヤマネコFelis silvestris lybica (Felis lybica) ウマ(馬)Equus ferus caballus 紀元前3000年以前のスキタイ文化圏(現・ロシア南部の一地域)。 ターパンEquus ferus ferus ヤクBos grunniens 紀元前3000年頃(約5000年前) チベット高原 野生のヤクBos mutus イヌワシ(犬鷲)Aquila chrysaetos 紀元前3000年頃~紀元前2000年頃 中央アジアもしくはモンゴル高原 野生のイヌワシ トナカイ(馴鹿)Rangifer tarandus 一説に紀元前3000年頃の、スカンジナビア半島からシベリアにかけての平原地帯。一説に紀元前500年頃(約2500年前)のシベリア北部。 野生のトナカイ カワラバト(河原鳩)Columba livia 紀元前3000年頃 地中海沿岸地域 野生のカワラバトColumba livia ヨーロッパ系種ガチョウ(鵞鳥・ヨーロッパ系種)Anser anser domesticus※「シナガチョウ」も参照。 紀元前2610年頃~同2600年頃(異説:紀元前2800年頃)に造営された古代エジプトのメイドゥム(英語版)ピラミッド近傍のマスタバ内にある水鳥の壁画を論拠とするが、エジプトガンを誤認している可能性がある。 ハイイロガン(灰色雁)Anser anser エジプトガン(埃及雁)Alopochen aegyptiacus 上記の壁画をヨーロッパ系種ガチョウの家禽化を示す最古の例としている学説を否定するものとして、描かれた水鳥はエジプトガンである可能性が指摘されている。家禽としてのエジプトガンは古代エジプトの滅亡後、途絶した。 野生のエジプトガン カイコ(蚕)Bombyx mori 既知で最古の例は紀元前2750年頃の中国南東部沿海地域(現・中国浙江省)。 クワコ(en、桑子)Bombyx mandarina フェレットMustela putorius furo 一説に紀元前2300年頃(約2500年前)。一説に紀元前1500年頃以降。 ヨーロッパ大陸 ヨーロッパケナガイタチ(en、ヨーロッパ毛長鼬)Mustela putorius アヒル(家鴨)Anas platyrhynchos domesticus 一説に紀元前2000年頃の東南アジア。一説に紀元前1000年頃の中国南部。 マガモ(真鴨)Anas platyrhynchos バリケンCairina momelanotus 紀元前2000年頃(約4000年前) 南アメリカ ノバリケン(野バリケン)Cairina moschata シナガチョウ(支那鵞鳥、鵞鳥・中国系種)Anser cygnoides ※「ヨーロッパ系種ガチョウ」も参照。 紀元前1500年頃(異説:紀元前2000年頃) 中国北部 サカツラガン(酒面雁)Anser cygnoides cygnoides アルパカ(羊駱駝)Vicugna pacos 紀元前1500年頃 ペルー ビクーニャVicugna vicugna コイ(鯉)Cyprinus carpio 紀元前1500年頃~紀元前1200年頃 東アジア 野生のコイ シチメンチョウ(七面鳥)Meleagris gallopavo 一説に紀元前500年頃(約2500年前)。一説に紀元前後(約2000年前)。 メキシコ メキシコシチメンチョウ(メキシコ七面鳥)Meleagris gallopavo ホロホロチョウ(珠鶏)Numida meleagris 紀元前後(約2000年前) アフリカ カンムリホロホロチョウ ?(冠珠鶏)Guttera pucherani ? キンギョ(金魚)Carassius auratus auratus 300年頃~400年頃(五胡十六国時代) 中国 ギベリオブナCarassius gibelio カイウサギ(飼兎)Oryctolagus cuniculus 600年頃(約1400年前) フランス南西部 アナウサギ(穴兎)Oryctolagus cuniculus ニホンミツバチ(日本蜜蜂)Apis cerana japonica 皇極天皇2年(643年、飛鳥時代半ば)の日本(大和国高市郡三輪山) 野生のニホンミツバチ オウム(鸚鵡)familia Cacatuidae 初出は大化3年(647年)、新羅から日本への献上品目録の記述 野生のオウム カワウ(河鵜、川鵜)Phalacrocorax carbo 初出は『古事記』(和銅5年〈712年〉、奈良時代初頭)の記述 日本 野生のカワウ エンマコオロギ(閻魔蟋蟀)Teleogryllus emma 800年頃(約1200年前、唐代後期) 中国 野生のエンマコオロギ ウズラ(鶉、ニホンウズラ;日本鶉)Coturnix japonica 12世紀(平安時代後期) 日本 野生のウズラ ブンチョウ(文鳥)Lonchura oryzivora 1600年頃(約400年前、明代末) 中国 野生のブンチョウ カナリア(金糸雀、金絲雀)Serinus canaria 1600年代(スペイン王フェリペ3世時代) アブスブルゴ朝スペイン帝国領ヨーロッパ 野生のカナリア
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