『機動戦士ガンダム THE ORIGIN』におけるジム
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「ジム (ガンダムシリーズ)」の記事における「『機動戦士ガンダム THE ORIGIN』におけるジム」の解説
安彦良和の漫画『機動戦士ガンダム THE ORIGIN』に登場するジムは、原作版とは外観や設定が若干異なる。また、後述のようにいくつかのバリエーション機も登場する。いずれもメカニックデザインは大河原による。 対MS戦を重視せず中距離火力支援に特化したガンキャノンと異なり、「主力兵器」として対MS戦を想定しつつ対艦・対戦闘機戦など戦況に応じてさまざまな装備変更が可能なマルチロール機として基本設計がおこなわれたガンダムをベースとした量産機。可及的速やかな戦力立て直しのため、生産性を重視して構造の簡略化とコストダウンが図られているため、特に装甲強度と反応速度においてはガンダムに一歩およばない。それでも主力兵器として十分な性能をもつMSとなり、ガンダムの実戦データなども継承され、若干ではあるもののザクII以上のスペックをもつ機体として完成している。ビーム・スプレーガンやコア・ポッドを標準装備するなど、練度の低いパイロットにも配慮されている。 原作版とのおもな相違点は、さらに股間部や膝部がガンダムに近い形状になっており、頭部も顔面のディテールが異なり「襟足」にフェアリングが追加されている。ビーム・サーベルは右側に装備されている。シールドは設定画ではガンダムと同型だが作中では縁のデザインが異なり、十字の部分はロレーヌ十字のようになっている。左前腕部甲にはガトリング砲を装備する。 作中での活躍 ガルマ・ザビの国葬の直後の時期に、ジャブロー付近の哨戒任務に当たっていた戦車隊の前に1機が突如現れ、素手やバルカン砲などの固定武装で殲滅する。この機体は「最初期型」と呼ばれる。カラーリングはアニメ版に準じており(肩部は白)、以降も標準塗装となる。ランドセルは、コマによって通常のガンダムと同型もの(スラスター2発)とショルダー・キャノン (SC) 装備用(5発)のものの2種類が確認できる。 公国軍のジャブロー急襲の際には多数が緊急出撃し、ザクIIの集団を崩落した工事区に追い詰める。アムロも換装中のガンダムに替わって搭乗しシャアのズゴックと交戦、反応速度がガンダムより遅いため劣勢となるが、ウッディ・マルデンのファンファンに救われる。これらは「第一次生産型」とよばれる。ランドセルはSC装備用をベースに、スラスターを5発から3発に減じた簡略型となっている。なお、この時点ではまだコア・ポッドの搭載は検討中である。 オデッサ戦以降の機体は「第二次以降生産型」と呼ばれる。機体スペックは第一次生産型と変わらないが、SCやビーム・ライフルといったガンダムと同規格のさまざまな武装を装備した機体も見られる。ランドセルはスラスター5発のタイプのほか、2発のものも確認できる。宇宙では新型のビーム・スプレーガン(原作版に近いデザイン)を携行する。反応速度などスペック上の問題を抱えながらも、大戦終了まで主力量産機として活躍する。ホワイトベース (WB) 隊にも数機が配備され、うち1機にジョブ・ジョンが搭乗する。 『THE ORIGIN』の設定に準拠した劇場アニメ『機動戦士ガンダム ククルス・ドアンの島』の冒頭では、アレグランサ島の残置諜者掃討の任に就く2機が登場。運んできたガンペリーともどもドアン専用ザクに撃破される。1機はSC装備、もう1機は後述の中距離支援タイプと同型のミサイル・ポッドを両肩と両腰に装備している(いずれも標準塗装)。その後のカサブランカでの戦闘では複数(映像で確認できるのは7機、小説版によれば10機)登場するが、標準塗装の通常装備のほか、オレンジとグレーを基調としたカラーリングの通常装備およびSC装備も見られる。敵の救援に駆け付けた公国軍サザンクロス隊の高機動型ザク(地上用)によって全滅する。ランドセルのスラスターは5発。 スレッガー・ロウ専用機 スレッガー・ロウ率いるスレッガー中隊が運用する機体は胸部に "S" をモチーフにした中隊のエンブレムが描かれており、さらに隊長のスレッガー専用機は胸部が青く塗装されている(コックピット・ハッチは赤)。このカラーリングは、スマートフォンゲームアプリ『機動戦士ガンダム U.C. ENGAGE』のイベント「0079ジブラルタル」に登場する3Dポリゴンモデルでも踏襲された(肩口のハッチは黄色)。漫画作中でランドセルは確認できないが、ゲームではスラスター2発のタイプとなっている。中隊はジャブロー防衛に参加し、その後小隊編成でホワイトベース (WB) に転属、ジブラルタルにおけるシャア専用ザクとの戦闘で全滅する(スレッガーは無事)。ゲームでは、シャアの配下のザクII小隊に全滅させられる。なお、小隊にはSC装備(初期型)も配備されているとされるが、漫画作中では確認できず、ゲームにも登場しない。 劇場アニメ『ククルス・ドアンの島』にもスレッガー専用機が登場するが、胸部(肩口のハッチ含む)とソール部が青みがかった緑に塗装されている。ライト・グレーを基調とし、襟元や関節部の円形の部分が白で塗り分けられている。ランドセルのスラスターは5発。アレグランサ島で行方不明となったアムロのガンダム捜索のため、セイラが操縦するコア・ブースターの上に乗って出撃。サザンクロス隊のMSを運ぶルッグン2機を撃破するが、被弾し不時着するコア・ブースターから前方に振り飛ばされて岩石に激突、首がへし折れてしまう。時系列的には、ジブラルタルの戦闘より前のエピソードである。 ジム近接戦闘タイプ (GM: CLOSE COMBAT TYPE) 公国軍の新型MSに対して不安が残る初期生産型の性能を底上げし、ガンダムに迫る性能で量産したタイプは「最終生産型」と呼ばれる。WB隊の異常な戦果を「部隊編成と運用に因あり」と結論付けた開発チームによる、近接戦と砲撃戦の相互支援をコンセプトとする強化型でもある。本機はそのひとつで、ハンド・グレネードや両腕部のソード・ストッパー(フルアーマーガンダムの右腕部シールドに酷似)、頭部や胸部の増加装甲など近接戦闘を意識した強化がされている。各部にスラスターを増設し、出力と機動性を確保している。 WB隊にもア・バオア・クー戦時に1機が配備され、セイラ・マスが搭乗(機体番号1029)。ガンダムと同型(後期型)のビーム・ライフルを携行する。シムス・アル・バハロフのブラウ・ブロを撃破するが、爆発に巻き込まれ右腕と両脚を失う。セイラはコア・ポッドで脱出している。 ジム中距離支援タイプ (GM: MEDIUM-LANGE SUPPORT TYPE) 最終生産型のひとつで、ガンキャノンと同じく中距離砲撃をコンセプトとするタイプ。近接戦闘タイプの支援機として、対空戦もこなす複数の火器を装備する。両肩に7連装ミサイル・ポッド、両腰に3連装ミサイル・ランチャー、右前腕部に2連装ビーム・ライフル、左前腕部にマシンガンを装備。ビーム・サーベルは臀部に水平に2基マウントする。頭部カメラ・アイは張り出したバイザー・タイプとなっており、射撃精度が向上している。 ジム遠距離砲撃タイプ (GM: LONG-LANGE BOMBARDMENT TYPE) 両肩に改良型ショルダー・キャノンを装備したタイプ。頭部両側面にサブ・センサーを装備、キャノンにはスコープとセンサーを追加して命中率の向上を図っている。前腕部にはガンキャノンのように分厚い装甲が追加されている。ビーム・サーベルは中距離支援タイプと同様。なお、最終生産型には新型のシールド(ライオット・シールドのような形状)が用意されており、曲面構成のため耐弾性が向上している。 WB隊にも、少なくとも1機が配備されている。
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