仙台経済圏における拡大の背景
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/09/10 14:43 UTC 版)
「仙台経済圏」の記事における「仙台経済圏における拡大の背景」の解説
仙台経済圏の成立については『東北地方の経済史』を参照 国道4号仙台バイパス沿いに大規模店などの出店が相次ぎ、郊外の渋滞が発生するとともに、中心商業地(青葉区)に与える影響が懸念されていたものの、中心商業地である一番町および仙台駅周辺では再開発が進むと共に、一番町の藤崎デパート周辺にブランドショップ街の形成が始まっており、活気が戻ってきている。これは、他の東北地方の都市において百貨店(デパート)の閉店が相次いだこと、都市間移動の主役が高速化した新幹線や低料金の高速バスに変わってきたことなどにより、週末を中心に主に山形県や福島県からの買い物客がどっと押し寄せるようになったためである。 仙台中心部の買い物客の内、山形市民は平日に 仙台市民の二倍近い額を消費し、福島市民は休日に 仙台市民の二倍近い額を消費するとの調査結果がある。県外客は、ぶらんどーむ一番町、仙台駅西口前で集中して消費行動をしている。 東北地方の主な都市圏・人口・百貨店数(2000年) 順位都市圏人口百貨店1位 仙台都市圏 1,556,293 人 2店 2位 郡山都市圏 537,727 人 1店 3位 山形都市圏 475,692 人 0店 4位 盛岡都市圏 475,621 人 1店 5位 秋田都市圏 452,397 人 1店 6位 福島都市圏 412,360 人 0店 7位 いわき都市圏 365,951 人 0店 順位都市圏人口百貨店8位 青森都市圏 340,750 人 2店 9位 八戸都市圏 332,426 人 2店 10位 弘前都市圏 326,193 人 2店 11位 北上都市圏 220,486 人 1店 12位 石巻都市圏 207,562 人 0店 13位 会津若松都市圏 188,686 人 0店 都市圏人口は都市雇用圏のもの。百貨店数は日本百貨店協会に加盟経験があり、その上で現在も営業している百貨店の数であるものの、便宜的に例外として2021年現在のものを用いている。なお、東北地方の百貨店については以下を参照(太字は日本百貨店協会加盟店)。 青森県青森市中三青森店 さくら野百貨店青森店 青森県八戸市三春屋 さくら野百貨店八戸店 青森県弘前市中三弘前店 さくら野百貨店弘前店 秋田県秋田市西武百貨店秋田店 秋田県大仙市タカヤナギイーストモール 岩手県盛岡市川徳 岩手県北上市さくら野百貨店北上店 宮城県仙台市藤崎 仙台三越 福島県郡山市うすい百貨店 2000年以降における日本百貨店協会加盟店については秋田県秋田市の中三秋田店は2008年にスーパーマーケットのイオンに転換したため1軒になり、岩手県盛岡市の中三盛岡店は2011年の中三破綻によりNanakに転換し中三と共に協会復帰を目指した状況となっている。山形県山形市の山形ビブレ、山形県山形市の山形松坂屋、福島県いわき市の大黒屋、秋田県大館市の正札竹村、宮城県気仙沼市の気仙沼ビブレ、青森県青森市の松木屋、宮城県仙台市のams西武仙台店、福島県福島市のさくら野百貨店福島店、宮城県仙台市の十字屋仙台店、青森県五所川原市の中三五所川原店、福島県郡山市の丸井郡山店、宮城県石巻市のさくら野百貨店石巻店については2000年代にすべて閉店しているほか、福島県会津若松市の中合会津店、岩手県花巻市のマルカン百貨店、宮城県仙台市のエマルシェ(さくら野百貨店仙台店)、山形県山形市の中合十字屋山形店、岩手県盛岡市のNanak、山形県米沢市の大沼米沢店、山形県山形市の大沼山形店、福島県福島市の中合福島店、山形県酒田市のマリーン5清水屋も閉店している。むつ市内の小型店であるむつ松木屋はスーパーマーケット業態を採っている。秋田市内には百貨店のほか、かつて日本百貨店協会に加盟していた木内があるものの、現在は大幅に営業規模を縮小しており衣料品店に近い業態となっている。仙台市内には百貨店のほか、大型専門店ビル(ファッションビル)が数軒ある。もっとも中心市街地ではない駅前・駅ナカの開発や高止まりした地価により百貨店の閉店が現在も続いている中央に対して、東北地方は比較的百貨店が健闘しているとも言える。 (参考)東京から東北地方諸都市までの距離の対応表(第一国土軸と第二国土軸との対応) 沼津(宇都宮) 静岡(黒磯) 浜松(郡山) 名古屋(仙台) 米原(一関) 京都(北上) 大阪(盛岡) 姫路(八戸) 倉敷(青森) 広島(函館) 北九州(札幌) 福岡(岩見沢) 熊本(旭川) 鹿児島(釧路) 琉球列島(千島列島) また、近年、南東北の住民の高額消費財の購買地は、「東京」、「海外旅行時の免税店」、および「仙台」 に集約してきていたが、原油高やテロの影響による海外旅行のコストアップ、仙台空港の国際線の減少(「免税天国」のホノルル便や香港便の消滅)などにより、「海外旅行時の免税店」の地位が下がり、仙台にアクセスする低料金高速バスの出現によって「東京」の地位が下がり、結局、出費が最もが少なく高額な物を買える仙台の中心商業地が、ある面で都市間競争に勝って、相対的に地位を向上させて来た。しかし、仙台の地元商店は中心商店街からどんどん撤退し、海外や東京資本の店に取って代わられている。 このような背景により、仙台都市圏の小売商圏は拡大傾向にあり、山形県村山地方、福島県中通り北部、浜通り北部が 「仙台経済圏」 に組み込まれた。また、東北楽天ゴールデンイーグルス(楽天イーグルス)が仙台への集客マグネットとして作用しており、東北地方における仙台のプレゼンスを向上させた。 仙台行き高速バスのうち、盛岡発・江刺発・古川発・福島発・郡山発・いわき発・会津若松発の各便は、プロ野球開催期間中楽天Koboスタジアム宮城(コボスタ宮城)まで延長運転している。 ただ、最近、沖縄県那覇市に、国内初の日本人向け免税店が出来たことにより、南東北の住民の高額消費財購買地として沖縄が台頭してきた。仙台 - 那覇便は、現在、ANAによる1日1便だけだが、この流れを受けたのか、それとも昨今の沖縄ブームのためなのか、この路線にJALが季節運行で参入することになり、今後の仙台中心部商業地にどの程度の影響があるのか考察が必要になってきている。また、前述の高速バスの項目にあるように、格安の「ツアーバス」が仙台~東京間に参入したことにより、若者層における東京のプレゼンスが高くなっていくことも考えられ、沖縄の免税店と同様に考察が必要である。
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