ガウシアンビームとは? わかりやすく解説

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ガウシアンビーム

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/10/07 06:38 UTC 版)

ある瞬間におけるガウシアンビームの強度分布。
出力 5 mW の緑色レーザーポインタの強度分布。TEM00 モードの分布を示している。

光学において、 ガウシアンビーム: Gaussian beam)とは、横モード英語版電場および強度(放射照度)分布が近似的にガウス分布とみなせる電磁波をいう。多くのレーザーはその光軸への垂直面内の強度分布がガウス分布に近いビームを発しており、このようなレーザーでは共振器が基本横モード、または「TEM00 モード」で発振しているという。回折限界レンズ屈折させたとき、ガウシアンビームは別の(パラメータの違う)ガウシアンビームへと変換されるため数学的に取り扱いやすく、レーザー光学における数理モデルとして広く採用されている。

ガウシアンビームがヘルムホルツ方程式近軸近似の下での解であることは数学的に示すことができる。この解はガウス関数の形をとっており、ビームの電場の複素振幅を表わす。この形のビームの大きな特質として、電場と磁場電磁波として一体となり伝播するため、電場と磁場のどちらか片方のみによってビームの特徴を記述できることが挙げられる。

ガウシアンビームが伝播するときの特徴は、スポットサイズと曲率半径、グイ位相というわずかなパラメータで記述できる[1]

近軸近似の下でのヘルムホルツ方程式には別の解も存在する。デカルト座標を用いて方程式を解くと、エルミート・ガウシアンモードと呼ばれる一連の解が得られ、円筒座標系を用いて解くとラゲール・ガウシアンモードと呼ばれる一連の解が得られる[2][3]。どちらの解に対しても、最低次の解はガウシアンビームを表わし、高次の解は共振器の高次の横モードに対応する。

上図は紙面に垂直に伝播するガウシアンビームの二次元的照度分布を表わす。下図青線はビーム中心からの距離の関数としての電場強度を表わす。また、黒線は対応する照度関数を表わす。

数学的形式

ガウシアンビームはTEMモード英語版の一つである[4]。このモードの複素電場強度の数学的表式は近軸ヘルムホルツ方程式を解くことで得られ、以下のような表式を得る[1]

エルミート・ガウシアンモードの例

エルミート・ガウシアンモードは共振器が回転対称でなく、水平方向と鉛直方向が同等でない場合の出力レーザーの記述に便利である。上に定義した複素パラメータ q を用いると、 x-面内の振幅分布は以下の関数に比例する。

ラゲール・ガウシアンモードの強度分布の例。

円筒対称性のある場合、近軸波動方程式の自然な解はラゲール・ガウシアンモードを与える[3]。このモードは、円筒座標系とラゲール多項式を用いて以下のように書ける。

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