高校二年編
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/19 09:54 UTC 版)
春を迎え、千早たちかるた部一同は進級した。「瑞沢高校を将来的にかるた強豪校にする」という目標を抱いていた千早は、職員会議で「部員があと5名増えなければ部室を返上」という条件も重なり、新入部員獲得に躍起になる。だが入部者はイケメン部長である太一目当ての女子生徒がほとんどであり、競技かるたには全く興味を示さなかった。一方で千早を除く2年生部員達も団体戦優勝や、個人昇級を重視するあまり、後進育成に難色を示す有様で、それまでの結束に揺らぎが生じ始める。それでも諦めない千早だったが結局残ったのは、太一を彼氏にするという野望に燃える筋金入りの恋愛体質女子花野菫と、北海道特有の「下の句かるた」で腕を鳴らしたものの、根拠の無い自信でチームの和を乱す男子生徒筑波秋博という問題児2名のみだった。しかし、千早が「全国大会で倒れて棄権した時からもう一人部員がいたらと思っていた」と心中を明らかにすると、他の2年生部員も後輩の指導に協力的となった。結局、部室棟二階を吹奏楽部に割譲せざるを得なくなったかるた部であったが、吹奏楽部から全国大会優勝に向けてのエールが贈られ、想いを燃え上がらせる。東京予選で勝ち進み、運命戦の末に北央学園に敗れ準優勝となるが、出場枠増加により共に全国大会出場を決めた瑞沢かるた部は相手校のデータ収集という「裏方」に徹した駒野、花野の活躍もあって団体戦で初めて決勝トーナメントへと駒を進める。準決勝では、前年のクイーン戦西日本代表であった逢坂恵夢を擁する明石第一女子高校と対戦。恵夢と対戦した千早は劣勢からの追撃も及ばず惜敗するものの、チームは間一髪で勝利(駒野の運命戦により決着)。全国大会優勝常連の名門富士崎高校との決勝戦に臨む。そこで千早は山城選任読手の孫娘で新と同様に「競技かるた界のサラブレッド」と見られている山城理音との対戦中の接触から、右手人差し指を故障する。筑波秋博、駒野勉の敗退、千早の勝利によって一勝二敗で迎えた最後の1枚、2組の運命戦で西田と太一は、札合わせをし、太一は、運命戦で初めて自陣の札が詠まれ、待望の全国大会団体戦優勝を決めた。そしてその試合を広間の外で見守っていた新に千早は涙ながらに駆け寄り、チームで戦うことの意義を説いた。その熱戦ぶりは、同じく試合を見守った詩暢の心をも大きく揺さぶる。又、目標に向け二人三脚で頑張り、疲労困憊となって眠る太一に千早は「有難う」と礼を言う。個人戦で詩暢との再戦を望む千早は故障を押して利き手と反対の左手で強行出場し、再戦に漕ぎ着けるが大敗。だが、左手を利き手とする詩暢の強さを再確認する契機となる。一方、太一に「明日の個人戦で優勝したら東京の大学に進学する」と宣言した新は翌日の高校選手権A級個人戦で、高校かるた界では無敗を誇ってきたクイーン若宮詩暢との決勝戦を制し、宣言通り初出場・初優勝を決めた。新と太一は千早を巡る恋のライバルである事を強く意識する様になる。又千早が団体戦優勝と共に掲げていた各階級個人戦優勝は新が制したA級を除き、全て瑞沢かるた部が制する結果となり、B級準決勝戦でヒョロとの対決を制して駒を進めた決勝で山城理音を破った太一も優勝してA級昇格を決める。大会後、指の痛みは良性の内軟骨腫であった事が判明し、大事には至らないものの、千早は暫くの休養を余儀無くされる。そして新の有言実行に並々ならぬ覚悟と千早への想いを見せつけられた太一は、新への、そして千早への複雑な対抗意識をより露わにしてゆく。一方で新は太一と千早に感化され、遠く福井の地より団体戦出場を目指し、かるた部創設に向けて動き出す。退院した千早は決勝戦で対戦した富士崎高校の指導者桜沢翠の招きを受け、太一と二人で同校を訪問し、着々と実力を磨く理音と再戦する。秋。目前に迫った名人戦・クイーン戦に向けて照準を合わせてゆく面々。しかし奇しくも予選の日程が瑞沢高校の修学旅行とバッティングしてしまい、衝撃を受けるかるた部のメンバー。前後し、その前哨戦といえる吉野会大会に出場した千早は、かつてクイーン戦で四連覇を果たした猪熊遥と初対戦し、熱戦の末に破る。決勝戦はA級昇格により公式戦初対決となった太一との一戦。試合は千早が僅差で白星を掴み取って優勝を決め、とうとうかるた界からの注目を一度に集める事となった。しかし千早は悩んだ末に、クイーン戦の東日本予選出場を諦め、クラスの仲間たちと修学旅行へ行く事を決める。その想いの背景には、千早の、将来は高校の先生になりたいという夢があった。そして始まった名人戦・クイーン戦予選。抜け駆けして予選会に出場し、途中から修学旅行に合流した太一は、恩師である原田が名人戦の東日本代表となった事を千早に告げる。一方の西日本代表は、決勝戦で兄弟子である村尾慎一を破った新に決定。代表決定戦では、互いに巧みな策で相手を翻弄しつつも、今大会を「勝って引退する」と宣言していた周防への対抗心に燃えた原田が逆転で新を破り、挑戦権を獲得。自身の敗因を思い入れの強い「ふ」と「ちは」に執着した事だと後悔する新に、千早は「手に入れたいもの程手放し、必ず取りに行くと誓う」自身の想いを語る。その姿に、小学6年生のころから変わらない想いと絆を感じ取った新は、その場で千早に告白する。新の想いに戸惑い、返事が出来ないままの千早。一方で太一は未だ、自身の千早への想いを伝えられないままであった。冬、周防との練習試合を行う機会を得た千早と太一は、周防の横柄な態度に深く傷つけられる。しかしそこで周防の弱点を見つけた千早は、原田と共に名人戦の会場へと乗り込んでゆく。一方、クイーン戦では「最強の挑戦者」として挑む猪熊遙に詩暢が苦戦。永世名人位がかかる周防も原田の老獪な戦術に苦戦する。猪熊に敗戦し、動揺を隠せない詩暢に千早は襷を急造し、景気づけして送り出す。結果、周防は原田を強敵と認め、最終戦にもつれ込む接戦を制して防衛し、詩暢も千早の応援に自分を取り戻し、猪熊を下して防衛する。永世名人就任で引退を宣言していた周防だったが観戦していた新から後一年待って下さいと迫られ、あっさり引退を撤回する。(9巻後半 - 26巻前半)
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