レーザーポインター
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/06/11 07:30 UTC 版)
レーザーポインターを規制する日本の法律、現状
この節は特に記述がない限り、日本国内の法令について解説しています。また最新の法令改正を反映していない場合があります。 |
半導体レーザー素子の量産により小型赤色レーザーポインターが普及してきた頃に、一部の悪質な業者が使い方を誤ると危険な高出力の製品を低価格で大量に玩具市場に流したため、子供が事故を起こすケースが各地で発生した。
こうした製品は子供の片手に収まるほど小型なのであるが、通商産業省製品評価技術センター(現独立行政法人製品評価技術基盤機構)が調査したところサンプルの多くがクラス3A~3B相当の出力を持ち、危険な器具とみなされた。
また、販売されている製品の中には実際の光出力と表示の不一致も見られた。こういった事態を改善するため、経済産業省は消費生活用製品安全法の特別特定製品にレーザーポインター等電池駆動の携帯用レーザー応用装置を追加した改正案を国会に提出し、2001年に施行された。
消費生活用製品安全法による規制内容
- 全長:8cm以上
- 重量(電池含):40g以上
- 最大出力:1mW未満(JIS C6802規格 クラス1~2)、玩具用はクラス1のみ可。
- 電池の種類:単3、単4、単5形のいずれかのみ(ボタン型電池は不可)
- 電池の数:2個以上
- 出力安定回路の搭載
- スイッチ:手を離すと発光がオフになること
- 通電状態が確認できる機構の搭載
- 第三者検査機関による適合性検査にパスし、PSCマークと第三者検査機関名を表示すること
- 製造、輸入事業者は届け出ること
- 届出事業者、販売事業者名を表示すること
- クラス値や最大出力値、波長の表示
- レーザー光線を直視しない、人に向けない旨の日本語による注意表記(外国語表記は不可)
- その他:秘匿性の高い形状(手中に収まる・ほかの文具に偽装等)は不可。たとえば普通のボールペンと見分けがつかないようなものは不可。
この消費生活用製品安全法改正以降、レーザーポインターやレーザー関連機器(電池駆動の携帯用レーザー応用装置)については、日本国内において光強度が1mW以上(JIS規格クラス3A~4)の製品の製造販売や輸入販売が禁止された。クラス1~2の製品についても同法で定めた基準を満たした上で、事業者自らが検査・確認の上、更に国が認定する第三者検査機関による適合性検査を受け、合格した製品にPSCマーク(消費者の生命や身体の安全を守ることを目的とした国による安全規制を満たしている事を証明するマーク・菱形の中にPSCの3文字がある)を表示しないと製造販売や輸入販売ができなくなった。
適合性検査により、PSCマークを表示した製品についてはクラス表示と実際の光出力が一致することとなり、表示されている光出力よりも強い光線が照射される製品は街角にある販売店からほぼ消えることとなった。さらに消費生活用製品安全法に違反する行為を犯した業者には罰則が科されることとなった。
輸入・製造・販売に関して消費生活用製品安全法で規制されるのは完成品のレーザーポインターやレーザー関連機器、正確には電池駆動の携帯用レーザー応用装置に対してであり、未完成品や部品は対象外である。AC電源や外部電源で動作する完成品も同様に対象外である。
上記の内容は、消費生活用製品安全法に基づく特定製品の技術上の基準に関する省令が一部改正され、2010年12月27日より施行されたため、変更されている。例えば、以下の項目は削除されている。
- 重量(電池含):40g以上
- 電池の種類:単3、単4、単5形のいずれかのみ(ボタン型電池は不可)
- 電池の数:2個以上
詳細は下記サイトを参照のこと。アーカイブコピー - ウェイバックマシン
2001年規制以降
消費生活用製品安全法の改正によって、以前見られた片手に収まるほど超小型の製品や、大人でも取り扱いが難しいクラス3A以上の製品が排除され、適切に取り扱えば安全性を十分に確保できる製品が入手できるようになった。しかし法制度がすべての取引方法をカバーしていないので違法な製品が一部の市場において流通しているケースが依然として残っている。ショッピングサイトやオークションサイトでの出品監視も不十分で、明らかに違法な製品が見かけられる[2]。さらに、個人輸入や半完成品など法律の隙間を突いた方法で極端に出力の高い製品や関連部品を販売している悪質な業者も出現した。
今日では半導体レーザー製造技術の進歩に伴い、以前よりも光出力が格段に大きい製品(数十mW~800mW)が比較的低価格で製造可能となっており、これらを利用した事故や事件の発生が懸念される。合法な製品と非合法な製品の形状は同一であるか、あるいはほぼ同一であるため、すべての一般消費者にその違いを識別することを求めるのは困難であり、認可された者以外はクラス3A以上のレーザー応用装置や関連部品の輸入、販売、所有を禁止するなど法律のさらなる改正が要請されている。
2009年に消費者庁が創設され、これまでは経済産業省の管轄であった携帯用レーザー応用装置を対象とした消費生活用製品安全法に関して、重大事故情報公開・公表制度を消費者庁に移管し、安全基準の策定にあたり協議を受けることとなるように検討されている。
相次ぐ照射事件
普天間飛行場での航空機レーザー照射事件以降、日本国内で同様の事件が発生している事が明らかになった。日本の在日米軍・自衛隊航空機への照射が8都道府県であり、民間航空機に向けての照射が150件以上(報告が任意であった為、未報告件がさらにあると見られている)、運行中の新幹線に対する照射が発生している。
これらの問題に対処する為、出力制限超過のレーザーを所持・使用規制を、法律に盛り込む等の対応が検討されている[3]。
航空法
2016年12月21日施行の改正航空法により、航空交通管制圏、航空交通情報圏または航空交通管制区内の特別管制空域を飛行中の航空機に向けてレーザー光を照射することが禁止され違反者は処罰される[4]。
- ^ 意匠分類定義カード(F1) 特許庁 (PDF)
- ^ a b “安全基準外レーザーポインター販売、2人に逮捕状”. 読売新聞 (2010年1月18日). 2010年1月18日閲覧。[リンク切れ]
- ^ “レーザー照射でポインター規制検討も 4省庁が連絡会議立ち上げる”. 産経新聞. (2015年12月24日)
- ^ “航空:レーザー照射や凧揚げの規制について - 国土交通省”. www.mlit.go.jp. 2018年11月5日閲覧。
- ^ Yahoo!ニュース 聖子 娘・SAYAKAと和解 - インターネットアーカイブ 2006年
- ^ G大阪敵地で敗れる/AC
- ^ 【お願い】ファンのみなさまへ - ウェイバックマシン(2012年9月26日アーカイブ分) FC東京公式HP 9/22
- ^ 【お詫びとご報告】レーザーポインター使用に関して - ウェイバックマシン(2012年9月26日アーカイブ分) FC東京公式HP 9/23
- ^ FC東京サポーター 川崎Fサポーターにレーザーで謝罪 試合中にも使用かスポニチアネックス 2012年9月23日 07:27
- ^ 米独首脳が北朝鮮など協議、G20抗議デモで警官約75人負傷 ロイター(2017年7月7日)2017年7月8日閲覧
- ^ 新幹線にレーザー照射か 山口・徳山駅、運転席に - ウェイバックマシン(2016年1月16日アーカイブ分) 産経新聞 2015年12月12日
- ^ 路線バスにレーザー光線、57歳無職男を逮捕 「ベランダから道に発射した」 大阪府警産経新聞 2016年2月25日
- ^ 47NEWS記事『調査捕鯨監視船に妨害活動 米団体シー・シェパード』 - ウェイバックマシン(2009年12月23日アーカイブ分)
- ^ 普天間上空の米軍ヘリにレーザー照射3回、沖縄の会社経営の男逮捕 業務妨害容疑 - ウェイバックマシン(2016年1月26日アーカイブ分) 産経新聞 2015年12月7日
- 1 レーザーポインターとは
- 2 レーザーポインターの概要
- 3 概要
- 4 光強度とクラス表示
- 5 発光色
- 6 レーザーポインターを規制する日本の法律、現状
- 7 製品のバリエーション
- 8 関連事象
- 9 関連項目
固有名詞の分類
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