蛙化現象
蛙化現象とは、恋愛における特定の現象を指すスラングである。具体的には、相手を理想化し過ぎてしまい、実際に交際を始めるとその理想と現実のギャップから次第に魅力を感じなくなる状態を指す。この表現は、王子がキスをすると蛙が王子に変わるという童話「美女と野獣」の逆の状況、つまり王子が蛙に変わってしまう様子に由来している。蛙化現象は、恋愛の初期段階で起こりやすく、理想と現実のバランスを見失うことで生じる。
蛙化現象
「蛙化現象」とは?「蛙化現象」の意味・定義、詳しく解説
「蛙化現象(かえるかげんしょう)」とは、恋愛における心理的傾向の一種で、「好きな相手が振り向いてくれた途端に相手のことを受け入れられなくなってしまう」ことである。もともと自分が相手に好意を抱いていたのに、その好意を相手が受け入れて「私もあなたが好きだ」という態度を示し始めた途端、あまり嬉しくないというか、むしろ「気持ち悪い」という感情を抱いてしまうようになった、というような感情の動きを指す。
一言でいえば「蛙化現象」とは「好きだけど、好きになられたら気持ち悪い」という感覚である。
蛙化現象が生じた場合の「相手が受け入れられない」感覚は、「好かれなくてもいい」というような穏やかなものではなく、むしろ「キモい」「生理的に無理」といった強烈な嫌悪感になりがちである。
「蛙化現象」は女の人に多いとされる
蛙化現象は、どちらかといえば女性に多く見られる傾向とされる。初恋で蛙化現象の感覚を抱く経験をする人も多い。ただし蛙化現象は「女性に特有」「思春期に特有」ということはなく、男性でも似た感覚に陥る人はいる。大人になってからの恋愛で蛙化現象に陥る人もいる。
蛙化現象は「起こりにくい人」と「起こりやすい人」がいる。蛙化現象が起こりやすい人は、誰かを好きになるたびに同じ心変わりを経験しがちである。本人が原因を自覚していないと、蛙化現象をなかなか克服できない。
男は蛙化現象にはなりにくい
一般的に、男性は蛙化現象にはなりにくいとされる。
もちろん蛙化現象に陥る(=生身の女に生理的嫌悪感を抱くレベルで幻滅する)男はいる。しかし女性と比べたら蛙化現象に陥る男性の割合は圧倒的に少ないと思われる。
蛙化現象とクズ男・クズ女の心理は別物である
両思いになることを拒絶する心理としては、「異性を落とす(=振り向かせる)ことが目的化し、落とした途端に相手への興味を失う」といった状況や、「交際を始めてみると相手の女性が過度の親密さを求めてきてウンザリする」といった状況も、ありがちである。ただ、こうした心境の変化は「蛙化現象」には含まれない。蛙化現象がいわゆるクズ人間の所業であるかどうか、その判断は人それぞれであるという他ないが、少なくとも当人は悪意を持って意図的に嫌悪し始めるわけではない。もっとも、好かれた後に嫌われた当事者にとって「蛙化現象」が理不尽な酷い仕打ちであることは間違いない。
「蛙化現象」の例
例えばこういう状態が蛙化現象の「症状」である
女性が好きだった男性を「気持ち悪い」と思ってしまうようになり、時間が経っても感情が静まらないとき、それは蛙化現象だといえる。例を挙げるならまず、相手に触れられて嫌だと感じる瞬間だろう。普通は、気持ちを寄せている異性とのスキンシップには心地よさを覚えるものである。それにもかかわらず、相手に触れられるとおぞましく感じ、遠ざけたいと考えてしまう。こうした女性の心理は蛙化現象の典型である。「キスや肉体関係に抵抗を覚える」のも蛙化現象の一種だろう。男女の仲が進むと、キスや肉体関係を求められることは珍しくない。しかし、どうしても女性の側が、男性を受け入れられなくなってしまう。このような状態は蛙化現象である。もちろん、女性は嫌いな相手と、深い関係になろうとは思わない。ただ、蛙化現象では、相手に恋愛感情を抱いていたにもかかわらず、キスや性行為を許せなくなるのだ。
相手の容姿や性格が気になり始める女性もいる。彼女たちは両思いになる前、男性の長所にばかり目を向けている。しかし、恋人関係になってからは、今までなんとも思っていなかった欠点が気になりだす。「しゃべり方が乱暴」「肌が汚い」「ファッションセンスが合わない」といった細かい要素を見過ごせなくなり、やがて、生理的嫌悪までもよおしてしまうのだ。そこまで気持ちがエスカレートすると、かつての恋愛感情も冷めてしまう。
相手からキスを迫られたり、欠点を見せつけられたりしたわけでもないのに、蛙化現象が起きるケースも少なくない。こうした場合、女性たちは男性に思いを受け入れてもらった瞬間から、好意を失ってしまう。相手のすべてに魅力を感じなくなり、「距離を置きたい」と考える。
「蛙化現象」が起きる原因
心理学的に蛙化現象を分析しようとする人もいる。多くの論文が蛙化現象を題材にしており、女性たちの心変わりに原因を探してきた。一説によれば、蛙化現象は自己嫌悪が原因だという。恋愛や男性との関りに関係なく、自分に自信がない女性は「好かれる」という感覚を素直に受け止められない。また、自分を好きになる人間の心理も理解できないのである。そのため、自分に好意を向ける相手に「得体が知れず、気持ちが悪い」という感想を抱く。この場合、過去のトラウマが人間不信につながっていることも多い。次に、プライドが高く、男性に慣れている女性も蛙化現象を起こしやすい。彼女たちは恋愛に飢えているわけでなく、常に理想の相手を探し求めている。パートナーとなる男性に求める基準は高い。両思いになったとしても、相手の小さな欠点が目についてしまう。片思いだったときには気づかなかった欠点が嫌になり、「関係を発展させたくない」と考えてしまうのだ。
逆に、男性慣れしていない女性も蛙化現象を起こすことがある。特に、アニメやゲームなどで魅力的な男性キャラクターに親しんできた女性は、現実の恋愛にグロテスクな感情を覚えるケースが珍しくない。彼女たちはフィクション内での非現実的な設定に憧れを抱いている。だからこそ、現実の男性が見せる生々しい言動に幻滅してしまうのだ。さらに、男性経験が少ないので、自分に向けられる欲望を認めにくいともいえる。
そのほか、自己評価のために恋人を利用している女性も、蛙化現象に遭うとの説もある。彼女たちは恋人からの評価を通して、自己を確認している存在だ。こうした状況が続くと、彼女たちは恋人の男性の評価に不安を抱く。そして、これ以上の不安から逃れようと、無意識的に男性と距離を置こうとするのだ。
「蛙化現象」の読み方
「蛙化現象」の読み方は「かえるかげんしょう」である。「蛙(かえる)」は訓読みであり、「-化現象(-かげんしょう)」部分はすべて音読みである。ややイレギュラーな読み方である。
「蛙」は音読みで「ア」と読むが、「蛙化現象」は「あ化現象」とは読まない。
「蛙」は訓読みで「かわず(かはづ)」とも読むが、「蛙化現象」は「かわず化現象」とは読まない。
「蛙化現象」の語源・由来
「蛙化現象」の語源・由来は童話「カエルの王子様」
「蛙化現象」という名称は、グリム童話の「カエルの王子様(または「かえるの王さま」)」に由来するとされる。「カエルの王子様」は、カエルと王女の物語である。カエルは基本的にキモい両生類であるが、この童話に登場するカエルは優しい心の持ち主である。この物語には「人を見た目で判断してはいけない。常に慈悲の心を持つこと」という教訓が込められている。
「蛙の王子様」のあらすじ
王女は森で遊んでいるとき、大切なまりをなくしてしまった。困っていると蛙が現れ、かわりにまりを探してくれるという。ただでは動きたくない蛙は、交換条件を要求してきた。まりをどうしても探してほしかった王女は「なんでもする」と答えてしまう。蛙は「自分と仲良くして、今夜夕食を一緒にとり、ベッドに入れてくれること」を要求してきた。仕方なく王女は蛙の条件を受け入れる。しかし、蛙からまりを受け取った王女は、醜い蛙の条件を飲むのが嫌になった。そもそも王女は最初から「蛙と仲良くできるわけない」と考えていた。そこで、王女は蛙を残し、さっさとお城に帰ってしまう。それでも蛙はお城にやってきて、夕食を摂っている王女に、約束を守るよう迫った。父である王に叱られ、しぶしぶ王女は蛙と一緒に夕食をとる。しかも、蛙は王女の寝室にまで入ろうとしてきた。嫌がる王女は王様に再び怒られ、嫌々ながら蛙を受け入れる。
ただ、王女は蛙とベッドを共にすることが我慢できなかった。思わず王女は、蛙をつかんで壁に投げつけてしまう。もがき苦しむ姿を見てさすがにかわいそうに思った王女は、蛙を抱き上げた。そのとき、蛙にかけられた魔法が解け、美しい王子になる。王子と王女は結ばれ、いつまでも幸せに暮らしたのだった。
「蛙化現象」と「カエルの王子様」は筋道が逆転している
童話「カエルの王子様」は、カエルが王子さまに変身してハッピーエンドを迎える物語である。「蛙化現象」は、いうなれば王子さまがキモい蛙に変身してしまう(ような感覚に陥る)現象である。蛙化現象は単に、「相手を好きでなくなる」という程度の拒絶反応ではない。相手に生理的嫌悪を抱き、近づきたくないとまで思うときにあてはまる。まさに、蛙を何度も拒絶し、壁に叩きつけるほど毛嫌いした王女の心理だといえるだろう。
「蛙」に込められたネガティブなイメージ
童話「蛙の王子様」では、蛙の行動にさまざまなネガティブなイメージが込められている。蛙化現象という言葉の前提にも、童話の蛙の気味悪さがある。まず、蛙は非常に押しつけがましい。まりを探すとき、彼は自分勝手な交換条件を持ち出す。そのうえ、相手が条件を飲むまで、お城に押しかけてくる徹底ぶりだ。次に、蛙は無神経である。初対面の人間に「ベッドを共にしたい」と要求するのはかなり図々しい。さらに、蛙には性欲も示唆されている。ベッドを共にするとは、性行為をぼかした表現だとも解釈できる。しかも、王女は父親に言われて仕方なく、蛙を寝室に入れるのだ。自分で望まない相手と一緒に寝なければならないのは、強い嫌悪感と恐怖を覚える事態だろう。こうした要素のひとつひとつが、女性にとっての「恋愛対象にしたくない相手の条件」にあてはまる。その結果、蛙化現象という言葉が生まれたのである。
蛙化現象の治し方・克服のしかた
蛙化現象が起こる要因は多種多様であるが、大きな要因としては「相手に幻滅する」か「相手に幻滅されることを恐れる」かに大別できる。相手に幻滅して起きる蛙化現象を克服するには、現実を現実として受け入れることが必要になる。
相手に幻滅されることを恐れて起きる蛙化現象を克服するには、自分に自信を持つ・自己肯定感を高めることが必要になる。
【1】理想と現実を切り離して受け入れる
蛙化現象は「理想と現実のギャップに対して幻滅する」ことによって起こりやすい。極端なことを言えば、「白馬の王子様」的な理想的な男性像や恋愛模様を思い描いてしまっている場合、現実の生身の男は、むさ苦しく、気も利かない、無駄に毛深く、しかも性欲が漏れ出ている、グロテスクな存在に思えてしまう。これが生理的拒否感に繋がりやすい。
この手の蛙化現象を克服するには、理想と現実を切り離して現実の相手と向き合う視点が求められる。
【2】自分に自信を持つ
相手に幻滅する心理は、「相手に幻滅されたくない」という考え方と表裏一体である。これが「好きになった相手に嫌われたくない」という理由で相手を拒絶してしまうタイプの蛙化現象に繋がりやすい。
相手に幻滅されたくない心理は、つまるところ自信のなさ、自己肯定感の低さに起因する。「自分を好きになってくれる人もいる」という事実を受け入れられれば、蛙化現象は克服できる。
蛙化現象
別表記:カエル化現象、かえる化現象
「蛙化現象」とは、片思いの相手と両思いになった途端に恋愛感情が冷めたり相手に嫌悪感を抱いてしまったりする現象・心理状態を意味する言葉である。典型的には思春期の女子にありがちな傾向とされる。
「蛙化現象」の読み方は「かえるかげんしょう」である。
「蛙化現象」という言葉の由来は、童話「かえるの王さま」とされている。この童話は、わけあって王女が蛙と同衾する(=ベッドを共にする)ことになり、王女はこれを激しく嫌悪し拒絶するが、実は蛙の正体はステキな王子様であり、最終的に2人は幸福のうちに結ばれる、……といった筋書きである。
「蛙化現象」は、童話「かえるの王さま」の話の流れとは逆に、「ステキな王子様」だったはずの彼が蛙になってしまう(ように思えてしまう)という状況を指す。
蛙化現象が起こる主な要因としては、「恋愛経験の少なさ」や「理想と現実の乖離への落胆」などが挙げられる。いわゆる「恋に恋する」女子は、えてして片思いの対象の男子を理想化しがちである。これが両思いになると、相手の男子を生身の人間として認識せざるを得なくなる。ここで生身の男のむさ苦しい部分が目につき、あるいは外見や性格が理想と乖離していることに気づき、幻滅してしまうわけである。
- かえるかげんしょうのページへのリンク