化学かるた

化学かるたを作成したのは日本化学会、化学工学会、新化学発展協会、日本化学工業協会の4団体で構成する「夢・化学-21」委員会。この委員会は化学の啓発と化学産業の社会貢献に対する理解を促すことを目的に、1993年からさまざまなキャンペーンを展開しています。キュリー夫人のノーベル化学賞受賞から100年目にあたる2011年が国連の「世界化学年」に定められたことを記念し、化学会社の女性社員が中心となって化学かるたを企画・製作しました。
ターゲットは未来を担う子供たち。化学の楽しさやおもしろさを知ってもらうため、約110種類の元素の中から名前がよく知られている48種類を選び、水素(元素記号H)は「ロケットも 車も動かす 水素のちから」、炭素(同C)は「鉛筆も すみもダイヤも 炭素だよ」、パラジウム(同Pd)は「パラジウム 排気ガスの 掃除屋さん」といった具合に、漫画タッチの絵と組み合わせて小学校低学年でも分かりやすくなっています。
さらに、絵札の裏面には小学校高学年や中学生になっても学習資料として生かせるように、原子番号や原子量、詳しい特徴が記されています。
昨年は北海道大学の鈴木章名誉教授と米パデュー大学の根岸英一特別教授が日本人として6、7人目となるノーベル化学賞を受賞し、その評価対象となった「クロスカップリング反応」は2010年の新語・流行語大賞にもノミネートされました。クロスカップリングは結びつきにくい2種類の有機物を合成する反応で、身近な医薬品や液晶などの化学物質製造に欠かせない技術であることも注目を集めました。幅広く活用されることを期待し、2人はあえて特許を取得しなかったのです。日本人化学者の偉大な研究成果がノーベル化学賞で日の目を見るかたちになりました。
世界化学年は日本など数カ国が国連教育科学文化機関(UNESCO)に働きかけて実現したものです。統一テーマは「ケミストリー-アワ・ライフ,アワ・フューチャー」(Chemistry-our life, our future)です。「夢・化学-21」委員会は将来の化学者をはぐくんでいくため、化学かるた第2弾となる製品編の作成を検討しています。
(掲載日:2011/01/27)
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