原油高
原油価格の動向が世界各国で注目を集めています。「原油バブル」といってもよいほど価格が急激に上昇しており、原油価格の世界的な指標である米国のWTI(ウエスト・テキサス・インターミディエート)の先物相場は1バレル140ドル突破も時間の問題です。昨年の夏までは60ドル台だったため、この1年で2倍以上に値上がりしたことになります。
アジア地域では中東産ドバイ原油の価格が指標となっており、WTIよりは少し価格帯が下にありますが、その差は縮小する傾向にあります。原油価格の上昇に伴って、日本のガソリン価格は1リットルあたり170円台を記録、このまま原油価格が上昇すれば、ガソリン価格は200円に達するだろう、と試算されています。
なぜ原油価格はこれほど急激に上昇しているのでしょう。理由は大きく分けて2つあります。1つはBRICS(ブラジル、ロシア、インド、中国)をはじめとする新興国における需要の増加です。これらの国々では急速に経済が成長しており、原油の消費が爆発的に増加しています。中国やインドではこの10年間に消費量が2倍に膨らんでいます。
もう1つの理由は投機マネーが原油市場に流入していることです。ここ数年、日本をはじめ世界的に金利が比較的低い水準にあったため、投資家は預金による利息収入を避けて、株式市場や原油市場、商品市場に投資する傾向にありました。そこに米国のサブプライムローン(信用度の低い個人向け住宅融資)問題が発生して、欧米の金融市場が混乱したため、さらに投資資金が原油、商品に振り向けられる結果になり、価格上昇に弾みがついてしまいました。
最近もサブプライムローン問題の余波を受けて、米国の景気後退懸念が強まり、米国の通貨であるドルの価値が下落し、ドル安、株安が進んだことから、米国の株式市場に投じられていた資金の一部が原油市場に方向転換して、一段と原油価格を上昇させる形になっています。
このため、原油の輸入国はOPEC(石油輸出国機構)やロシアなどの産油国に増産を要求しています。しかし、OPECは「供給は間に合っている」との判断を表明しており、増産に踏み切る気配はありません。したがって、供給が増えて原油価格が下がるということは期待薄です。
原油価格上昇の影響を最小限にとどめようと、米国ではガソリンに混ぜて使うバイオ燃料の生産に拍車をかけています。しかし、バイオ燃料の原料にはトウモロコシが使われるため、食料・飼料用のトウモロコシが不足して、トウモロコシ価格も急上昇。さらにトウモロコシを増産するために、大豆や小麦からトウモロコシに転作する農家が増え、大豆や小麦も不足して、価格上昇を招いています。
このように原油高はガソリン代の値上げだけでなく、食料品の値上げという副産物まで生み出し、日常生活に多大な影響を与えるようになっています。
(掲載日:2008/06/20)
アジア地域では中東産ドバイ原油の価格が指標となっており、WTIよりは少し価格帯が下にありますが、その差は縮小する傾向にあります。原油価格の上昇に伴って、日本のガソリン価格は1リットルあたり170円台を記録、このまま原油価格が上昇すれば、ガソリン価格は200円に達するだろう、と試算されています。
なぜ原油価格はこれほど急激に上昇しているのでしょう。理由は大きく分けて2つあります。1つはBRICS(ブラジル、ロシア、インド、中国)をはじめとする新興国における需要の増加です。これらの国々では急速に経済が成長しており、原油の消費が爆発的に増加しています。中国やインドではこの10年間に消費量が2倍に膨らんでいます。
もう1つの理由は投機マネーが原油市場に流入していることです。ここ数年、日本をはじめ世界的に金利が比較的低い水準にあったため、投資家は預金による利息収入を避けて、株式市場や原油市場、商品市場に投資する傾向にありました。そこに米国のサブプライムローン(信用度の低い個人向け住宅融資)問題が発生して、欧米の金融市場が混乱したため、さらに投資資金が原油、商品に振り向けられる結果になり、価格上昇に弾みがついてしまいました。
最近もサブプライムローン問題の余波を受けて、米国の景気後退懸念が強まり、米国の通貨であるドルの価値が下落し、ドル安、株安が進んだことから、米国の株式市場に投じられていた資金の一部が原油市場に方向転換して、一段と原油価格を上昇させる形になっています。
このため、原油の輸入国はOPEC(石油輸出国機構)やロシアなどの産油国に増産を要求しています。しかし、OPECは「供給は間に合っている」との判断を表明しており、増産に踏み切る気配はありません。したがって、供給が増えて原油価格が下がるということは期待薄です。
原油価格上昇の影響を最小限にとどめようと、米国ではガソリンに混ぜて使うバイオ燃料の生産に拍車をかけています。しかし、バイオ燃料の原料にはトウモロコシが使われるため、食料・飼料用のトウモロコシが不足して、トウモロコシ価格も急上昇。さらにトウモロコシを増産するために、大豆や小麦からトウモロコシに転作する農家が増え、大豆や小麦も不足して、価格上昇を招いています。
このように原油高はガソリン代の値上げだけでなく、食料品の値上げという副産物まで生み出し、日常生活に多大な影響を与えるようになっています。
(掲載日:2008/06/20)
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