正覚 正覚の概要

正覚

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/11/12 00:30 UTC 版)

原語・原義

漢訳で正覚とされるサンスクリット語パーリ語の原語は一定ではない[3]

『広説佛教語大辞典』は、正覚と訳された語を仏典から12個挙げている[注釈 1]

正覚と漢訳されるサンスクリット語のうち、: abhisaṃ-bodhiや、: abhisaṃ-buddhaは、現前した菩提・仏といった意味あいであり、新訳では現正覚(げんしょうがく)や現等正覚(げんとうしょうがく)など、「現」を付して訳されることが多いとみられる[4][要検証]

三藐三菩提

正覚を含む漢訳語のうち、無上正覚(むじょう-しょうがく)、(無上)正等正覚(むじょう-しょうとうしょうがく)、(無上)正等覚(むじょう-しょうとうがく)、(無上)等正覚(むじょう-とうしょうがく)、無上菩提(むじょう-ぼだい)、無上正等菩提(むじょうしょうとうぼだい)など「無上」を付して訳されるものは、(阿耨多羅)三藐三菩提と同じ原語であることが多い[5][要検証]

(阿耨多羅)三藐三菩提(あのくたら-さんみゃくさんぼだい)(梵: (anuttarāṃ-)samyak-sambodhiṃ)のサンスクリット原義は「(最も優れた-)正しい-知識」、「(最も勝った-)完全な-理解」といった意味だが[6][要検証]、漢訳では等正覚・正等正覚・正等覚と同義であり、意味は、生死の迷いを去って、いっさいの真理を正しく平等に悟ることや、仏の悟り、仏の完全な悟り[7]

阿耨多羅三藐三菩提は大乗仏教で用いられるが、部派仏典にも現れる[注釈 2]

初期仏教

初期仏教では主に、釈迦菩提樹下で成就した、四諦八正道縁起などの理法に対する悟りを指す[2]

部派仏教

大乗仏教

大乗仏教では、諸仏が等しく成就する無上・普遍の悟りのこと[2]。経典や宗派によって解釈は異なるが、概ね、無相の真如諸法の実相などの体悟を内容とする[2]

関連項目


注釈

  1. ^ 1.さとり - : saṃbodhi(『中阿含経』)、: saṃbodha(『雑阿含経』)、: abhisaṃbuddha(『増壱阿含経』)、: abhisaṃbodhi(The Dīgha Nikāya II → 『沙門果経』)、: buddhi(『楞伽経』)、: abhisaṃbodhiSylvain Lévi, Mahāyāna-sūtrālaṃkāra)、: buddhatvaBunyiu Nanjio, The Laṅkāvatāra Sūtra〈宋訳・唐訳〉 → 『楞伽経』)、: saṃbuddha(Bunyiu Nanjio, The Laṅkāvatāra Sūtra〈唐訳〉)、: samyag-avabodha(Bunyiu Nanjio, The Laṅkāvatāra Sūtra〈宋訳〉)、: adhigama(Bunyiu Nanjio, The Laṅkāvatāra Sūtra〈唐訳〉)
    2. 真理をさとった人 - : buddha/チベット語:saṅs rgyas(Ryōzaburō Sakaki, Mahāvyutpatti[1]
  2. ^ 阿耨多羅三藐三菩提は大正新脩大蔵経に1万3500余回出現するが、[要出典]阿含部は45回に過ぎない[8]

出典

  1. ^ a b c d e 中村元 『広説佛教語大辞典』中巻 東京書籍、2001年6月、838頁。
  2. ^ a b c d 中村元ほか編 『岩波仏教辞典 第二版』 岩波書店、2002年10月、p.515の「正覚」の項目。
  3. ^ 『仏教漢梵大辞典』 平川彰編纂 (霊友会) 687頁「正覚」。
  4. ^ 『仏教漢梵大辞典』 平川彰編纂 (霊友会) 753頁「現〜」。
  5. ^ 『仏教漢梵大辞典』 平川彰編纂 (霊友会) 753頁「無上〜」。
  6. ^ 『漢訳対照梵和大辞典 増補改訂版』 鈴木学術財団 (山喜房仏書林)、1979年、「anuttarāṃ」, 「samyak」, 「sambodhiṃ」参照。
  7. ^ 等正覚とは - 大辞泉/大辞林/コトバンク
  8. ^ 阿耨多羅三藐三菩提 (阿含部)


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