根津美術館 根津美術館の概要

根津美術館

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2016/08/26 09:36 UTC 版)

Japanese Map symbol (Museum) w.svg 根津美術館
Nezu Museum
Nezu museum entrance tokyo 2014.jpg
施設情報
専門分野 根津嘉一郎が収集した日本・東洋の古美術品
館長 根津公一
開館 1941年昭和16年)
所在地 107-0062
東京都港区南青山6-5-1
位置 北緯35度39分44秒
東経139度43分1.5秒
座標: 北緯35度39分44秒 東経139度43分1.5秒
プロジェクト:GLAM
根津嘉一郎(初代)
那智滝図

概要

東武鉄道の社長などを務めた、実業家で茶人の初代・根津嘉一郎の収集品を展示するためにつくられた美術館で、1941年昭和16年)に開館した[1]藤井斉成会有鄰館大倉集古館白鶴美術館大原美術館などとともに、第二次世界大戦以前からの歴史をもつ、日本では数少ない美術館のひとつである。

美術館の敷地は江戸時代、河内国丹南藩藩主の高木家の下屋敷があったところで維新後、荒果てていたところを1906年明治39年)に根津嘉一郎が取得して数年がかりで造園した嘉一郎の私邸跡で、現在も広大な日本庭園があり、庭内には茶室が点在している。収集品は主に日本・東洋の古美術で、その高い質と幅の広さに特色がある。戦前の実業家の美術コレクションは茶道具主体のものが多いが、根津コレクションは、茶道具もさることながら、仏教絵画、写経、水墨画、近世絵画、中国絵画、漆工、陶磁、刀剣、中国古代青銅器など、日本・東洋美術のあらゆる分野の一級品が揃っている。嘉一郎の豪快な収集は、「根津の鰐口」と称されたという。収蔵品は2009年現在6,874件に及ぶ[2]。なお、尾形光琳の「燕子花図屏風」は毎年4月下旬 - 5月上旬に公開される。

美術館は2006年平成18年)5月8日から改築工事のために休館していたが、建築家・隈研吾の設計による新展示棟が竣工し、2009年(平成21年)10月7日に新装開館。新しいロゴデザインは、ドイツ・ペーター・シュミット・グループによって制作された。

施設

本館 
2009年平成21年)開館。隈研吾の設計で、切妻造の屋根は寺院建築を思わせる。1階にはホールと展示室1・2・3、ミュージアムショップがあり、2階には展示室4・5・6がある。1階のホールは、庭園に面した南側壁面を全面ガラスとし、白大理石製の如来立像(北斉時代、総高291センチ)をはじめ、中国の石仏が常設展示されている。展示室1は企画展示室であり、展示室2は絵画・書跡、展示室3は仏像、展示室4は中国青銅器、展示室5は工芸品、展示室6は茶道具をそれぞれ展示する。なお、旧本館は今井兼次・内藤多仲の設計で1954年昭和29年)に竣工したものであったが、現・本館の建設に伴い取り壊された。
事務棟 
1990年(平成2年)竣工。当初は「新館」として、企画展示室にあてられていたが、2009年(平成21年)のリニューアルオープン後は事務室と収蔵庫になっている[3]
庭園 
根津嘉一郎邸の庭園だったもので、自然の傾斜を生かし、池を中心とした日本庭園である。庭内には茶室4棟、薬師堂などの建物のほか、石仏、石塔、石灯籠などが点在する。
燕子花図 尾形光琳筆(左隻) (同 右隻)
燕子花図 尾形光琳筆(左隻)
(同 右隻)

指定文化財

国宝

  • 那智滝図 絹本著色 1幅 鎌倉時代
  • 燕子花図 尾形光琳筆 紙本金地著色 六曲一双
  • 漁村夕照図 伝牧谿筆 紙本墨画 1幅
  • 鶉図 伝李安忠筆 「雑華室印」あり 絹本著色 1幅
  • 禅機図断簡(布袋図) 因陀羅筆 紙本墨画 1幅
  • 根本百一羯磨 巻第六 1巻 奈良時代
  • 無量義経・観普賢経 2巻 平安時代(11世紀半ば)

重要文化財(絵画)

※〔 〕内は美術館側で使用している名称。

(仏教絵画)

  • 大日如来像 絹本著色 1幅 平安時代(12世紀)
  • 釈迦如来像〔釈迦如来・阿難像〕承元3年(1209年)銘[4] 絹本著色 1幅 鎌倉時代初め
  • 普賢十羅刹女像 絹本著色 1幅 平安時代
  • 愛染明王像(1942年重文指定) 絹本著色 1幅
  • 愛染明王像(1960年重文指定) 絹本著色 1幅
  • 大威徳明王像 絹本著色 1幅 吉田山一乗院伝来 鎌倉時代半ば過ぎ
  • 仏涅槃図 絹本著色 1幅(附:旧軸木) 南北朝時代 康永4年(1345年
  • 釈迦八相図 絹本著色 1幅 鎌倉時代 - 元は久遠寺所蔵の3幅と一具
  • 金剛界八十一尊曼荼羅図 絹本著色 1幅 鎌倉時代前期
  • 愛染曼荼羅図 絹本著色 1幅 鎌倉時代前期
  • 善光寺如来縁起絵 絹本著色 3幅 鎌倉時代
  • 法相宗曼荼羅図 絹本著色 1幅 鎌倉時代後期
  • 五百羅漢図 伝明兆筆 絹本著色 2幅
  • 華厳五十五所絵(善財童子歴参図) 絹本著色 6面 平安時代 - 東大寺旧蔵。他に東大寺に10面、藤田美術館に2面、奈良国立博物館に1面[5]、その他に1面の20面が現存
  • 絵過去現在因果経 巻第二 絵慶忍並聖聚丸筆、書良盛筆 紙本著色 1巻 鎌倉時代
  • 羅漢図(第五尊者)(南宋) 絹本墨画 1幅
  • 阿弥陀如来像(高麗、大徳10年(1306年)) 絹本著色 1幅

(垂迹画)

  • 春日宮曼荼羅図 絹本著色 1幅
  • 春日補陀落山曼荼羅図 絹本著色 1幅

(絵巻)

  • 天狗草紙 紙本著色 1巻 鎌倉時代
  • 十二因縁絵巻 紙本著色 1巻 鎌倉時代

(水墨画)

  • 山水図 祥啓筆 紙本淡彩 1幅
  • 山水図〔江天遠意図〕 伝周文筆 大岳周崇等賛 紙本淡彩 1幅
  • 観瀑図 真芸(芸阿弥)筆 月翁周鏡等賛 紙本淡彩 1幅
  • 山水図 曽我紹仙筆 月舟寿桂賛 紙本墨画淡彩 1幅

(近世絵画)

(中国画)

  • 竹雀図 「雑華室印」「善阿」印あり 紙本墨画 1幅
  • 夕陽山水図 馬麟筆 理宗賛 絹本著色1幅
  • 瓜虫図 呂敬甫筆 自賛 紙本著色 1幅
  • 銭塘観潮図 月翁周鏡等賛 絹本著色 1幅
  • 風雨山水図 伝夏珪筆 「雑華室印」あり 紙本墨画 1幅
  • 古木牧牛図 毛倫筆 絹本墨画 1幅

重要文化財(彫刻)

  • 木造地蔵菩薩立像 久安3年(1147年)快助作 1躯
  • 銅造釈迦如来・多宝如来並坐像 北魏時代 太和13年(489年) 1基 総高23.5cm
  • 石造浮彫十一面観音龕(唐) 1面 - 総高107.4cm、石は石灰岩西安花塔寺(宝慶寺)請来[6]

重要文化財(工芸品)

(日本陶磁)

  • 色絵山寺文様壺 仁清作 1口
  • 銹藍金絵絵替皿 尾形乾山作 5枚
  • 鼠志野亀甲文茶碗(山端) 1口
  • 丸壺茶入(相坂)瀬戸 1口

(中国・朝鮮陶磁

  • 青磁花瓶(青磁筍花生)(南宋、龍泉窯) 1口
  • 青磁筒花生(大内筒) 1口
  • 明染付花卉文大皿 1枚
  • 金襴手下蕪花生 1口
  • 唐物肩衝茶入(松屋)1口
  • 高麗青磁蓮華唐草文水瓶 1口
  • 井戸茶碗(柴田)朝鮮時代 1口
  • 雨漏茶碗 朝鮮時代 1口
  • 堅手茶碗(長崎)朝鮮時代 1口

(漆工)

  • 花白河蒔絵硯箱 1合
  • 春日山蒔絵硯箱 1合
  • 嵯峨山蒔絵硯箱 1合
  • 宝相華銀平文袈裟箱 1合
  • 秋野蒔絵手箱 1合

(金工)

  • 芦屋松梅図真形釜 1口
  • 金銅鉢(応量器) 1口 奈良時代 - 口縁部に「重大四斤九兩」の刻字があり、上代尺貫法を知る貴重な資料

重要文化財(書跡典籍)

(仏典)

  • 註楞伽経 巻七 1巻 奈良時代
  • 大般若経 巻第廿三(和銅五年(712年長屋王願経) 1帖
  • 観世音菩薩受記経(天平六年聖武天皇勅願経) 1巻
  • 金光明最勝王経註釈 巻第二断簡(飯室切) 1巻 平安時代
  • 大般若経 巻第二百六十七(神亀五年五月十五日長屋王願経) 1巻
  • 大般若経 巻第五十七(天平十九年十一月八日唐僧善意願経) 1巻
  • 紺紙銀字華厳経 巻第四十六(二月堂焼経) 1巻 奈良時代
  • 順正理論 巻第六残巻(大同元年五月中旬書写奥書) 1巻
  • 大乗掌珍論 巻上残巻 1巻 奈良時代末期
  • 大唐内典録 巻第九第十残巻(天平勝宝七歳七月二十三日六人部東人願経) 1巻
  • 大乗法界無差別論疏 成弁(明恵)筆 1巻 鎌倉時代
  • 不空三蔵表制集 巻第五 1巻

(書跡典籍)

  • 内大臣殿歌合 元永二年七月 1巻
  • 古今集 藤原為氏筆 文応元年藤原為家奥書 1帖
  • 飛鳥井雅経筆懐紙(詠暁紅葉和歌)(熊野類懐紙)1幅

(墨跡)

重要文化財(考古資料)

(中国考古)

  • 饕餮文方盉(とうてつもん ほうか) 3箇
  • 饕餮文斝(とうてつもん か) 1箇
  • 犠首饕餮虺龍文尊(ぎしゅとうてつきりゅうもん そん) 1箇
  • 饕餮虁鳳文瓿(とうてつきほうもん ほう) 1箇
  • 饕餮虺龍文尊(とうてつきりゅうもん そん) 1箇
  • 犠首饕餮虺龍文方罍(ぎしゅとうてつきりゅうもん ほうらい) 1箇
  • 饕餮虁鳳文方彝(とうてつきほうもん ほうい) 1箇
  • 双羊尊 1箇



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  1. ^ 根津美術館について 根津美術館ウェブサイト、平成23年7月25日閲覧
  2. ^ 『芸術新潮』719号、p.125
  3. ^ 『芸術新潮』719号、pp.119 - 125
  4. ^ 根津美術館では本品の名称を「釈迦如来・阿難像」としている。ただし、重要文化財指定時の文化庁の説明では、画中で釈迦の隣に立つ比丘形の侍者について、阿難像には例のない持物や印相を表すことから、阿難とは断定できないとしている。(文化庁文化財保護部「新指定の文化財」『月刊文化財』249、第一法規、1984、p.12)
  5. ^ 華厳五十五所絵(不動優婆夷) - e国宝
  6. ^ この十一面観音龕は、根津嘉一郎コレクションではなく、他のコレクションから購入されたものである。旧国宝指定時の官報告示(昭和11年9月18日文部省告示第326号)では神奈川県の個人の所有となっている。


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