円頓戒とは? わかりやすく解説

Weblio 辞書 > 同じ種類の言葉 > 宗教 > 仏教 > > 円頓戒の意味・解説 

えんどん‐かい〔ヱンドン‐〕【円頓戒】

読み方:えんどんかい

天台宗で、円頓の妙旨に基づいて授けられる大乗戒梵網経(ぼんもうきょう)に説く菩薩(ぼさつ)戒。円戒。


円頓戒

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/04/02 01:23 UTC 版)

円頓戒(えんどんかい)は、最澄が唱えた、天台宗やその流れを汲む鎌倉仏教の各宗派浄土真宗など一部を除く[1])で授けられるであり、完全にして自在な修行者のたもつ戒のこと。

具体的には、『梵網経』が説く大乗菩薩戒で、十重禁戒と四十八軽戒を指し、日本の天台宗が主張した大乗戒を、やがてこの用語で呼ぶようになったものである。円頓とは、円満頓速の意で、全ての物事をまどかに欠ける所なく具え、たちどころに悟りに至らせるのをいい、究極とすることから称された。

留学中の最澄が道邃より授けられ、当時において侶は比丘の受けるべき『具足戒』と菩薩戒の兼学が基本で、密教の場合にはこの上さらに三昧耶戒を授かる必要があったが、最澄は帰国後具足戒と三昧耶戒を排し、菩薩戒のみによる僧侶の養成を図った。最澄は円戒という語を用い、円頓戒とは呼んでいないが内容的には最澄の創意であり、弘仁13年(822年)最澄没後、この戒を授受する大乗戒壇比叡山延暦寺に創設されて以降、日本天台宗が旧来の仏教宗派(南都六宗)から自立したとされる。その後円仁の『顕揚大戒論』、安然の『普通授菩薩戒広釈』等により円頓戒は大成する。

中世比叡山の律僧たちは、神祇信仰(神道)を思想に大きく取り込んでいるが、これは善人に恵みを、悪人に罰を与えるという神祇の賞罰機能を、悪を遮り善を持するという戒律の機能そのものと考えたためである[2]。恵尋は、荒々しいシャーマニック十禅師神に円頓戒の本質(戒体)を見出しており、中世の比叡山の戒学書には神霊憑依(神がかり)の信仰の現場が垣間見られる[3]

脚注

参考文献

  • 恵谷隆戒「円頓戒の根本問題」『佛教学セミナー』第15巻、大谷大学佛教学会、1972年5月30日、74-85頁、ISSN 0287-1556CRID 10508457634302567682022年12月14日閲覧 
  • 舩田淳一「中世叡山律僧の神祇信仰について--本覚思想との関係から」『日本思想史学 日本思想史学会 編』第41巻、日本思想史学会、2007年9月25日、74-93頁、CRID 1520290882607897472 



円頓戒と同じ種類の言葉


英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「円頓戒」の関連用語

1
天台律 デジタル大辞泉
100% |||||

2
戒和上 デジタル大辞泉
100% |||||

3
円頓戒壇 デジタル大辞泉
96% |||||



6
78% |||||


8
58% |||||


10
30% |||||

円頓戒のお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



円頓戒のページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
デジタル大辞泉デジタル大辞泉
(C)Shogakukan Inc.
株式会社 小学館
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアの円頓戒 (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。

©2025 GRAS Group, Inc.RSS