こせい‐だい【古生代】
古生代
【英】: paleozoic era / palaeozoic era
同義語: Palaeozoic era
地質学の対象となる過去、すなわち地質時代は化石の産出が一般的にまれな隠生代と豊富な顕生代とに大別されるが、顕生代を動物化石の変遷に基づいて三分した最初の地質時代が古生代で、約 5 億 9,000 万年前から約 2 億 4,800 万年前の期間に相当する。古生代に形成された地層を古生界という。古生代前半はカンブリア紀、オルドビス紀およびシルル紀に細分され、三葉虫、筆石、珊瑚{さんご}、腕足類などの海棲{かいせい}無脊椎{むせきつい}動物や菌藻類が繁栄した。古生代後半はデボン紀、石炭紀および二畳紀(ペルム紀)に細分され、上述の無脊椎動物のほかに、紡錘虫、魚類、両棲類{りょうせいるい}やしだ類が繁栄した。古生代前半には北西ヨーロッパ、グリーンランド、北アメリカ、中国北部などでカレドニア造山運動が、後半には中部ヨーロッパ、ウラル、北アメリカ、中国などでバリスカン造山運動が起こった。気候は全般的に温和で、世界的にほぼ一様であったが、二畳紀末期には、北アメリカ、インド、オーストラリア、南アメリカなどに大陸氷河が広く発達した形跡がある。各地質系統別の世界の石油・天然ガスの既発見埋蔵量のなかで古生界が占める割合は、原油については 14 %、ガスについては 28.5 %である。古生界に原油が少ないのは、石油鉱床の一部が破壊されたり、原油の一部が熱分解してガスに変化したことなどによると推定される。古生界には原油に比べてガス鉱床がよく発達しているが、このなかには原油の分解生成によるガスだけでなく石炭起源と推定されるものも多く、石炭紀および二畳紀の石炭鉱床と密接な関係がある。 |
古生代
古生代
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/03/07 01:44 UTC 版)
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累代 | 代 | 紀 | 基底年代 Mya[* 3] |
---|---|---|---|
顕生代 | 新生代 | 第四紀 | 2.58 |
新第三紀 | 23.03 | ||
古第三紀 | 66 | ||
中生代 | 白亜紀 | 145 | |
ジュラ紀 | 201.3 | ||
三畳紀 | 251.902 | ||
古生代 | ペルム紀 | 298.9 | |
石炭紀 | 358.9 | ||
デボン紀 | 419.2 | ||
シルル紀 | 443.8 | ||
オルドビス紀 | 485.4 | ||
カンブリア紀 | 541 | ||
原生代 | 2500 | ||
太古代(始生代) | 4000 | ||
冥王代 | 4600 | ||
古生代(こせいだい、仏: Paléozoïque、英: Paleozoic era)は、古生代・中生代・新生代と分かれる地質時代の大きな区分の一つである。約5億4100万 - 約2億5190万年前。先カンブリア時代(隠生代)の後に相当する。地質学的には、古生代以前の地質年代をはっきりと確定することはできない。無脊椎動物の繁栄から、恐竜が繁栄しはじめる中生代の手前までの期間に対応する。
生命の始まり
古生代初期の頃には、既に様々な種類の生物が誕生し、同時にその数は急激に増加していった。この現象はカンブリア爆発として現代に知られている。
当時の生物のほとんどは海洋の中で生息しており、殻や外骨格などの固い部分で身を覆っている。海底の砂を主なすみかにしている生物(ベントス)もいれば、海中を動き回る生物(ネクトン)まで種類は多様であった。特に腕足動物や三葉虫はこの時代に一般的であった生物であり、古生代初期の生物の内訳では、ほとんどがこのような部類に入っていた。この時代から、新たな生物の分類として無顎類が誕生している。
古生代においては、シルル紀に至るまで単細胞生物のみが陸上で生活していた。シルル紀に突入すると多くの植物が上陸し、地上での成長を開始した。これらの植物は最初、水面に近く比較的湿度の高い場所を好んで生息していた。デボン紀では乾燥した気候[注釈 1]に耐えられる植物も出現し、それまで簡易的であった植物の構造を一転させ、より複雑なものへと変化していく。シルル紀では昆虫の生存が確認された。
デボン紀はしばしば「魚類の時代」として伝えられる場合がある。これはさまざまな魚類が海中で繁栄していたからによる。この時点でほとんどの魚類は既に顎及び鱗を持ち合わせている。デボン紀では同時にクラドセラケ[注釈 2]などのサメが誕生・活動し始めた。また同時期ごろから動物は海中から陸上への進出を果たし、石炭紀後期(ペンシルベニア紀[注釈 3])には爬虫類が出現し始める。
区分
基底年代はICSチャートの2018年8月版に基づく[1]。基底年代の誤差の記述は省略している。
カンブリア紀
- 約5億4100万 - 4億8540万年前
- ほぼ全ての動物門が出そろい、生物種の爆発的増加(カンブリア紀爆発)。
- 三葉虫、ラディオドンタ類(アノマロカリス、フルディアなど)[2][3]、葉足動物[4]などの繁栄。
- 最古の脊椎動物である無顎類の登場(ミロクンミンギア、ハイコウイクチスなど)。
オルドビス紀(オルドヴィス紀)
- 約4億8540万 - 4億4380万年前
- オゾン層の形成。
- フデイシ(筆石)とオウムガイの繁栄。
- 前の時代に引き続き三葉虫が繁栄した。
- 末期には大量絶滅が起こった。三葉虫はこれ以降衰退の道をたどっている。
シルル紀(ゴトランド紀)
- 約4億4380万 - 4億1920万年前
- 顎やウロコを持つ魚類の登場。
- サンゴ類(床板サンゴ類など)[注釈 4]とウミサソリ類の繁栄[5]。
- 植物の陸上進出(クックソニアなど)。
- 昆虫類の登場。
- 脊椎動物が一般的になった。
デボン紀(デヴォン紀)
- 約4億1920万 - 3億5890万年前
- 海域を中心に板皮類が繁栄(ダンクレオステウス、ボトリオレピスなど)。
- 淡水域を中心に棘魚類が栄えた。
- 硬骨魚類が増加した。
- オウムガイ、アンモナイトの繁栄。
- ハイギョの出現。
- 種子植物の出現。
- 最初の森林の形成(アーケオプテリス[注釈 5]など)。
- シダ植物の繁栄が始まる。
- 動物の陸上進出。
- 両生類の出現(アカンソステガ、イクチオステガなど)[注釈 6]。
- 後期には大量絶滅があった。
石炭紀
- 約3億5890万 - 2億9890万年前
- 前期(ミシシッピ紀)と後期(ペンシルベニア紀)に分けられる。
- シダ植物の繁栄。
- 板皮類の絶滅[注釈 7]。
- 両生類の地上上陸。
- 有羊膜類(爬虫類と哺乳類の系統群)の出現。
- 巨大昆虫類の繁栄(ムカシアミバネムシ、オオトンボなど)。
ペルム紀(二畳紀)
- 約2億9890万 - 2億5190万年前
- 棘魚類の絶滅。
- 両生類・爬虫類・単弓類(哺乳類型爬虫類)の繁栄。
- 三葉虫類とウミサソリ類の絶滅[5]。
- 巨大大陸パンゲアの出現[注釈 8]。
- ペルム紀末(P-T境界と呼ばれる古生代と中生代の境界)では、史上最大とされる地球規模の大量絶滅が起こった。
脚注
注釈
- ^ 当時は大規模な乾季が存在していた。
- ^ クラドセラキ、クラドセラキーとも書かれる。長い間最古のサメとして考えられていた。
- ^ ペンシルバニア紀、ペンシルヴァニア紀とも書かれる。
- ^ 現在のサンゴとは系統が異なる。これらのサンゴはペルム紀大絶滅により全て絶滅した。
- ^ カナ表記ではアルカエオプテリス、アルケオプテリス、アーキオプテリスとも表記される。裸子植物の祖先にあたる前裸子植物に含まれる。
- ^ ティクターリクが最も四足動物に近いと考えられている。
- ^ ほとんどの属は前の時代に起こったデヴォン紀大絶滅により姿を消していた。
- ^ 同時に超海洋であるパンサラッサ海も出現した。
出典
- ^ en:International Commission on Stratigraphy ICS Chart 2018-08
- ^ Zeng, Han; Zhao, Fangchen; Yin, Zongjun; Zhu, Maoyan (2018-01-02). “Morphology of diverse radiodontan head sclerites from the early Cambrian Chengjiang Lagerstätte, south-west China”. Journal of Systematic Palaeontology 16 (1): 1–37. doi:10.1080/14772019.2016.1263685. ISSN 1477-2019 .
- ^ Pates, Stephen; Lerosey-Aubril, Rudy; Daley, Allison C.; Kier, Carlo; Bonino, Enrico; Ortega-Hernández, Javier (2021-01-19). “The diverse radiodont fauna from the Marjum Formation of Utah, USA (Cambrian: Drumian)” (英語). PeerJ 9: e10509. doi:10.7717/peerj.10509. ISSN 2167-8359 .
- ^ Ortega-Hernández, Javier (2015-10-05). “Lobopodians” (English). Current Biology 25 (19): R873–R875. doi:10.1016/j.cub.2015.07.028. ISSN 0960-9822. PMID 26439350 .
- ^ a b Lamsdell, James C.; Selden, Paul A. (2017-01). “From success to persistence: Identifying an evolutionary regime shift in the diverse Paleozoic aquatic arthropod group Eurypterida, driven by the Devonian biotic crisis: CHANGING EVOLUTIONARY REGIMES DURING THE DEVONIAN” (英語). Evolution 71 (1): 95–110. doi:10.1111/evo.13106 .
参考文献
関連項目
外部リンク
- “地質系統・年代の日本語記述ガイドライン 2014年1月改訂版”. 日本地質学会. 2014年3月19日閲覧。
- “INTERNATIONAL CHRONOSTRATIGRAPHIC CHART (国際年代層序表)” (PDF). 日本地質学会. 2015年5月25日時点のオリジナルよりアーカイブ。2014年3月19日閲覧。
- 仲田崇志 (2009年10月29日). “地質年代表”. きまぐれ生物学. 2011年2月14日閲覧。
古生代(5億4000万–2億5000万年前)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/14 08:09 UTC 版)
「南極大陸」の記事における「古生代(5億4000万–2億5000万年前)」の解説
カンブリア紀にゴンドワナは穏やかな気候にあり、現在の西南極に相当する地域は北半球に位置した。この時期、砂岩や石灰岩または頁岩の堆積が進行した。東南極に相当する地域は赤道上にあり、熱帯の海には無脊椎動物や三葉虫などが繁殖していた。デボン紀初期(4億1600万年前)ゴンドワナは南へ移動を始め、当時の陸上植物の化石を分析した結果から、気候は寒冷になっていったことが分かった。砂やシルトが堆積し、今日のエルスワース山脈、ホーリック山脈、ペンサコーラ山脈の地層を形成した。デボン紀末(3億6000万年前)にはカルー氷河時代が始まり、南極大陸部分は南極点を中心とする位置まで移動し、気温は低下したが、植物は南極植物相(英語版)として生き残っていた。ペルム紀には湿地帯に繁殖するグロッソプテリスのようなシダ植物門系の植物が優勢になり、後に南極横断山脈の石炭層を形成した。ペルム紀の終わり頃までは、地球温暖化の影響からゴンドワナは暖かく乾燥した状態が保たれていた。
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古生代(約5億7000万 - 約2億5000万年前)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/02/28 05:06 UTC 版)
「地球史年表」の記事における「古生代(約5億7000万 - 約2億5000万年前)」の解説
地質時代 - 顕生代累代代紀基底年代Mya顕生代 新生代 第四紀 2.58 新第三紀 23.03 古第三紀 66 中生代 白亜紀 145 ジュラ紀 201.3 三畳紀 251.902 古生代 ペルム紀 298.9 石炭紀 358.9 デボン紀 419.2 シルル紀 443.8 オルドビス紀 485.4 カンブリア紀 541 原生代 2500 太古代(始生代) 4000 冥王代 4600 ^ 基底年代の数値では、この表と本文中の記述では、異なる出典によるため違う場合もある。 ^ 基底年代の更新履歴 ^ 百万年前 生命の多様化、カンブリア爆発 およそ5億4200万年前から5億3000万年前の間 - カンブリア爆発と呼ばれる生物の多様化が起こる。突如として脊椎動物をはじめとする今日見られる動物界のほとんどの門 (分類学) が出そろった現象である。 短期間(約1000万年の間)に生物の種類を多く増やした。この頃から多くの化石が発見されるようになる。 約5億3000万年前 - バージェス動物群、バージェス頁岩 三葉虫などの生物が現れる。 4億6000万 - 4億3000万年前 - 一時的な氷河時代(アンデス-サハラ氷期) 4億3000万年前頃 - 生物の大量絶滅(オルドビス紀末) 6000光年以内で起こった超新星爆発によるガンマ線バースト仮説 5億年前 - 4億年前 - 二酸化炭素の濃度は現代の20倍程度 4億2000万年前 - 植物の上陸 4億年前 - 節足動物の上陸[信頼性要検証] 4億年前 - アンモナイトが現れる。 北海道もアンモナイトの世界的な産地の1つで、約1億年前頃の化石が多く発見されている。 3億6000万年前 - 生物の大量絶滅(デボン紀後期) 寒冷化と海洋無酸素事変の発生 3億6000万年前 - 温暖期 氷河の消滅。この頃、大森林が各地に形成され、石炭の元になったとされる。地質時代では石炭紀という名称がついている。リグニンを含む樹木を分解する菌類が存在せず、石炭の原料が地表に積もる。光合成により二酸化炭素が減少し温室効果が減少し寒冷化に向かい酸素濃度が増える。 3億6000万年前 - 脊椎動物(両生類)の上陸 3億5000万 - 2億5000万年前 - 大規模な氷河時代だったとされる(カルー氷期)。 3億年前 - 二酸化炭素濃度が現代の程度まで低下する。この前後寒冷化する。酸素濃度が最高の35%となる。これ以降、リグニンを含む樹木を分解できる菌類(白色腐朽菌)が登場し酸素濃度が徐々に減少に向い、二酸化炭素濃度は増加に向かう。 3億年前 - 昆虫が拡大。 ゴキブリもこの頃に出現。身近な生きている化石とされる。 3億年前 - 爬虫類の出現 2億5000万年前ごろ - ローレンシア大陸、バルティカ大陸、シベリア大陸などすべての大陸が次々と衝突したことによってパンゲア大陸が誕生した 2億5000万年前 - 生物の大量絶滅(ペルム紀)。 地球史の中で何度か生じた生物の大量絶滅の中で最大とされる。海生生物のうちの95 - 96%、全ての生物種で見ても90% - 95%が絶滅したとされる。 → P-T境界、メタンハイドレートが大量に気化し酸素濃度が著しく低下
※この「古生代(約5億7000万 - 約2億5000万年前)」の解説は、「地球史年表」の解説の一部です。
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「古生代」の例文・使い方・用例・文例
- 古生代
- 古生代の時代に豊富であった絶滅した節足動物
- 古生代の絶滅した水生節足動物
- 古生代の、古生代に関する、または、古生代を意味する
- 主に古生代の植物
- 表面的には現代のアダンに似ている高い古生代の木
- ヨーロッパおよびカナダ東部の古生代の二叉分岐植物で、最古の維管束植物も含まれる
- 古生代の植物
- 古生マツバラン科の標準属:極めて細い草質の古生代植物で、根茎と先端に付く胞子嚢がある
- 古生代原始植物
- 顕世代という,古生代カンブリア紀以降の地質時代
- 古生代に形成された地層
- 古生代という地質時代
- バリスカン造山運動という,古生代後半に中部欧州で起こった造山運動
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