化学物質の情報管理システム
日本では化学物質を管理する大がかりなシステムが6月末から動きだしました。アーティクルマネジメント推進協議会(JAMP)という組織が作ったシステムです。化学物質の情報管理を簡単にできるシステムとして期待されています。
例えば、パソコンにはたくさんの電子部品が使われています。しかも部品1点1点で使われている化学物質が違います。そこでパソコンメーカーは、部品ごとに化学物質を調べます。ほとんどの場合、パソコンメーカーは部品に含まれる化学物質の情報を部品メーカーから提供してもらいます。同じ部品がテレビにも使われていると、部品メーカーはテレビメーカーにも情報提供します。
JAMPのシステムでは、部品にどんな化学物質が使われているのかを部品メーカーがデータベース(DB)に登録できます。あとはパソコンメーカーやテレビメーカーがDBの検索機能を使い、部品の化学物質情報を入手できます。つまり、部品メーカーがパソコンやテレビメーカーごとに情報を提供する手間が省けます。パソコンやテレビメーカーも部品メーカーに情報提供を求める作業が減ります。もちろん、たくさんの部品や材料の情報がDBに登録されるほど、システムは便利になります。
JAMPのシステムの名称は「JAMP-グローバルポータル」。JAMPには旭化成、住友化学などの化学メーカーやパナソニック、日立製作所といった電機メーカーなど約350社が参加しています。「グローバルポータル」は化学や電機といった業界の垣根を越え、どの業界の企業でも利用できる、世界でも例のないシステムです。
欧州では07年6月から化学物質規制「REACH(リーチ、Registration,Evaluation,Authorization and Restriction of Chemicals)」の運用が始まりました。リーチは製品に含まれる化学物質の種類や量を規制する法律です。「グローバルポータル」はこのリーチに対応できるシステムです。
(掲載日:2009/07/27)
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