113系1000番台
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「国鉄113系電車」の記事における「113系1000番台」の解説
1000'番台(上)では乗務員室直後の窓配置が異なり、ATC機器室のため窓がない箇所がある。ATC非搭載車(下・2000番台)では乗務員室直後に2段窓がある 横須賀線・総武快速線の地下区間(錦糸町 - 品川間、1972年錦糸町 - 東京間開業、1976年東京 - 品川間延伸)直通を目的に、1969年から製造された地下区間乗入対応車両グループである。0番台を基本に、運輸省(→国土交通省)制定のA-A基準に対応した難燃構造が採用された。CP付きの西(偶数)向き制御車は、基本番号+300の「クハ111形1300番台」と区分されている。 長大トンネル、人口密集地を通過することを考慮し、電車のトイレは従来の垂れ流し方式を改め、普通電車向け車両としては初めて循環式としたほか、パッキン材など一部の部品に使用されていた木材は廃され、窓やカーテン、床板、腰掛などの材料も難燃性・不燃性材料に変更されたほか、火災発生源となりうる抵抗器などの一部機器・回路に発火防止対策がなされている。また、1972年以降に落成した先頭車(クハ111-1017 - 1025・1332 - 1339)は前照灯がシールドビームに変更されるとともに、方向転換不能とされ、主制御器もメンテナンスフリー化を図ったCS12Gに変更された。 総武快速線は、房総東線(後の外房線)の電化と同時に1974年7月に開業することとなった。地下区間の保安装置は当初はATSを使用する予定であったが、開業間近の時期にATCを導入することになったため、ATC装置を搭載し、あわせて冷房装置搭載など各部に大幅改良がなされた車両が1972年4月以降に新たに製造されることになった。初期の209両は冷房準備車として落成しており、113系で唯一の冷房準備車となった。 従来の1000番台車両は、専ら房総地区(総武本線・成田線・鹿島線・外房線・東金線・内房線)ローカル列車や0番台とともに東海道本線東京口で使用されることとなった。特に、サハ111形については東海道本線東京口に転用されたことから、0'番台での増備が1両にとどまることになった。このグループは「地上用1000番台」と通称されることもある。 新たに製造された車両は先頭車の助士席後部にATC装置が搭載(一部は準備構造)され(助士席部分の折りたたみ構造は廃止された)、運転士側も後方に拡大されて急行形電車並みの広い構造に、従来車では前照灯と幌枠の間にあったタイフォン(警笛)が下方に移設され、ジャンパ栓がKE70形とされたほか、全車とも側面窓上に行先表示器が設置され、側窓は別組立・後取付けの「ユニット窓構造」が採用された。車両番号は従来車に続いて、モハユニット-1055、クハ111-1026・1340、サハ111-1020以降が付番されているものの、従来の非ATC車両との区別のために、非公式の呼称ではあるが「1000'番台」と区別されることが多く、本項目でもこの呼称を使用する。 また、トイレは設置位置、数は0番台や1000番台従来車と変化ないが、地下線の清浄化と保線作業者の影響を考慮して、循環式汚物処理装置が設置された(横須賀線向けに投入された車両は当初準備工事のみで後に設置)。また、主電動機もISO規格ネジを採用してメンテナンスフリー化を図ったMT54Dに変更された。後期の製造車は落成時から冷房装置を搭載した「新製冷房車」となり、MG容量は冷房・制御電源が一体化されて160 kVAとなった。容量の増大にともない、搭載するモハ112形は側面中央扉の戸袋窓部分にMG冷却用冷却風取入口が設けられている。 この車体構造は以降の地上用の新製冷房車(0'番台)や700番台でも採用されたほか、115系300番台および415系0'番台でも採用されている。ただし、クハ111-1106・1419以前の車両は115系300番台以降の車両と異なり前面強化構造とはなっておらず、後年、前面強化工事が推進された。 地上用となった従来車は後に前照灯がシールドビーム化された車両もあるが、タイフォンが他番台と同じ前照灯と幌枠の間の配置となっているほか、窓構造や、ATCの装備がされていないために先頭車両の助士席後部の窓配置も異なっているなど、1000'番台との差異は大きい。冷房装置も、国鉄時代には1000'番台と同じAU75系が搭載されたが、民営化後にはJR東日本開発の集約分散式冷房装置AU712形2基/両を搭載した車両も存在する。中には非冷房のまま廃車となった車両も存在する。 国鉄時代にごく少数の初期非ATC車が中京圏・近畿圏に転用された他は、当初の配置区所で使用され続けた。よって、国鉄分割民営化時にはほとんどがJR東日本に承継されている。 このグループのサハ111形は、2005年に東海道線で更新工事施工のうえ使用されていた1両 (1015) が廃車されたのを最後に、形式消滅した。また、中京圏・近畿圏からJR東海・西日本に承継された車両も、阪和線で使用されていた1両(クハ111-6310・高速化工事で+元番号5000)が2004年に廃車となり、消滅している。 なお、横須賀・総武快速線からの撤退時には廃車となるゾロ目番号のクハ111-1111を含む編成が1999年(平成11年)11月11日にイベント列車として使用された。また、ATC付きの1000'番台は横須賀・総武快速線が禁煙区間とされたために灰皿は製造時から設置されていなかったが、ATC非搭載の1000番台では設置されていたため、房総地区では1997年3月のJR東日本管内普通列車全面禁煙化まで列車によって禁煙であったり喫煙可能であったりする現象が続いた。 モハ113-1250 モハ112-1250 幕張車両センター所属の1000番台の車内
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