黒森神楽とは? わかりやすく解説

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黒森神楽

名称: 黒森神楽
ふりがな くろもりかぐら
種別1: 民俗芸能
保護団体名: 黒森神楽保存会
指定年月日 2006.03.15(平成18.03.15)
都道府県(列記): 岩手県
市区町村(列記): 宮古市
代表都道府県 岩手県
備考
解説文:  黒森神楽は、黒森神社神霊移した権現ごんげん】様と呼ばれる獅子頭持って地域の家々を訪れ太鼓と笛、手平鉦【てびらがね】の伴奏によって、門口などで家内安全豊作豊漁厄払い供養などさまざまな願いに応じて舞い夜に地区民家座敷などで、儀式的な演目や筋のある演劇的な演目などを演じるものである
 宮古市岩手県東部にあたり太平洋面している。宮古市街地の北側に、海に接して標高三三メートル黒森山があり、その中腹黒森神社がある。黒森山海上交通目印一つであり、山麓からは奈良時代とされる仏教具が発掘され古代から信仰集めていたことがわかる。黒森神社は、一四世紀棟札により、中世以来歴史確認されている。同社は、かつて黒森観音黒森薬師黒森大権現社などと呼ばれていた。黒森神社に伝わる獅子頭で、最も古い銘文をもつものには文明十七年(一四八五)とあり、そのころには獅子頭同社儀礼使われていたとされる黒森神社権現様による地域巡行記録は、一七世紀末のものが残っている。
 黒森神楽の巡行は、同神社社前神霊権現様に移す「舞立【まいだ】ち」から始まる。この「舞立ち」つまり、その年の巡行始まりは、かつては農作業山仕事終わった十一月ころであったが、現在では一月三日である。黒森神社出発し地域巡って、また同社に戻るのは、それから三〇日から四〇後である。巡行は、宮古市北方にあたる岩泉町田野畑村普代村野田村久慈市を巡る北廻りと、同市南方にあたる山田町大槌町川井村を巡る南廻りがあり、年ごとに、それを交互に行っている。ちなみに平成十七年南廻りである。
 巡行は、二頭権現様持って行う。権現様は、その頭をかぶる者と胴幕を操る者の二名で舞うので、二頭権現様合計四名それに太鼓一名、笛と鉦に数名ずつのあわせて一〇余り行われる神楽伝承者たちは、多様な舞と楽器演奏をともに習得しているので、それぞれ役割替えながら家々巡行している。
 黒森神社での「舞立ち」では、権現様二名舞手が扇と短い錫杖しゃくじょう】を持って舞う「ショシャ舞」に続いて二名のうち一名権現様を頭にかぶり、他の一名獅子の胴幕の端を持って権現舞」が舞われる権現様の歯を音高打ち合わせ所作があり、これは祓いの意味があるとされるその後黒森神社出発して地域に入ると、まず土地の神社で同様に権現舞」が舞われる次に宿に向かい、宿に入るときには権現舞」を中心に舞う場合と「シットギ獅子【じし】」を演じ場合がある。「シットギ獅子」は、まず宿の玄関先などに臼を据え、その臼で、シットギと呼ばれる米粉練ったものを作っておく。舞手たちは、それぞれ剣やすりこぎしゃもじなどを持ち太鼓などの演奏合わせて、臼の回り勇壮に舞う。「おかめ」や「ひょっとこ」の面を付けて滑稽に舞う者も加わる。舞が終わると、舞手たちは、臼のシットギをなどに付け、それを指にとっては周囲見物たちの額や頬にこすりつけて回る。人びとは、これを厄払いのオマブリ(お守り)として歓迎するその後権現舞」になり、最後に権現様かぶった舞手火伏せとして、玄関焚かれ小さな焚火踏み消してから宿に入る。
 地域の家々を廻るときには求めに応じてさまざまな祈願祈祷などの舞を権現様中心にして舞う。浄め家内安全などのため戸口で舞う「門舞【かどまい】」をはじめ墓前での「墓獅子【じし】」、家の中位牌中心に行う「座敷念仏」あるいは「廻り念仏」、新築祝いの家での「固め」、人びと厄払いに行う「身固め」、馬屋浄める馬屋祈祷」、家に祀られ大黒様の像を中心に行う「祈祷」、新造船を浄める船祝い」、家の再興祈願する板起こし」などがある。それぞれ固有の歌があり、舞も、たとえば「固め」では権現様が家のを噛む所作があり、「祈祷」では「大黒舞」と「権現舞」を演じるなど、それぞれに決まっている。
 昼の巡行が終わると、夜には宿に近所人びとが集まる中、多く演目を舞う。これらを夜神楽とも呼ぶ。現在、夜神楽演目合計三九演目で、そのうち一晩一二演目ほどを舞う。同じ宿に続けて宿泊する場合は、前夜異な演目選んで舞う。
民俗芸能のほかの用語一覧
神楽:  雄勝法印神楽  高千穂の夜神楽  鷲宮催馬楽神楽  黒森神楽
語り物・祝福芸:  三河万歳  尾張万歳  幸若舞

黒森神社

(黒森神楽 から転送)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/03/02 16:57 UTC 版)

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 黒森神社
所在地  岩手県宮古市大字山口第4地割132
位置 北緯39度39分38.9秒
東経141度56分26秒
座標: 北緯39度39分38.9秒 東経141度56分26秒
主祭神  素戔嗚尊大巳貴命稲田姫命
神体  黒森山(神体山
社格  
創建  
別名  黒森権現社
例祭  7月第3日曜日
主な神事  黒森神楽
地図
 黒森神社
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黒森神社(くろもりじんじゃ)は、岩手県宮古市に存在する神社重要無形民俗文化財黒森神楽が舞われるほか、『権現様』と呼ばれる岩手県の指定文化財にもなっている獅子頭が多数保存されている。

歴史・概要

宮古市中心部から北に2km程の位置にある、標高310.5の黒森山の山中に存在する。黒森山の麓の遺跡からは奈良時代のものとみられる密教法具が出土しており、古くから霊山として地域の信仰を集める場所であった。明治以前は『黒森権現社』と呼ばれ、千手観音を祀っていたとされる。古くから山伏の修行の場として栄え、社に伝わる重要無形民俗文化財黒森神楽はこうした修験者により伝えられてきた、東北地方に多く残る山伏神楽の代表的なものである。
建武元年(1334年)の鉄鉢や南北朝時代のものとみられる獅子頭など多くの文化財も残されており、また当時の支配者であった南部氏の名の見える室町時代棟札も存在するなど代々盛岡藩主からの信仰も厚く、社殿の再建や修復に援助するなどの保護を受けてきた。

関連項目

参考文献

外部リンク

黒森神楽 -宮古市





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